02年7月から9月に見たライブなど

文体がころころ変わってすみません。ちょっと試行錯誤 してるので…

02/09/20:Pat Metheny Group(NHKホール)
02/09/21:Pat Metheny Group(大阪厚生年金会館大ホール)
いやぁ…,いってきましたよ,パットメセニーグループ(PMG)。 前回も東京と大阪の二回行きましたが,今回も そうしました。で,レポートはまとめて書かせていただきますね。 内容的にはほぼ同じなので。
いや,それにしても,PMG,現在最高のジャズグループと 言わざるを得ません。作曲,曲の構成力,エンターテイメント性, ここのメンバーの演奏能力,そして体力(笑),それらを総合して このバンドに勝るバンドはいないのではないかな。もちろん 即興性とか個々の要素では他にもすごいバンドはあるけど, やはりあれだけ複雑な曲をしっかり演奏し,なおかつ その上でのソロとかの自由さ(特にパット)など,また 曲毎によって大きく変わるカラーなど,とにかくすごい。 CDのあの曲をさらにハイテンションで演奏するわけだから, こっちとしてはアングリとするしかないわけですよ。 しかもほとんどミスもしないし。もっともあれだけの演奏の中で 多少のミスとかがあったとしても,それを語ることにどれだけ 意味があるかわからないけど。
今回は新譜Speaking Of Now(SON)からの曲を中心…と書きたかったのですが, なんせ約20曲も演奏したので(笑),SONの曲を十分に演奏しつつ, それ以外の昔の曲も十分に聴かせてくれましたよ。SONの 曲はCDの世界を見事に再現してましたが,古い曲では現在の PMGによる新たな解釈を聴かせてくれるわけで,その辺はうまいというか いろんな聴かせどころをつくってくれるステージですね。
SONでは,パット,ライル,スティーブ以外のメンバーが 入れ替わり,CDでも大きくフィーチャーされていたけど, ライブでも新しいメンバーの持ち味が十分に生かされていると 感じました。 特に一時期強く出ていたラテン(ブラジル?)色がすっかり抜けていたのが, わたし的にはうれしかったです。そのかわりリチャード・ボナの 歌(というより歌詞?)のせいかアフリカ色が出ていた気はしますが。 もっとも,新メンバーはリチャードだけじゃなく,ペットの クン・ブーも新しいPMGを彩ってましたね。この人のペット, 非常に美しく,表現力のある音をしてます。こういうタイプの ペットってあまり聴いたことなかったなぁ。最近テクノ系で ささやくようなペットが流行ってますが,そういうのとも違う, しっかり音は出てるけど繊細。ドラムのアントニオ・サンチェスは とにかくシンバルワークがすごい…っていうか金属系の音しか 聴こえないんだけど(笑)。とにかくパットはこれらの新しい メンバーをうまくバンドのカラーに出していましたね。 当然古い曲もやったんですが,いずれも新鮮に聴こえました。
ただ,おしむらくはSR(PA)が悪かった。特に二階席で聴いた NHKホールは最初ギターしか聴こえないし,徐々に良くなってきたけど, 低音のあるところでブーミーになるし…。大阪はまだだいぶましだったけど, リチャードのパーカションやライルのシンセとかは,良く聴こえなかったのが, とても残念です。
まぁ,そういう点はあるけど,とにかくあとはどこをどう切っても すばらしいとしか言いようがないライブ。二回見て,内容的には ほぼ同じながら,二回とも感動できました。20曲で演奏時間は 3時間以上,メンバーは曲によって休憩していたけど,パットは 水すら飲まず,ずっとステージ上に上がり演奏しっ放し, この人,人間?…と疑いたくなるようなライブでした(笑)。 すごいよ,やっぱり食べてるもの違うんですか(笑)?。
以下,細かい話かつ,どうでも良い話も入ってますが(^^;)…。
  • ライルが生ギターを弾いていたのにびっくり。 前の時もエレキは弾いていましたが…。このバンド ギター弾く人が四人もいるという…。
  • パット,リチャード,アントニオでBright Size Life をやったのにびっくり。サービスでしょうね。
  • ピカソギターでAre You Going with Meを弾いたのも 驚きました。
