- 07/09/28:メセニー・メルドー(大阪NHKホール)
- パットメセニーとブラッドメルドーの共演は去年CDを出し 話題になりました。そのツアーとして日本にやってきました。
もちろんメセニーのライブ演奏はいままで何度も見てますし, ブラッドメルドーのライブも見たことがあります。でもこの 組み合わせは初めてです。実際にみて思ったのですが, いままでのメセニーの演奏とはかなり違っていて, メセニーがいまだ大きく前進してることが実感でき,すばらしい ライブだと感じました。
よくよく考えてみるとメセニーの参加したアルバムはほとんど 聴いたことがあるんですが,メセニーはピアニストと対峙した 演奏というのは長年連れ添っているライルメイズ以外は ほとんどありません。もちろんハービーハンコックやチックコリアとか との共演もありますが,他の人のアルバムでの共演であり, メセニーがピアニストと二人で作り上げたものではありません。 そういう意味でメルドーとの共演はCDでも新鮮だったのですが, 生の演奏を聴き,その新しい面にたくさん触れることが出来ました。
今回のメンバーは,アルバムと同じように, パット・メセニー,ブラッド・メルドー,ラリー・グレナディア, ジェフ・バラードの四人ですが,最初の40分くらいは メセニーとメルドーのデュオでした。ライブは3回のアンコールを 含め2時間半以上を休憩なしでやる…,まぁいつものメセニーの ライブはそうなんですが,相変わらずの体力のすごさを 実感させるライブでした。
- メセニーは楽器の音も生弦の音を拾うようなセッティングに しており,それもあるのですが,これまでの彼のスタイルからすると ソロよりもバッキングに新たにいろいろな試みをやっていて, これまでのソリスト的な演奏からするとかなり違った感じでした。 メルドーは…まぁ,デビューのころのトリオのころの演奏からすると ずいぶん最近の演奏は変わってきてると感じますが,やっぱり メルドーもいまのピアニストなんだなぁ…と感じます。 左手のバランスがこれまでの演奏の中では抜群に良く,これまで コードワークがうるさいと思うことも多かったのですが, 今回はまったくそういうことは感じませんでした。
クァルテットでの演奏もすばらしい演奏でしたが,まぁ メセニーとメルドーに比べれば控えめでやはりサポート的では ありました。
なんとなくメセニーとしてはこういうことをやりたかったのだなぁ いうのがひしひしと感じられてほほえましくもあったのですが, その演奏の中に新しい面をさらに感じさせるところにさらに 進化しているメセニーのすごさを感じることが出来ましたし, メルドーの成長も感じましたし,すばらしいライブでした。 いって良かったです。
余談ですが,ピアニストとの共演が少ないメセニーと書きました。 それでもハービーとチックとは共演歴がありますが,メセニーとしては キースジャレットと一番共演したいのだろうなぁ…と感じるところが, 結構あるライブでもありました:-)。まぁわたしの思い込みかも 知れませんが。
- 07/09/18:ヤコブ・ヤング・グループ (Tokyo TUC)
- 今回はちょっと感想が書きにくいです。というのは演奏の問題じゃなくて, となりに座った客のグループが演奏についてぶつぶつ文句をいいながら 聴いていてとてもいらいらして聴いてしまったため,冷静に 判断できてません。自分がわからない音楽なら黙って聴いて, 途中でもいいから帰ればいいのに,演奏がつまらないようなことを 曲の途中でも喋るのは…あきらかにマナー違反でしょう。これって 演奏者にも主催者にもお店にも非がないだけに…,こういうのって どうすりゃいいんでしょう?。
というわけで,いろいろ困惑してますが…。
で,今回のライブですが,ヤコブヤングというギタリストのグループ。 実は演奏を聴いたことはなかったのですが,ドラムが ヨン・クリステンセンということで,聴きに行きました。メンバーは Mathias Eick(tp),Mats Eilertsen(b),Vidar Johansen (b-cl,ts), Jon Christensen(dr),Jacob Young(g)です。
曲は北欧のジャズらしいというかECMらしいというか,非常に 内省的で沈んだ感じの曲ですが,アンサンブルがとてもきれい。 ギタリストがリーダーで,管が2本ってどうなんだろう?と 思いましたが,管2本が非常にコントロールされていて,音量バランスも 良く,ギターは音数が絶妙というか,そんなに多くないのですが, サウンドとかコードをコントロールできていて,さすがバンドリーダ なんだ…と思いました。管があまり吹きまくる感じはないのですが, 結構小さい音量でけっこういろいろやる辺りは,なかなかアメリカの ジャズではあり得ず,やっぱりヨーロッパ的だなと。 で,クリステンセンはドライブするようなドラムではなく空間を 埋めていくようなパタパタとしたドラミング。まぁそういう 感じもあり,演奏全体としては落ち着いた沈んだ感じでした。 ちょっと派手目な曲もあった方が良かったのでは?という気もしたのですが, その分リーダのヤコブヤングの演奏能力が際立って聞こえたので, バンドとしてこういうアレンジなのかも…と思いました。
