'00年/1月〜3月の間に観たライブなど

00/03/31:B.B.Groove( 六本木ピットイン)
納浩一のユニット,B.B.Grooveのライブである。12/21の前回から三ヶ月 ぶりのライブ。編成は前回のレポートを読んでいただければ, わかるが,予告通り今回はChakaさんをゲストボーカルに 加えたライブであった。
ライブは最初二曲ほどChakaさん抜きではじめる。 いきなり,岡部氏のパーカッション…というか ループドラムというかサンプリングというか… とにかくちょっと変わったオープニング。そのループドラムに 合わせて,納氏がウッドベースでリフを引きはじめる。 リフを引きながらメンバーを一人一人紹介し,そして, ループとリズムを瞬時に切り替え,一曲目をはじめる。 ウッドベースでありながら,実にクリアでアタッキーな ベース。ファンキーである。二本のギターとバリサクが 複雑に絡み合うB.B.Groove特有のサウンド。二曲目は ディープパープルのブラックナイトをファンク的にアレンジ。 とはいえ,布川氏のギターの音がしっかり70年代していて ニヤっとさせられる。
三曲目はガレスピーのビバップ,ここでChakaさん入場。 スキャットで歌う。四曲目はPrinceのKiss, その後二曲納氏のオリジナルにChakaさんが詩をつけたという オリジナルと続く。
ここで盛り上がりつつ前半の終了である。MCでも言っていたが, 納氏はちょっとボーカルものに目が行っているようである。 Chakaさんの参加ということもあった(というかそれでか?)のも あるが,歌ものを作曲し,演奏自体もボーカルをメインに 行っている。もちろん,ボーカルバンドではないので, 各楽器もフィーチャされた演奏であるが,どの曲も, ボーカルがいい感じで骨子をつくっている感じがした。 Chakaの歌は以前スタンダードを歌っているのを 聴いたことがあり,ジャズをジャズらしく歌いこなしていた という印象であったが,今回は実にファンキーで太く 熱くシャウトしていた。バンド自体がファンクを 目指しているので,このバンドに実にマッチしたボーカル, したがって,バンド全体としてもすごくポップで バランスのいいバンドに感じた。
後半も同じように最初ボーカル抜きでオリジナルを二曲演奏。 特に後半二曲目は岡部氏の不思議なパーカッションをフィーチャ, これもこのバンドの白眉の部分である:-)。 その後Chakaさんを加え,最後まで一気に行く。 グラハムセントラルステーション,レッドツェッペリンのカバー 等をファンクにアレンジ,大いに盛り上がる。アンコールも エアロスミス:-)。
と曲をみるとハードロックのようであるが,どの曲もファンク的に アレンジされている。しかし曲自身と,おそらくそれを ん十年前に演奏した演奏者の記憶:-),そして演奏者の ジャズミュージシャンとしての持ち味,これらが混じりあって 実にいろんな要素を含んだ演奏となっていて,奥の深さを 感じさせる。しかもファンクを基盤としていること, 特に今回はボーカルをフィーチャしたこともあり, 奥の深さを持ちつつ,ポップさを兼ね備えた演奏であった。 単純に踊っても楽しい。聴いても飽きが来ない,そういう バンドに仕上がっている。こういうと悪いが, 六本木ピットインとかではなく,もっと大衆向けに 演奏をしても十分通用するんではないか?。むしろこういう バンドがメジャーになってくれると日本の音楽界も 楽しくなるのに,そう思いつつ演奏を十分楽しませてもらった。

