- 99/12/29: Off The ECM On The ECM( 青山スパイラルCAY)
- うーむ,特に語ることはないなぁ(^^;)。朝までのイベント だったので,途中で(11時過ぎ)に帰ってしまいました。 だから,本来どういうイベントだったのかは理解してません(^^;)。
ただ私がみたのは,サンプリングもののDJを二つ。 一人目は,結構その場で作ってる感じもしたが, 二人目は,なんか仕込んできたのを,かけてるって感じがし, わざわざライブで聴くべきものか?,って感じがした。 ECMを素材にしたクラブパーティとしか,このイベントを 表現できないのであるが,二人のDJを聴いて,アンビエント でもなく,ダンスでもない,妙に中途半端なものを感じた。 ある意味聴くことを要求していて,その割には,深みが無い。 踊るためなら,ある程度雑でもいいんだが,聴かせるための 音楽にしては妙に乱暴だ。他のダンスものとかの間に聴くと いいのかも知れないが…。
ただおもしろいな…と思ったのが,やはりサンプリングしても ヨーロッパ的(意図的にしてるのかも知れないが)であり, それもUKというより,フランスとかのイメージに近い。
あと,DJの間にかかっていた,オリジナルのECMのレコードが 抜群にかっこ良かった(^^;)。クラブのスピーカで聴くと, ちょっとライブっぽくて更に新鮮だった:-)。
まぁ,こんなもんかな…ってライブでした。DJの方はいまいち 良さがわかりませんでした。すみません。
- 99/12/21:B.B.Groove( 六本木ピットイン)
- 納浩一のユニット,B.B.Grooveのライブである。B.B.Grooveとは ベース,ドラム,パーカッション,バリサク,ギター二本の グループ。ベースとバリサクがボトムを支えて,グルーブを 作り出すことからこのグループ名がついたらしい。決して 「ボチボチグループ」ではない(楽屋落ち,笑)。
さてこのバンド,どう表現したらいいのだろう?。 納氏は普段はアコベも弾くが,ここではエレベに専念。 バキバキの音で弾くが,リズミカルなスラップのパターンを 弾くというよりは,フレーズを弾いていくという感じだ。 小池氏のバリサクと絡んで,ファンキーだが複雑なラインを 形成していく。布川氏と矢掘氏のギター二本も 複雑に絡んだクセのあるテーマ?を弾く。 ドラムは岩瀬氏らしく非常に,弾力があり, なおかつ音数も多い。パーカッションの岡部氏は サンプリングを多用した,実におもしろいサウンドを つくっていく。実にユニークだ。
今回はこれに加え,ペット2本,アルト(またはテナー)サックスの 3管を加え,合計4管のブラスセクションつき。 納氏がアレンジしたのだろうか?。ペット二本が実に 分厚いコードを奏でるようにアレンジされていた。
前半は,変化に富んだ曲で,グルーブさせながらも, 聴き込んでしまうような曲。後半はわりと盛り上がりのある 曲が多かった。曲調も豊かで,自然に体が動いてしまいつつ, アレンジの巧みさから,聴き込むことも可能。 いろんな実験がされているようで,今後も非常に楽しみな グループである。次回は三月にChakaさんをゲストボーカルに 加えたライブをする予定である。
- 99/12/16:綾戸智絵( SOMIDO)
- 現在一番チケットをとりにくいジャズシンガーと いわれる綾戸智絵さんのライブである:-)。幸運なことに, 知人に誘われ,チケットを手配してもらった。大感謝。
最近の綾戸さんのライブ情報とかをみると,売れっ子の せいもあるが,結構いろんなメンバーとライブを行っており, どれがレギュラーというわけではないようだ。しかし 今回のメンバーは綾戸さんと関係が深いバンドだ。CLUB TOKO。 かって日野元彦が率いていたセクステットのメンバーが 現在も続けているバンドである。日野元彦セクステットの ライブは以前見に行ったことがある。 ドラムが力武誠氏に変わった以外は同じである。日野元彦 セクステットのレコードには綾戸さんが参加したり,綾戸 さんのレコードにはこのメンバーが参加したりと関係は深い。 日本を代表するジャズミュージシャン達であり,いわゆる 本格的なジャズである。
さて最初一曲セクステットで演奏。二曲目から綾戸さんが 登場しする。初っ端からコミカルにおどけながら登場。 アメリカでジャズミュージシャンとしての経歴を開始し, 日本人から見たら,まさに「本場仕込み」の綾戸さんであるが, 意外に日本人(というか関西人)らしいトークで観客を和ませ, 歌の中にもうまく日本語を混ぜ,たぶんジャズに親しくない リスナーにも十分楽しめるエンターティメントぶりであった。 ジャズはもともとエンターティメントであり,楽しみながら 聴く音楽であるという点から考えると,日本人が楽しめる ジャズにしている綾戸さんのやり方は実にジャズらしい。
テクニカルな話を少し書くと,綾戸さんの声は実にユニークである。 超ハスキーな声,ビブラートというよりトレモロ的な響かせ方。 これは完全に好みの問題であろう。「超うまい」という様な 聴く方をびびらせるような声ではないが,逆を言うと, あの声でも十分に歌いこなすところは見事。また バンドのコントロールもうまい。半分くらいは バンドのコンダクター的なステージングでもあった。 日本での演奏って事もあるのだろうが,歌詞を伝えるより, もう少し上段というか全体の雰囲気の方を大事に しているように感じた。