  • パットのギターはすばらしいです。特にライルがいなくて, コードとかイントロとか合わせながらメロディを弾くとき, そういうスタイルで弾くジャズギタリストはたくさんいますが, アレほど,自然に弾ける人はいないんじゃないかなぁ。
  • CDでも感じましたが,ライルは以前に比べて,アグレッシブに 弾くようになってる気がします。でも彼のガッツポーズは ちょっと…(^^;)。
などなど。
それから,東京と大阪が同じと書きましたが,音響的には 大阪の方がよく行った甲斐がありました。ただしこれは席のせいかも しれません。もちろん,ソロや曲のダイナミックスの付け方とか 微妙なところは違いはありました。
というわけで,やはりPMGのライブを見られることは幸せ。 とにかく最高のライブを経験させていただきました。

02/09/10:Quiet Leaves (神楽坂SOMEDAY)
ほぼ二ヶ月ぶりのQL。久しぶりかな?… と思ってたら,そうでもないようですね。まぁ7月8月はいろいろ あったので,そう感じるのでしょう。
とはいっても,新澤氏のライブに関しては間にNervioとかJazz Roots とかをみていて,アクゥースティックなセットは久しぶりに 見る気がします。
すでに,非常に息があっていて,どこからどこにでも行けるような 自由な感じのするこのバンド,安心してみられます。 演奏はフリーなスペースが結構多くて一曲が長かったり しますが,特にだれた感じはせず,楽しくみれます。 それにしてもアルバムに入っていた曲はもう…,全然 別な感じですね(笑)。でも,やはりQLというカラーが しっかりあって,それは以前と変わっていないところも このバンドのいいところです。
さて,今回は岩瀬氏の曲でQLでは初演,新澤氏の曲で初演という風に 二曲も新曲がありました。そういえば,曲も増えてますね。 そろそろ新譜でも…とか思ってしまいます:-)。
新澤氏に関して言えば,今回は柔らかいタッチで,ピアノを 十分に弾いていたという印象です。ピアノが非常に ピアノらしく響いていたのが印象に残りました。
このバンドを聴いてると,リリカルで,美しい会話としての インプロビゼーションというものを実感します。リズムや 技で語り合うのとはちょっと違う…。こういう感じとても好きです。 体にしみわたりました:-)。

02/09/09:True People's Celebration(読売ランドEAST)
このイベントはジャムバンドをずっとオーガナイズしている Organic Groove発の野外イベントです。ここのイベントは だいぶ前にMedeski, Martin & Wood( MM&W)のライブを 見るため一度だけ行ったことがありますが,今年初めて, 野外イベントを行った様です。しかもかってライブアンダーが 行われた読売ランドで。なんとなく非常に象徴的な事のように 思えるのですが,いかがでしょうか?(^^;)。20年近く前に,私たちが ジャズに求めていたものは,今のジャズシーンより,もしかしたら こういうところにあるのかも知れない…というような…。まぁ 勝手な思い込みですが(^^;)。
とはいえ,ちょっと会場の様子を書いておくと,EASTの 席がある部分だけを使うだけ(つまり芝生部分は使わない)で おそらくライブの最後の方にはほぼ満員になるくらいの人出でした。 非常に若い客が多い,おそらくほとんど20代前半であったのが 印象的でした。1万円以上するチケットですから,みなさん,こういう 音楽が好きで来てるんでしょう。今のジャズフェスとかは結構 おじさんが多いんですが,全然見ませんでした。
さて,このイベント自体は昨日から二日間やっていたのですが, わたしが見たのは今日だけ。ステージはメインステージと, その両脇にDJブースの様なものがあり,プログラム的に書くと, メインステージは
  • The Slip
  • Black Frames
    members of Critters Buggin
  • UA
  • Hermeto Pascoal
  • Medeski, Martin & Wood
という面子,サブステージは
  • BAYAKA