というわけで,ECMらしいなぁ…と北欧ジャズを満喫できたはず だったのですが,ちょっと周りの客に翻弄されてしまいました。 すみません。気分直しに今度CD買って聴いてみます。
- 07/09/15:新澤健一郎ソロ(横浜ドルフィー)
- 新澤健一郎のピアノソロ。ドルフィーでは初めてらしい。 サンシャイン,天空,鼓動と三曲,新澤氏自身の曲を演奏し, その後キースジャレット,エグベルトジスモンチとかの1stセット。 なんか音がいいというかアンダンテの時とは違ったジャズクラブ らしいピアノの音で,これはこれで非常にいい。演奏も 響きよりもノートに力を感じるような演奏。サクッと終わる感じも 結構新鮮でした。
2ndは最初ザビヌルの曲を二曲。それが終わった時点で, 失礼させていただいたのですが,In a slient wayはすばらしかった。 というか新澤テイストになっていて,In a slient wayなんだけど 新澤氏の曲のような響きになっていて,かなり新鮮でした。
というわけで,久しぶりにドルフィーに行ったのですが, 新澤氏の力を熟成を感じる演奏でした。すばらしい。
- 07/09/01:トニー・コッテル・トリオ(武蔵野スイングホール)
- スウェーデン在住のベーシスト森泰人氏が主催する スカンジナビアン・コネクション。今回は第30回とのことで, 主にスウェーデンで活躍するピアニスト,トミー・コッテル,そして ドラマー,ダヴィッド・スンドビーを引き連れてのツアー。 この日は,日本での公演の最後とのこと。
森氏の演奏はというか,スカンジナビアコネクションのライブは 確か3回目。今回のスウェーデンのメンバー二人は初めて 聴きました。
メロディアスかつ洗練された演奏で,その辺はいかにも北欧の ジャズという感じですが,トニーは作曲の能力がすばらしく どの曲もメロディがとにかく非凡ですばらしかったです。 アメリカのジャズ的なスィングとかブルースの色はあまりなく, もっと素朴感じとロマンチックな感じというか。印象に 残るラインばかりでした。そしてドラムのダヴィッド。 この人の演奏はすばらしかったです。実に良く歌うドラムで, ドラムだけで曲になってしまうほどだったので,一緒にやる人は 楽だよなぁ…と思ったりも:-)。基本的にはトップコンシャスで シンバルワークとスネアで聴かせる人だと思いますが,表現の 幅が非常に広くて,ドライブ感もあり,すばらしかったです。 森さんの演奏は3回目ですが,非常に太くてしっかりした音色の 人で,ウッドベースですが輪郭がしっかりした音で弾きます。 安定していてバンドをしっかり支える感じでした。
というわけで,いつも聴いたことがない北欧のミュージシャンを 紹介してくれる,スカンジナビアコネクション…。今年も 大満足でした。
- 07/08/21: エグベルト・ジスモンチ( 草月ホール)
- エグベルト・ジスモンチというとECMからアルバムを何枚も 出しているギターとかピアノとかを弾く人で,特にギターは アクゥースティックで,ガットや多弦ギターのソロとかをする 人…というイメージがわたしにはありました。わたし自身が ギターを弾くのもありどうもギタリスト,もしくは作曲家…と いうイメージでした。
で,今回のコンサート,初めて彼の演奏を聞いたのですが, どうやら16年ぶりとかで,今回観ないといつ観れるかわからな いといういうことで,出かけました。2部構成で,1部がギター ソロ,2部がピアノソロという構成でした。
で,感想としては,いやぁー認識が間違ってることに気づきました。 かれはすごいピアニストでした(^^;)。
1部では2本のギターを使い,最初がスチールの多弦ギター。 12弦くらいあったように見えましたが,フレットはクラシックの 多弦の様に幅広で,高音弦は複弦の様でしたが,低音弦は単弦の 様でした。次がガットの多弦ギターでした。ギターの方の演奏は, 結構アブストラクトというか,結構複雑な事をやってるのですが, ちょっとわかりづらい。彼の演奏は,高音弦でコードを鳴し, 低音もルートを弾き,メロディが中間部でなっていたりするので, ちょっとメロディがわかりにくいというのもありました。 奏法的にも変わっていて,右手はクラシックみたいな形でもありますが, 左手は…良くわからない(^^;)…。
と,まぁギタリスト的にはおもしろかったのですが,マニア向 けだなぁ…。と思って聴いていて2部に入ったら,ぶっとびま した。。