00/03/08: WYSIWYG( 六本木ピットイン)
私事であるが一ヶ月以上ライブに行ってなかった。これは珍しい(^^;)。 最近ライブに行こうと思ってると,いろいろ用事が入って行けなかった ので,今日は絶対行こうと思っていたら,日比谷線が止まった(苦笑)。 でも意地で行きました:-)。
さて,WYSIWYGのライブは11月の前回から すると二ヶ月以上ぶりである。このメンバーも他のバンド等で みる機会も多いが,この面子で演奏を聴くのは久しぶりである。 CDを出して随分経つので当然というか,CDからの演奏はだいぶ減っており, SmileとIce on Fire(アンコール)の二曲,あとは,他のバンド で演奏される曲もあったが,ほとんど新曲と言っていいものであった。 特に新澤氏はたくさんの曲をもってきている。曲名も決まってない 曲が多かったし,他で演奏をしてないないのであれば,ここに 曲名を書いても仕方ないがないので,敢えて全部は記さない。
さて,演奏である。全般的に思ったのは,フュージョン色が 若干下がったのではないか?,ということ。リズムがジャズ的な シャッフルだった曲が多かったり,逆にバックビートの曲は 1コードだったり(矢堀氏の曲9909)して,ジャズ色やロック色を 強く感じた。新澤氏はシンセのパッドをほとんど使用しなかったし, 矢堀氏は割と歪みの少ない音を使っていたというのもあるかも知れない。 最後の「Song for ...」(Quiet Leavesの収録曲)を聴いて, 「そういえば,こういう曲,今日は少ないな」と気づいたりした。
個々のメンバのプレイを書くと,ピアノ・キーボードの新澤氏は, ますますピアノの比重が増えており,シンセのコードワークは 少ない。というかバッキング自体をかなり減らしており,バンド 自身の空間をとそこに切り込むメリハリをいろいろコントロール しているようでもあった。ピアノのタッチは(いつも思うが,幾たびに) 絶妙になっており,非常に粒立ちのいい音である。粒立ちがいいというのは, アタックの後についてくるサスティンまできちんと鳴しているということだ, ということをあらためて感じさせる演奏である。もちろん, moogの切れた:-)ソロもすばらしかった。
矢堀氏は,VG-8に次ぐ新兵器VG-88を手にし,ご満悦:-)。 エレキギター一本で,エレキの音から, アコギの音まで作って多彩な演奏をしていた。 というか,エレキでアコギの音を作るというのを試しているのか, いつもより割とアコギ系の音を多用し,演奏もサスティンというより, フレージングで変化をつけるタイプの演奏が多かった。今日のバンドの 演奏が割と,ジャズっぽく感じたのは,この辺の影響もあるだろう。
ベースの岡田治郎氏,ドラムの嶋村一徳氏の演奏は,いつも通りである。 実に安定している。
今日は地下鉄の事故で,電車が止まっているせいで,休憩時間も ほとんどとらず10時過ぎには早々に終わってしまうライブであった。 しかし,そのせいか来てるお客さんはコアな人が多かった。 こういう中で,バンド自体はますます変化しているようで, すでに1枚目のCDとはかなり掛け離れたバンドになっているようにも 思う。今のバンドの状態もCDにしておいて欲しいと思うのは, たぶん私だけではなく,そこにいたお客さんは ほとんどそう思ったのではないか?。 次のライブは5月末の様である。待ち遠しい。

00/02/04: JUNKY FUNK( 原宿キーノート)
メンバーの方から削除依頼があったため,削除しました。
どうも,わたしが何かを誤解しているらしいです。 どう理解していないか説明して頂けると大変救われたのですが。
わたしの力量不足で,以前ここを読んでいただいた方には, 申し訳なく且つ残念です。どうもすみません。

00/01/31: 布川俊樹Valis( 六本木ピットイン)
今回はちょっと遅れて会場に行った。1stセットを二曲だけ, 聴いて,あとは2ndとなる。
はっきりとはわからないが,CDに入って無い曲や,新曲も あったようで,なにか意欲的なものを感じる。 valisの曲はジャズのテイストが聞いたフュージョン。アレンジが 非常に凝っており,イントロ,テーマ,キメなどがかなり 複雑に構成されている。かといってガチガチに固まったという 印象もあまり感じず,その曲の中ソロを弾くパートには 十分にフリーなスペースが用意されているという感じである。 曲もバリエーション豊かで,テンポの速い曲もあれば, バラードもある。どの曲もアレンジの巧みさからか,壮大な イメージを喚起する。
ギターの布川氏は,セミアコやソリッドとギターをもち代え, 曲調に合わせて,多彩なプレイをする。しかしどの曲で, 布川氏の特徴である,甘く太いながら良く通るギターの音色を 聞くことは可能。もう一人のフロント小池氏のサックスも, 安定したピッチとジャズ的なフレージングで実にインテリジェントである。 古川氏のキーボード,納氏のベース,木村氏のドラム,菅野氏の パーカッションもしっかり曲の骨組みを支え,かつソロにおいても 曲の緊張感を高める。
Valisも活動歴が長く,実に貫禄のあるステージという感じであった。 近日中に一時期絶版になっていた古いCDも再発されるそうである。 これを機会にさらに積極的に活動して欲しい。