  • Rei Harakami
  • Juana Molina,
    Kabusacki & Alejandro Franov
    Seiichi Yamamoto &
    Yuji Katsui
  • DJ Klock
という面子の演奏でした。交互にやって,観客はずっと見ていれる… という仕掛けでした。サブステージはDJがメインですが,Juana Molina以下… のステージはアクゥースィックなセッションでした。
面子が多いので,それぞれの感想を書くのも大変なので, 思いついたのだけでも(^^;)…。ちなみにUAはCDとかTVで 見たのみと,生で見たことがあるのはMM&Wで,それ以外は 聴くのもはじめてという状態でした。
メインステージは基本的にジャムバンド。UAとHermeto Pascoalは ちょっと毛色が違います。ジャムバンドはやはり聴いて思うのは とても「わかりやすい」です。というか,聴いていて,どこが 盛り上がるところか,とかいうのが,とてもわかりやすい。たぶん みんなもそうなんでしょう。だから一緒に踊ってると,一緒に 盛り上がりとても一体感が得られます:-)。基本的にリズムが ミソというか,ドラムはどのバンドも柔軟でグルーブのあり, ベースは逆に非常にトリッキーというかベースの枠を越えSEみたいな 音を出すような人が多かったです。フリーインプロビゼーションが 演奏の大半を占めるためか,演奏自体も混沌とした部分があり, そこで,ドラムもベースも効果音的な演奏をすることが多いです。 そしてその混沌から,ストンと抜け出して急にグルーブするところに 切り替わる瞬間が気持ちいい…,なんかそういう音楽という気がします(笑)。 従って,ウワモノ今一つ何をやってるのかわからない部分も(笑)。 テクニックとかでスゲーという様な音楽じゃないですが, バンドの一体感という意味では,なかなかすごいな…と 思わせる部分もありました。
UAは,なんでこのイベントに出るんだろう?…と思ってましたが, TVとかの印象しかなかったのですが,バックの演奏は結構前衛的で, イベントにあってました。とはいえ,この人まだ30歳なんですね。 しりませんでした(^^;)。ずっと歳上かと思っていて,びっくり。 30歳で良くあんな音楽出来るなぁ…と思っちゃいました。特徴があり 力量もある声,そして変わった音楽…,なんとなくビョークに 通じるものがある気がしました(聴いた感じじゃなくてね)。 でもピンクのレースのドレスに厚底のスニーカ…というセンスは やはり30代40代の人には無理かも(笑)。
Hermeto Pascoalは実ははじめて聴いたのですが(マイルスで 聴いてるはずですが意識してませんでした),エネルギッシュで 楽しいステージでした。Hermeto自体はキーボードとうなり声そして ウガイ声で歌ったりとか,そういう感じでした。ブラジルぽさが あるんですが,意外にこういう面子の中で聴くと,結構フュージョン ぽいなぁ…とか感じてしました。
メインはこんな感じでしょうか。サブはDJなので,特に書きませんが Juana Molinaのセットの事だけを書くとJuana Molinaが生ギターを 弾きながら歌って,他のメンバーはパーカション,キーボード, バイオリン,ギターとかいう感じです。キーボードが何となく 土着ぽさを抜いて,スペーシーな感じにしてるのが印象的でした。 この人アルゼンチンの人のようですが,わたしは最初聴いたとき 北欧ぽいなぁ…とか感じてしまいました。トライバルな感じというか…。
この辺,西洋人の非コード系のメロディ感覚なのかもしれない…と ふと思ってしました。
という感じです。会場はアリーナ(?)の部分はダンスフロアに なっていて,踊りたい人は踊ろう…という感じ,わたしも最後の MM&Wの時は,踊っていました:-)。
というわけで,普段,なかなか自分が行かないゾーンの音楽, しっかりと存在しているのだなぁ…と実感したライブイベントでした。

02/08/24-25:東京Jazz2002 (東京スタジアム)
今年から始まったジャズイベント。都市型であることとか 面子の関係で,かってのライブアンダーを髣髴させます。 というわけで,かなり期待していきました。ちなみに 会場とか運営とかの感想は日記(8/25)の方に書いてます。 ここでは主に音楽的な話を書きます。