2部はピアノソロだったのですが,これまでわたしがCDとかで 聴いていたのは,比較的バラードというかメロディアスな 曲がほとんどでそういう曲を演奏するのかと思ったら, 物凄い勢いでたくさん音を詰め込むような演奏。左手とかが 細いパッセージを弾いたり,左右を交互に入れ替えて 高音と低音をならしたりと,まぁこれも確かに奏法的には 演奏者向ではありますが,すごさは物凄く伝わってきました。 もちろんわたしがCDで聴いたような綺麗な曲もあり,テクニカルな 演奏と綺麗な曲とが幅広く演奏されました。良く聴くと ギターの時と同じく,高域ではなく中域が結構複雑な動きを しており,ギターとピアノが同じ思想で演奏されてる様です。
途中ピアノの弦を切るというハプニングもありましたが, その辺も含めて演奏のすごさが伝わってきました。
興味深かったのが,ギターもピアノも物凄くテクニカルなんですが, 「荒さ」が残っており,そこが一見野性味があるというか, 未完成的なおもしろさを出している,ただ演奏自体の技術がすごいので, 決して表現に技術がついていかないわけでもないし, 普通の演奏家ではなかなかたどり着けない次元にはなっている点です。 ヨーロッパ系の演奏家は,アバンギャルドな演奏をしていても全体としては まとまっている場合が多いのですが,この人はそうではないところが お国柄なのか?この人の個性なのか?…とそんな気がしました。
そういうわけで,いろんな意味で,なかなか聴けない演奏ですし, 非常に高度な演奏に遭遇でき,すばらしかったです。次はいつ観れるのかしら?
- 07/08/09: 新澤健一郎(p)−(ds) DUO (調布GINZ)
- 新澤氏と大槻氏のDUO。ピアノとドラムのデュオということで, 音量バランスはどうか?,バリエーションはどうか?とか 始まるまで思っていたのですが,そんな心配は全く不要の すばらしいライブでした。バランスはとても良く,新澤氏の ピアノも非常に輪郭のしっかりした太い音でしたし, 大槻氏のドラムもダイナミックも広いし,どちらの 音もしっかりとした存在感で響いてました。曲も一曲の中の 変化も幅が広いし,変にピアノ,ドラム…とソロを回す って感じでもなく,いい感じにインタープレーになってるし, 変拍子の曲とかもテクニカル一辺倒…という感じでもなく, サウンドやメロディが綺麗でとても楽しめました。
大槻氏のマレットプレーとか,サウンドが非常に柔らかくて ドラムとは思えない様な感じでしたし,新澤氏の間とか 空間を意識した演奏もすばらしかったです。
新曲もあって,おもしろかったです。
わたしの事情で1st.セットのみしか聴かなかったのですが, 後半もきっとすばらしかったことでしょう。生ピアノと ドラムのDUOとしてはわたしがこれまで観た演奏の中でも, かなり完成度の高いものでした。
- 07/07/31: Nervio (PIT INN)
- わたし的には今年の2月以来 のNervioのライブ鑑賞。ちょっと久しぶり。
それでもって今回はメンバーが一部変更になり,パーカッションの ヤヒロさんがお休み,かわりに仙波清彦氏が参加というスペシャルな もの。仙波さんというと非常にユニークなパーカッションを 叩くので有名ですが,期待通りとてもおもしろくすばらしい ライブとなりました。
曲はアルバムに入ってない曲も交えながらも何度か 聴いたことある曲。ですが,今までとかなり印象が違い とてもおもしろかったです。仙波さんの効果が大きいとは 思いますが,他のメンバーもこれまでとはかなり違った演奏。 ドラムもピアノもかなりファンキーな感じ。ドラムは結構 ロックドラム的なグルーブが多かった気がします。いつもは アフリカとかそういう感じのリズムを感じることが 多いNervioですが,ちょっと新鮮です。
そして仙波さん,他のライブでも見たことがありますが, とにかく発想がユニーク。いろんな楽器や鳴り物を使い, また鳴し方も様々。おもちゃとかを使った演奏は仙波さん独特で とても面白です。でも,元々のテクニックがすごいというか, まず片手でならせるリズムが元々かなり細い。素手にしても スティックでカネとかを鳴らすにしても16ビートや32ビートの 精度でならせるので,空いているもう一方の手で,他の 鳴り物をならしたり持ち変えたりと変幻自在です。 そしてもちろん,どこか「和」のテイストのある サウンド。そういえば無国籍バンド的なNervioですが, こういうテイストは今まで余りなかったような。
かなり演奏キャリアも長くなってきているNervioですが, 今回は仙波さんの参加でセッション色強く,それゆえか メンバーの緊張感もかなり高くて,すばらしい演奏に なっていました。観に行って良かったです。
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