00/01/28: 小池修バンド( 六本木ピットイン)
小池バンドを生で聴くのも三回目くらいだったと思う。 前回はレコ発であったが, 今回も演奏した曲はすべてCD(inside)に入ってるものであった。 ただし当然完成度はアップしている気がする。 今更だが,簡単に説明すると,小池バンドの編成は サックス,ベース,ドラム,パーカッションが各1名,で, キーボードが3人とちょっと変わった編成だ。 曲調的には,フュージョンである。アメリカの東海岸的な ジャズテイストがあるフュージョンに近いが,日本人らしい コードやメロディの美しさももっている。ちょっと微妙な ところをうまく出せてるのではないか?。
さて今回のライブ,完成度が高く心地好いものであった。 曲自体のカッコ良さもライブで再現できているし, 前半から後半に向けて徐々に盛り上がる曲を演奏して, ライブ全体もうまくまとまっていた。 また,このバンドはキーボードが3人もいるせいか,キーボード ソロの時,ソリストがソロだけに集中し,表現豊かな ソロを聴かせてくれる。特にタッチというか, 音の響きを十分にコントロールして演奏をしているようだった。
今回はCDの曲ばかりであったが,次のCDを出したいと 小池氏も積極的である。次のライブではまた新しい側面を 聴かせてもらえると思う。

00/01/21: ブラッド・メルドー( ブルーノート東京)
最近急に話題になっている,若手ジャズピアニストの ブラッド・メルドーのブルーノートライブである。
私はブラッドの演奏を生で聴くのははじめてである。CDは 2,3枚持っている。今回はラリー・グレナディア(b), ホルへ・ロッシィ(dr)とのトリオ。このトリオは彼の レギュラートリオでCDも何枚か出している。
グランドピアノ,ウッドベース,1タムの小さいドラムセットと 実にベーシックなアクゥースティックジャズピアノトリオの セッティング。一曲目からブラッドはジャズらしい演奏を はじめる。
曲は知らない曲ばかりであった。もしかしたらオリジナルなのかも しれない。ただし演奏のやり方としては,スタンダードらしい というかアクゥースティックジャズらしい演奏である。 しかし彼らのジャズらしい演奏というのも, かなりオリジナリティがある。ブルースフィーリングをほとんど 感じさせない,いわゆる白い演奏。たてのリズムというより 横(時間軸)の方向につながるような,独特のタイム感。 ピアノはブロックコード等はほとんど弾かないし,ベースも ランニングベースというよりはもっとリズムを分解して カウンターライン的に弾く。ブラッドのピアノはほとんど右手主体。 左手は右手の隙間を縫って,1音か2音程度弾くだけ。右手は ラインというよりは,しっかりメロディを意識して,手くせではなく 歌うように生成している感じがする。タッチは非常に柔らかく, 音も鍵盤を押した後をきちんと制御して響かせている感じがする。 この辺が,ブラッドが非常に繊細とか豊かなダイナミズムとか オリジナリティがあるとか言われる所以であろう。 他のメンバー,特にベースのラリーは先日パット・メセニーとも 来日していたが,非常に安定した音程とタッチで独自のラインを 弾くすばらしさを感じさせた。ドラムのホルへもアメリカの ジャズミュージシャンに多いがシンバルを実に繊細に扱い 音の空間をつくっていた。
この様にはじめて聴く演奏であったが,若手ジャズピアニストと して期待を裏切らないライブであった。演奏は5曲プラスアンコールであった。 基本的にはほとんど同じようなフォーマットであった。
さて…,ここで終わってもいいのだが(^^;),今回は演奏を聴きながら いろいろ考えたのでもう少し掘り下げてみたい。 演奏はすばらしかった。それは否定しない。が,申し訳ないが, 私はキースジャレットの大ファンで,ブラッドのトリオには キースと同じ臭いがするため,キースのスケールで批評したく なった。つまり天才キースと比較するわけであるから,かなり 辛口になる。しかしそれはキースレベルとの比較であるから, 一概に悪い意味ではない。その辺を読む方は理解して,読み進めて 欲しい。
ブルースフィーリングが無い,横のラインを意識したメロディアス なライン。リズムから解き放された自由な演奏…,これらはキースの スタンダーズにも通じるものがある。実際ブラッドのトリオには キース的なものを多く感じる。しかしキースが複雑なコードや リズムから解き放されて逆に得た,数本のラインが絡むような メロディ,単純なコードをぞっとするほど美しく響かせるコード, そういうものは残念ながらブラッドからは感じられない。左手を 使わないのはいいが,ラインが一本しかないのだ。もちろん ピアノを美しく響かせているが,技術だけならクラシックピアニスト の方が上である。
トリオとしても,感じられたのは彼らには,一体感がない。しかし 共有しているものはある。この辺は狙っているのだろうか?。 インタープレイ的なものが非常に希薄である。しかし,三人が 共通のリズムやコードを共有しているのはわかるのである。 これはなかなか不思議なトリオである。各メンバーはすばらしい 個性的な演奏をしているが,それらがどう絡んでいるかが良く見えない。 そういうつもりで弾いてるのだろうか?。
そして,若いから仕方ないのであるが,ブラッドのバックグランドが あまり豊富に感じられないのである。仮にキースのスタンダーズの 様な世界をブラッドが目指しているとしよう。しかしキースは クラシックをやって,フリージャズをやって,フォークロックをやって, 電気ジャズをやって,ゴスペルをやって,民族音楽をやって, その他諸々をやってスタンダーズやソロに達している。 これはキースの演奏からは聴えてくるのだ。 キースは若いときに多くのスタイルを吸収し,ある歳からそれを すべて削り落としていく作業を今まで続けている。 ブラッドは,音楽をすごく研ぎ澄まそうとしているように 感じる。演奏に対する集中や精神性も重要視している 様に感じる。しかしこんな若いうちから研ぎ澄ますような 演奏を目指して大丈夫なのだろうか?。こんなやり方だと すぐに袋小路に入るのではないか?。余計な お世話であるが,CDを聴いても,ライブを聴いても そう感じてしまった。
という風に,ちょっと辛口に書いてしまった。しかし 若手ジャズピアニストの中ではピカ一であるのは間違いがない。 やはり今私としては彼が自分のバンドではないところで 演奏しているのを聴いてみたい。彼の中にまだ違った側面が 隠されていることを期待したいのである。