出演者は,細かいところは上記リンクをみてもらうとして, 初日が寺井尚子+coba,熱帯ジャズ楽団という日本勢のあと, ハービー・ハンコックのFutuer 2 Futuerバンド,ウェイン・ショータ・ クァルテット,そのあとセッションをやった後,最後は ブエナ・ビスタ・ソーシャルクラブ。二日目が 矢部直,ニルス・ペッター・モルベル,小林桂,ブエナ・ビスタ・ ソーシャルクラブ,ハンコック,ショーター,そしてセッション でした。
残念ながら二日目は遅刻して,矢部直とニルス・ペッター・モルベルの ステージは見損ないました。で,全体の感想として,ハンコックバンドと ショータークァルテットの凄さが目だった…という感じでしょうか。 というわけで,ちょっと日本人勢の話は今回は置いておきます。 あっ,寺井尚子ははじめてみましたが,思っていたよりずっと 良かったです。結構やるなぁ…という印象。
で…,
ハンコックはFutuer 2 Futuerバンドを引き連れての登場。 他の海外のジャズフェスではマイケルブレッカーとの セッションをやってるところからして,今回のジャズフェスが 未来の音楽…ということで,敢えて去年 来日したこのバンドでの登場だったのではないでしょうか?。
今回は会場がかなりライブだったためか,こういうテクノ的な サウンドは結構マッチしてました。また他のバンドと違って このバンドの場合サイドスピーカとかも利用して,より空間的な 演出をしていたと思います。そういうせいもあるでしょうが,去年より かなりパワーアップした感じで,すばらしかったです。
ショータークァルテットも去年の 斑尾でみてるんですが,やはり会場との相互作用か, はたまたバンドの調子がいいのか物凄い演奏。なんといっても ドラムのブライアン・ブレードが凄いです。彼の熱さがバンド全体を 引っ張っています。ダイナミックスの付け方,間の取り方,そして 体の動き(笑),絶妙です。会場の残響をうまくコントロールして, 叩きまくっていた感じもします。そして彼を含めたバンド全体を ほとんど断片的なフレーズで完全にコントロールしているショーター, これも圧巻。
わたしはDJとかを使っているハンコックバンドは然る事ながら, こういう空間を利用して,なおかつ,支離滅裂で(笑),ダイナミックな ショーターのバンドも意外にテクノやジャムバンド的だな…と 思ったんですが,どうでしょう?。コードやテーマが解体されている ところはフリージャズぽいんですが,バンドが全体として一体になっていて, だれがソロ,だれが伴奏…という感じがない辺りも,そういう 気がしました。
というわけで,ショーターに圧倒され,ハンコックににやりと させられたジャズフェスでしたが,他のセットもちょっとだけ(^^;)…。
ブエナ・ビスタはオマーラ・ポルトゥオンドという70過ぎの おバーチャンが,歳を感じさせない,凄い声で結構良かったんですが, 音楽的にはキューバミュージックでした。いや,いいんですけどね(^^;)。
で,セッションは初日のは,ちょっと消化不足,段取りが…。 ショーターとマイケル・ブレッカーの顔合わせで期待したんですけど, なんかステージに上がった人が多くて,収集がつかなくなったというか…。 二日目は主にモルベルのバンドに,他の出演者が混ざるという感じ。 テクノ系ということで期待しましたが,モルベルバンドが弾いているときは テクノ,テリリンキャントンがドラムをたたき出すとファンク, ブエナ・ビスタのパーカッションが叩くとラテンになるという なんとも不思議なセッションでした。展開は激しかったですが, この日はそれなりに収集がついて:-),ショーターと マイケルのサックスの掛け合いも楽しめました:-)。 かなり珍しい図だったのでは?。
ただしちょっと思ったのは,モルベルバンドというのは わたしは方向性的に非常に支持してるんですが,今回の セッションでは,ハンコックやショーターの生演奏組の 力量の差が顕著になってしまったなぁ…という印象を持ちました。 やっぱりジャズの歴戦の人ですから,どっからでも 自分の領域に持っていけるというか…。 この辺は,経験とかで何とかなる話なのか,それとも テクノ系ジャズの限界なのか?…は,ちょっとまだ判断がつきません。 いずれにせよ,二日目のセッションは未来を感じさせる部分も あっておもしろかったです。
…という感じですが,最後に一番印象強く思ったのは, 日本人バンドも含めたくさん出てましたが,結局一番 キャリアがあるはずのショーターやハンコックが一番 最先端の音楽をやっている辺りが,ちょっと皮肉的でした。 もちろん日本のジャズミュージシャンも,力量はともかく アイディア的にはハンコックバンド以上に先進的な音楽を やってる人たちがいるんですが,なんでそういう人を 連れてこないのかなぁ…,とかとも思いました。 いや,日本人で出ていた人たちも人気実力ともに十分なのは わかるんですが,そういう意味で,イベントがどの辺の 音楽を狙っていたのか?…というあたりで,ちょっと 良くわからなかったので…。 でも,集客性を考えると,バリエーションを豊かにしたって ことなのかもしれませんが…。

02/08/22: 臼庭潤 Jazz Roots(渋谷スピーク)
はじめて見に行くバンドですが,動機は 新澤氏が加入したので,どういう音楽やってるのかな?…と 言うことです。
場所は渋谷のスピークという店。非常に小さい店でたぶん20人入れません。 コンクリートの壁で音の分離も悪いんですが,まぁそれはそれで 客席と一体化した熱い演奏を演出した気がします:-)。
さて,音楽ですが,非常に真っ直ぐな音楽でした。Jazz Rootsとか いうので,もっとジャズとかブルースとかみたいのかな?と 想像していたのですが,カリプソで始まり,ファンクや ソウル,ポップの様な曲調。今回はボーカルがいたので( いつもではない様子),スティービーワンダーとかスタンドバイミーとか 煙が目に染みるとか…,そういう曲もやった…というと 雰囲気がわかるでしょうか?。
曲自身がポップなせいもあるでしょうが,ソリストのソロが みんな非常に歌っていたのが印象に残りました。もちろん, みなさん非常にしっかりした音を出しているんですが,フレーズを ちりばめるというより,最初から最後まで歌い通すという感じの ソロです。そして歌の中から盛り上げていくので,会場全体 とても楽しい雰囲気でした:-)。
ちなみにメンバーは
  • 臼庭潤(T.sax)
  • 佐野聡(tb)
  • 新澤健一郎(kb)
  • 養父貴(g)
  • 樋沢達彦(b)
  • 松山修(ds)
です。フロントはテナーとトロンボーンで音域が重なるため, 結構テーマとかは重厚で,良くアレンジされてました。 全体的にポップ結構みなさん弾けながら楽しく演奏してましたが, 演奏自体が非常にしっかりしていたのも印象的でした。フロントの 二人はパーカッションとかもやってましたが,すごくうまかったです。
なんか非常に若々しい,そして楽しいバンドでした。 歌心のあるバンドで,そういう意味でJazz Rootsなのかな?…とか 思いました。また行こうと思います。

02/08/08:Nervio (六本木ピットイン)
何が原因かは良くわかりませんが,かなりキテル演奏でした。 メンバーの体調のせいだったのでしょうか?,ハコのせいでしょうか?, 観客のせいでしょうか?…,まぁ相互作用でしょうか?…。
レコ発…と行ってもちょっと半月ほど間があいての 後半戦の開始です。前回はツアーの 初日だったので,そのあとのライブでバンドも成長してるだろう…と 思ってはいたのですが,最初からのテンションの高さに びっくりしてしまいました。
ソロの自由さ,大胆さ,そして空間の使い方が,とてもすばらしいです。 Nervioはソロバリバリという感じではなく,各メンバーの 演奏が有機的に混じりあってグルーブを作っていくというタイプの バンドですが,今回はサックスの音川氏,ピアノキーボードの 新澤氏のソロが凄かったです。ハダカ(伴奏なし)の状態が 結構多く,そこでソロを一人で組み立てて行くという,力量の 大きさを見せ付けてくれました。