00/01/17:Quiet Leaves( 六本木ピットイン)
前回からほぼ十日ぶり,今年二回目の Quiet Leavesのライブである。
前回同様,アルバムの曲は極力避け新曲主体でのライブとなった。 とは言ってもGlidephonicの曲やスタンダードもやったので, 全くの新曲というのは半分くらいか?。
前半は比較的静かめというか内省的な演奏。新曲のワルツ, スタンダード,チョッパー,新曲の四曲。特に最初の 三曲はバラードではないがスローテンポで空間的な演奏。 新澤氏のシンセもエフェクタをうまく使い,モノシンセであるが, 実に響きが豊かで残響の折り重なるサウンドを作っていく。 さらに今回はピアノの演奏がすばらしい。実に豊かに響かせている。 そのせいで,コード的にはシンプルでやはり響きをうまく 使った演奏が主体になってた。
後半には,いきなりコルトレーンのインプレッションズ, チックのウィドウズ,Glidephonicから二曲1999531とMr.Mの メドレー,Song for ...,そしてアンコールがSunShine。 前半より派手めの曲が多く,ドラム,サックスともに非常に 盛り上がる。特に音川氏のサックスは,どこまでいくのだろうか?, と思わせるようなドライブぶり,手に汗握る演奏である。 安ケ川氏のベースもランニング,アルコともにすばらしい。 特にアルコは,ジャズベーシストにしては実になめらかで, 美しい響きを出す。ドラムの岩瀬氏ももちろんいつも通りに, 多彩で柔軟なリズムを繰り出していく。そしてそういう中でも 新澤氏のピアノは今日はシンプルかつ美しくて深みのある ラインを作っていた。
なんか六ぴでは久しぶりにアクゥースティックなジャズを聴いた, という感じであったが,Quiet Leavesらしく,単なるジャズではない ヨーロッパ的な美しさと拡散するリズムを表現してくれた。 ブラックでも,ある意味日本的でもない演奏の一面を持っており, この持ち味をさらにのばしてもらいたいものである。 今回の曲は比較的フリーな空間を多く持つものであったが, それぞれのソロの中で多彩に変化していき,決して単調に ならない演奏であった。各メンバーの演奏も確実に進化しており, 次のライブを心待ちにさせる演奏であった。