とは言っても,やはりNervio,岩瀬氏,ヤヒロ氏のリズムの グルーブでバンド全体のサウンドもしっかりしてます。このリズム陣, セット的にはドラムとパーカッションですが,どうも明確な 役割分担はないようで,お互いのパルスを混ぜ合って大きな サウンドを作っています。こういうリズムってなかなかありません。
水野氏の意表をついたベースもすばらしかったです。
最初から飛ばした演奏に,観客も大反応,どす黒い奇声が(笑) 演奏中も沸き上がり,演奏のテンションもどんどん上がっていきました。 わたしも思わず最後の方はじっとしておれずスタンディング, アンコールのBoilCoilの時は観客の一部はいっしょに歌ってました。 これはロックのコンサートか?(笑)。
というわけで,かなりこっちまで入ってくる演奏でした:-)。 ジャズでここまで熱くなったのは久しぶりです。 というか,Nervio,ジャズとかフュージョンとかには収まらない スケールの大きさを感じさせるライブでした。明日,明後日は 関西方面でライブとのこと,わたしは行けませんが, 見に行った人のショックぶりを聞いてみたいです。いや ほんとう…,ああいうバンドって最近ないと思いますので。

02/07/20:Nervio (六本木ピットイン)
先月発売した1st.アルバムの発売記念ライブです。 ちなみに前回のライブは レコーディング中でした。今回は既に発売中なので, レコーディング等の秘話等がMCで飛び出し,なかなか 興味深かったです。例えばPa・ra・bo・raのピアノソロとか, 偶然…のベース抜きとかは,レコーディング直前に決まったとか…。
さて,今日から6回ほどレコ発ツアーとなります。 曲順は漆黒斎先生のページを参照ください。 アルバムの曲+だまし絵ということでした。だまし絵はもともと Nervioでやっていた曲です。今回のツアーでも他のCD未収録曲が 聴けるかも知れません:-)。
前回のレコーディング中の演奏はレコーディングによって, 急激に曲のキャラクタが固まり,曲毎のメリハリが露になった という印象でしたが,今日はそのキャラクタの上に,さらにメンバーの イジリが入って,すごみが増してました。リズムのグルーブすごさ, ピアノ・キーボードやサックスの上物による,曲のカラーの コントロール,そして低域でうねり続けるベース,主従の関係がない 一体感で,生き物のような演奏には更に成長しています。 もちろんCDに比べると曲のサイズも大きく,またライブゆえの 盛り上がりというかダイナミックさもあるんですが,CDにある アンビエントさや静寂性もしっかりあるところがNervioの すごさです。そしてシンセを使っていようが,やたら 有機的です。まぁシンセ・イコール・機械的っていう考え自体が もう古いのでしょうけど…。
今回これからのツアーでどのように成長するか楽しみです。 すでに,非常に日本では希有なバンドになっていると思います。 いろいろ忙しいメンバーですが,沢山の 人に是非聴いて欲しい音楽ですので,活躍の場を広げていただきたいと 思っております。
さて,個人的な話ですが,先日わたしが海外に旅行に行ったとき NervioのCDを持っていきました。いろいろと旅行中の いい思い出と曲がシンクロして,わたしには重要な一枚に なったのでした:-)。 ちょっとライブの話からはずれましたが…。

02/07/12:north sea jazz( Netherlands Congress Centre)
いわゆる「ノーシージャズフェスティバル」というやつです。 オランダのハーグという街で年一回開催されるジャズフェスで, 良く日本でも録音放送されていたりします。
オランダ旅行したい…と思っていたら,たまたま7月12〜14日まで やってることを知り,慌ててその日程に合わせて行ってきました。 ジャズフェスだけが目的の旅行じゃなかったので,結局12日だけ しか(しかも途中で帰りましたが)見てませんが,軽くレポートします。
まず会場はDen Haagという都市にあるNetherlands Congress Centreという 国際会議場です。ここに15程ステージが立ち同時に進められていきます。 会場の規模はまちまちでメインであるSTATENHALとかは数千人はいり ステージも二つあって,片方ずつ入れ替えるという大会場ですが, 一方で学校の教室くらいの部屋もありました。 ただしいずれの会場も床で,椅子はあまりありません。ですので, 観客の中には椅子持参で来てる人が沢山いました。もしくは スタンディングで見るという感じです。