00/01/16:Method( 六本木ピットイン)
Methodというアルバムは4年以上前に水野正敏氏が村上ポンタ秀一氏と やっていたユニットで,アルバムを4年程前に出したが,メンバーが 豪華なせいもあり,ここ4年半あまりライブをやってなかった。
そのアルバムは,水野氏らしい強烈なアイディアが詰まっており, 一般のリスナーよりむしろミュージシャンの間で評判になっていた。 ライブも実におもしろいという話であったが,私が認識した頃には 既にライブをやらない状態になっていて,そういう意味で, 今回のライブは待ちに待ったライブである。
そのメンバー,そして曲に詰まったアイディアについては, 水野氏本人の解説を読んで頂いた方がいいかも知れない。 とはいっても,読んでも良くわからないだろうし,読んでCDを 聴いても,何となくしかわからない様なものも多い。
いずれにせよリズム,コードについてはかなり難解でテーマ等を 弾くのはかなり大変そうなのである。そして男性ファルセットを 使ったおもしろいボイスは不思議な世界を展開する。 このようにかなり楽曲的に実に凝っており,ライブでもその 再現を期待し,聴きに行った。
ところが今回はトラブルがあった。コンピュータ担当の久保寛一郎氏が 急病のため欠席になったのだ。これはMethodの一つの売りである, コンピュータと人間の絡みが全くできなくなることを意味している。 従って今回のライブは人間だけで難解な曲を演奏することに なり,期待していたコンピュータと人間の絡みについては, 残念ながら聴くことはできなかった。実際,MCによるとこのバンドでは 三種類の同期方法が使われているとのこと,一つはよくある人間が クリックにあわせるというもの,二つ目がポンタ氏のバスドラムから クリックをとるというもの,そして最後が人間がクリックを叩き, 演奏にコンピュータを合わせさせるというもの。 どうも打ち込み主体というと,人間が機械に合わせるという イメージがあるが,その辺をうまく解決しているのではないか? という期待もあった。まぁこれについては次回のライブで 確かめるしかないのだが…。
さて,実際ライブが始まってみると,主要メンバ(機材?)が抜けているとは 思えないほど,テンションが高く完成度が高い演奏である。 やはりメンバーがメンバーであるのだが,難解なテーマを 演奏しながら,きちんと自分の表現を存分に織り込んでいる。 完全に歌いこなしているのである。特に梅津氏,仙波氏の 演奏は絶妙である。色物ぽいサックスを吹いても,テクニックから 説得力を感じさせる梅津氏,様々な怪しい鳴り物で歌うリズムを 奏でる仙波氏,実にすばらしい。曲によっては梅津氏と仙波氏が 長く二人でプレイするシーンとかあったが,実に楽しくテンションが 高い。そして村上氏の柔軟なドラム, 古川氏の色っぽい音のピアノ,きっちりボトムを支える水野氏, アイディアに飲まれることのない,演奏であった。 そして,聴いているこっちはかなりあんぐりと口を開け, 飲まれてしまうような演奏であった(^^;)。
このバンド4年半ぶりということで,次回は4年後のライブかと 心配したが,どうやら年内にレコーディング,そしてライブを もくろんでいるらしい。非常に希有なバンドである。 これからもたくさんのライブと作品を残して欲しい。