また会場の中での飲食は,まず現金からMUNTENというプラスティックの コインに変え,それで買います。ビールやジュースをはじめ,パンや チーズなどヨーロッパらしい食べ物が沢山ありました。そのほかにも CD屋やグッズ屋も出てます。こちらは現金で買うようですが…。
さて,ステージですが,面子は上記URLで確認してもらえばわかりますが, 今年はハンコックやショーター,マイケルブレッカー,メセニー,ジョンスコ, エルビンジョーンズなどそうそうたる面子です。イエロージャケットや サンボーンの様なフュージョン系もいますしチャカカーンとかも います。これだけ豪華な面子を同時にみられる機会…,いや 同時にはみれませんが(笑),そういうのって日本ではどんなジャズフェスでも 無理なんじゃないでしょうか?。
ちなみに話がそれますが,ブレッカーとかハンコックのステージは別料金 でした(苦笑)。
というわけで,わたしがみたのは,ジャズランドのEIVIND ARRSET, その後DAVID SANBON,そしてZAWINUL SYNDICATEです。ではそれぞれについて 軽くコメント。
EIVIND ARRSETはジャズランドのギタリストで,ジャズランドといえば, 先日BUGGE WESSELTOFTと WIBUTEEを横浜でみましたが,この日もこの後やってました。 会場でわたしのとなりに座っていたドイツ人が,ブッゲはすごい って言っていましたし,その後ホテルに帰ってTVをみてたら, 今回のジャズフェスとは関係ない番組でブッゲが出ていて, ジャズランドって結構ヨーロッパでは人気があるんだなぁと, 思いました。
さて,ジャズランドとしては三人目のステージを体験したのですが, そこで得られた結論としては「ジャズランドはフォーマットだ」という ことです。つまりリズムマシン+ウッドベース,そして非常に小さな ドラムセットという共通のフォーマットがあり,そのうえで ギターだったり,サックスだったり,キーボードがカラーをつくっていく というものです。でも結構この上物が影響してるのか,フォーマットが 同じ割には聴く印象が違っていて,バリエーションはあります。 そういう意味では,結構拡張性があるフォーマットなのでしょう。
ドラムがすごく小さく,しかもブラシとかを使ったりと,いわゆる 小音量系なのですが,これも良く考えられていて,一番ラウドに叩くと リズムマシンをやっと掻き消すくらいになるようになっているようです。 つまりリズムマシンとうまく絡んで,そのブレンドの具合も ドラムの方でコントロールしやすいような感じになってます。
さてこのバンドは,トリオでギターとベースとドラムですが, ベースは半分くらいエレクトロニクスをいじってました。 EIVIND ARRSETはギタリストなんで,彼のプレイをちょっと 書くと,バリバリにひくよりは半分くらいエフェクタを いじってました(笑)。歪んでる音ですが,ボリューム奏法とか サンプリングとかで立ち上がりは聴こえません。そして 音が消え去る際に次の音を重ねていくという感じです。
さて…,このバンドの次は実は当初ザビヌルシンジケートだと 思っていたのですが,当日のスケジュールを開いてみると, サンボーンになってました。サンボーンとザビヌルは一番 大きな会場でやってました。
まぁ,サンボーンはいつものバンドですね。安心して聴けます。 でも,敢えて心配なことを書くと,もう5年くらい同じ曲を同じ様に 演奏してるような気がするんですが,大丈夫なんでしょうか?(^^;)。
で,その次に見たのが,やっとお目あてのザビヌルシンジケートです。 なかなか始まらないと思ったら,始まる前になぜかウェインショーターが 出てきて,ザビヌルにトロフィーを渡してました。何か表彰を受けたようです。 で,思ったよりザビヌルは元気そうでした。むしろショーターの方が, なんか動きが緩慢で,大丈夫かなぁ…と言う感じでした。