00/01/14: キップ・ハンラハン( ブルーノート東京)
キップ・ハンラハンの(?)ライブ。実は,この人良く知らない。 私は彼のアルバム「A Thousand Nights and a Night」しか 聴いたことがない。このアルバムもちょっと変わっていて, いきなりコンガとピアノで幻想っぽく始まり,その後「喋り」が 入る。その後はいろいろ変わるが,基本的にはパーカッションが 主体だが,いわゆるラテンパーカッションのような陽気さは あまり感じさせず,ダークというか幻想的というかそういう雰囲気が 一貫している。
という風に,その変わった音楽により興味を持ち,まぁ珍しい人 ということもあり,一度見ておこうと出かけた。
さて,ライブであるが,一応メンバーを書いておく。といっても ブルーノートのホームページを参照しただけ(^^;)。読み方が 良くわからないので,そのまま写す。
  • KIP HANRAHAN (musical director)
  • EL NEGRO HORACIO HERNANDEZ (ds)
  • ROBBY AMEEN (ds)
  • PAOLI MEJIAS (congas,bongos,vo)
  • CHARLES NEVILLE(sax,vo)
  • RICHIE FLORES (congas)
  • ANDY GONZALEZ (b)
  • AMADITO VALDES (timbales)
  • HAILA MONPIE (vocal)
  • XIOMARA LAUGART (vo)
なんか当日メンバーチェンジがあったという話であったが, 楽器編成はあってるので,上記は公演メンバーかも知れない (予定ではバイオリンがいたらしい)。見ての通り,リズム楽器が やたら多い。まぁ全員がずっと弾いていたわけではないが, 基本はドラム2人,コンガ2人,ティンバレス,のリズムに ベース,ボーカル。曲によりサックス,他のボーカルが 参加する。ボーカルが全くいない曲も結構あった。つまり ベース以外は全部打楽器である。RUMBAらしいが,私は リズム名称としてのRUMBAしかしらないので,音楽名称 としてのRUMBAははじめて聴くことになる。これだけ打楽器が 多い音楽であるが,不思議にグルーブというよりは, 幻想的な雰囲気がその音空間を占める。これはなかなか 文章で書くのは難しい(^^;)。ドラムやコンガのリズムは パルッシブというより,なんだか柔らかい音の壁のように 空間をさまよう。そして,トークのような歌のようなボーカルが たまに空間に色を沿える。ベースが音楽の骨を構成している。 そういう音楽といえばいいのだろうか?
という風にかなり色物な編成であるが,楽しめた。 聴いた感じはマニアックな感じはせず,聴きやすい。でも あまり聴いたことのない雰囲気を醸し出している。正直 パーカッションばっかりの音楽って,飽きるのではないか? と思ったが,結局飽きること無く最後まで聴けた。 言葉がわかるといいのに…と思うこともちょっとあったが。 あと,演奏技術もかなりで,特に名前がわからないが,ドラマーの 一人がかなりうまい。あとティンバレスの人のタッチが実に 粒が揃っていてすばらしかった。これだけのリズム楽器が 同時に演奏するのに,不思議とぶつかってる感じはせず, アンサンブルされていた。この辺はプロデューサ, キップ・ハンラハンの手腕にも因るんだろう。 ブルーノートの雰囲気とちょっと合わなかった気もする。 もう少しゆったりと体を揺らしながら聴けるようなところで, リズムに泳ぐように聴きたかった気もするが,ともあれ, ちょっと普通は体験出来ないような不思議な音空間を 味わったライブであった。

00/01/06:Quiet Leaves( 新大久保サムデイ)
今年初めてのライブだ。気合い入れて聴くぞ,と思いきや, 熱を出してしまった(^^;)。でも聴きたかったので, 前半だけ聴いてきました。
SomedayでのQuietLeavesということで:-),岩瀬氏の トークで始まる。新春一発目ということでフリー:-)。 なんか打ち合わせに無かったような演奏でしたが(どうなんだろう?), おもしろかった。その後,スタンダードのThere is no greater love を演奏。やっぱりスタンダードぽく無く,どこかフリーな 感じがしてとても面白い。その後新澤氏が以前書いて, このバンドでははじめての(どこかで聴いた気がする) 「シーナリー・オン・ザ・ウォーター」岩瀬氏の新曲「日の出」, 新澤氏のまだ題名のない新曲(テーマの出だしが4/4+3/4の曲),で 前半終了。申し訳ないが,ここで失礼してしまった(_o_)。
アルバムを持ってる方はお気づきかも知れないが,アルバムから の曲はない。MCでは「今日はアルバムからの曲はしない」と 言っていたので,後半もそうだったのだろう。このバンドは どんな曲でも,すごく自由な空間を作り出しているようで, おもしろい。どのメンバーもフレージングだけではなく, ダイナミクスや音色を意識したプレイをするように思う。 岩瀬氏のドラムも単に手数だけでない多彩さがあるし, 音川氏のサックスもなんかヨーロッパ系の空間を重視したような プレイ。安ケ川氏のベースもグルーブというより空間だ。 新澤氏は今回はMoogも持ち込んでおり,ソロなどを Moogでも演奏していた。今回はとても柔らかい感じの コードを弾いているように感じた。
今回は上記の四人の演奏であった。聞いた話だと後半盛り上がった らしいので残念だが17日にもまたあるので,今度は体調万全で 挑みたい。 アルバムに無い曲をやり,ますます新しい方向へ 進んでいく意欲みたいのを感じた。 次回のライブを楽しみに待つことにする。




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