演奏は残念ながらショーターは入りませんでした。ザビヌルシンジケートの ライブは二回目ですが,以前よりアフリカ色が抜けた気がします。 以前見たときは,メンバーにアフリカ勢が多かったせいもあるんでしょうけど。 とはいえ,こういうメンバーの変化をうまく採り入れて,いつもの ザビヌル節をひきまくる。強力なリズム隊相手にシンセとかボコーダで しっかり立ち回るザビヌルはすてきです:-)。 やっぱり是非日本に来て欲しいなぁ…。
というわけで,ここで夜の10時を回ったので,残念ながら 途中で帰りました。
ノーシージャズフェスは夜の2時過ぎまでやっているので, 今度行く時はアムスではなく,ハーグに宿をとって是非 全部のライブをみたいと思います。今回はオランダ旅行の ついでに寄ったという感じですが,このジャズフェスを 三日間楽しむなら,2,3年に一回くらいオランダ旅行を してもいいという感じです。本当に世界一のジャズフェスを みたという感じでした。

02/07/04:Quiet Leaves (神楽坂SOMEDAY)
半月もしないうちにQuiet Leavesです。このバンドあまりライブ やらないのでこういうペースは珍しいです:-)。
とはいえ,前回はin Fという狭いハコ。今日はSOMEDAYなので, 当然演奏もちゃんとSRを通した音でラウドに…,っていうほど ラウドにならないのがQuiet Leavesなんですが(^^;)。
そんなに頻繁にライブをやってないのに,息の合い具合いは絶妙です。 しかし,いつも思いますが,本当に楽しそうに演奏をする バンドです。それは毎回のステージが変化に富んでいて, 新しい側面を作り出しているからでしょう。
今日は全般的にゆったりとしたテンポでの演奏が多く, 一曲目はサンシャインだったんですが,いつもの1.5倍くらいの テンポ(新澤氏談)でゆったりと30分くらいやってました。 しかし,そういう大きなテンポですから,その中でいろんな 大きさの音符を繰り出せて,全体的に非常にダイナミックな 演奏になっていたと思います。静かなフリーという感じで, 自由かつリリカルな演奏が,どの曲を通じても感じられました。
ところで,今日目だったのはサックスの音川氏。 すごく太くて抜けがいい音で存在感のある音でした。音川氏は 以前はちょっと細目の音という印象がありましたが,今日は 全然そんな感じがなく,リリカルな部分でも抜けが良く, 曲が盛り上がってきたところのラウドさもすばらしかったです。 あとで聞いたら楽器を替えたようで,いい楽器と出会ったのでしょう。
というわけで,全体的にテンポの遅いなかで,いろんなやり取りが 聴かれて,とても面白いライブでした。このバンドも どんどん成長してます。そろそろCDとか出してもいいんじゃ ないでしょうか?。でもライブならではの良さをすごく持ってる バンドだったりもしますので,ライブもどんどんやって欲しいです。

02/06/20:Quiet Leaves (大泉学園 in F)
会社(武蔵野)から直接大泉学園に行くのははじめてだったので, バス乗り場等で激しく戸惑いながら行くと,たぶん三曲ぐらい 終わった後でした。失礼しました。
さてこのin FでのQLのライブの久しぶりです。ここは非常に 小さいハコです。この日も10数人の客でしたが,結構入ってる 感があるくらいです:-)。 というわけで,プレーヤと距離も近いですし,それに演奏自体も 生音でのバランスになります。特にドラムとかは大きなハコとの時とは 違った感じになります。
そういう意味でin Fでしか聴けないQLというのもあるのですが, 今回も,そういう演奏をたんのうできました:-)。なんか プライベートな部屋で演奏しているような,妙なサロン感が とても良いです。
生音ですがバランスは絶妙。そして,メンバーの息のあった 会話のような演奏がとても楽しかったです。今回はMCも ほとんどなく,それでも11時半くらいまで演奏してました。 WYSIWYGからの曲(reflector)も演奏して新しい魅力を 聴かせてくれました。
なんかお店の雰囲気のせいもあるのでしょうが とてもアットホームな感じのライブでした。次回は来月の somedayなのでまた違った面を聴かせてくれるでしょう。




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