いずれにせよ,非常に楽しいステージであった。 トーク,演奏,共に楽しいしゃべりやアドリブで, 笑いが絶えないステージであった。ボーカルって 歌ってる最中にギャグを入れられるので,いいなぁー と思ったりもした(^^;)。
- 99/12/15: パット・メセニー(ブルーノート東京)
- 単なるギタリストではなく,すっかりミュージシャンとして 大成したかの感があるパット・メセニーであるが, ギタリストとしての探求も今だとどまることを知らない。
おそらく日本のブルーノート,いやジャズクラブでライブを するのははじめて(もしくは相当久しぶり)ではないか?。 パット・メセニーがトリオで東京ブルーノートにやってきた。 メンバーはLarry Grenadier(acoustic bass),Bill Stewart(drums) でのトリオ。ビルはジョンスコとかと一緒に来日したのを 見聞きしたことがあるが,ラリーははじめて(とおもう)である。 いつもはホールでのライブなので,このように間近にパットの プレイをみれるのは珍しい。もちろん席は満席で大盛況であった。
私がみたのは2ndセット。9時半開演予定をちょっと過ぎ45分頃開始。 パットはシグネチャーズモデルの黒いフルアコを持ち,ブルースを はじめる。ギターソロ,ベースソロ,12バースというベーシックな 構成で演奏。次は循環を似た構成。そしてパット得意のコードソロを駆使した バラードを演奏し,またブルース。実はこの辺りまで,あまりにも ベーシックなジャズの演奏で,ちょっと肩透かしであった。 もちろんメセニーのプレイではあるが,ちょっとセッティングの せいかギターの音の抜けも悪く,フレーズもつながりが悪い (こういったら悪いが,私はメセニーのブルースは非常に ジャズらしくなく,ジャズフォーマットでやると違和感をおぼえることも 多い)。「もしかして調子が悪いのか?」と思っているうち, パットはピカソギターを取り出す。そしてそこから世界が変わった。 ピカソギターでのソロ。Imaginarys daysの曲とのことであったが, 即興色が強くアルバムとは随分違う。曲調的にはWichita Fallsを 一人でやってるような感じだ。40本以上の弦を駆使して幻想的な 空間を作り出す。そのまま続けて,フルアコに持ち変え,PMGの 曲をトリオで演奏。この辺りになると調子が出てきたのか, 演奏にもすごみがでてくる。
ガットギターに深めのディレイをかけ,ピックのスクラッチと タッピングを使い音の壁を柔軟に変化させる演奏。ギター シンセに持ち変え,前衛的なフリージャズ等。特にピカソや ガットギターでの演奏は,音の良さや,アクゥースティックとは 思えない音色の幅など実に見事で,「メセニーのギタープレイの 神髄はアクゥースティックにあるのでは?」と思わせるもので あった。
ドラムやベースもすばらしい。特にベースは音の粒だちも良く, 演奏のボトムをしっかり支えドライブさせる。ドラムは非常に 特徴のあるシンバルレガートとスネアで,個性的な演奏をする。
メセニーがバンドサウンド,作曲のみならず,ギターサウンドに ついても,更に探求をしていて,そして彼の中でのフリージャズと いうものが,実は結構ポップ(これはジョン・ゾーンとかにも言える) であることを感じさせた。なぜかテクニカル(というかフレージング) 的な面より,まさに「サウンド」という点で,光るオーラを 感じさせる演奏であった。
演奏時間もブルーノートの割には長くアンコールが終わったのは, 11時半。たっぷりギターミュージシャンとしてのパットを堪能できた。 ちなみにアンコールはA Map Of The World。思いっ切り癒されました:-)。
今回の来日でのライブは毎回曲がかなり違うらしいです。 したがって上記レポートは私が見たライブに限って印象です,当たり前ですが。
- 99/11/29: 大高清美Organic Wave( 六本木ピットイン)
- オルガンという楽器は,独特の雰囲気を持っていて, 結構好き嫌いがわかれるようである。私は最近 気に入ってるのであるが,独特の雰囲気を持っているということは, 逆にカラーバリエーションを出すのが難しいということであろう。 実際にジャズやロックではオルガンは特殊な位置になっており, ピアノやシンセのように通常の道具としては使われていない様に思う。
さて,話題の女性オルガナー・大高清美女史のライブを見てきた。 大高女史はつい先日二枚目のレコーディングを終了したばかり。 というわけで,一曲目はいきなり,そのレコーディングからの曲。 五拍子(4+6ともいう)主体の曲。ハードな曲。その後は 一枚目のアルバムThird Handsからの曲を演奏していく。 聴いていて気づいたのであるが,変拍子の曲が非常に多い。 曲調はジャズ的なものから,フュージョン,ロック的なものまで バリエーション豊かである。最初に書いた,オルガンの特質を 楽曲やアレンジで十分補っている。一聴,綺麗で,さわやかな 曲もあるが,変拍子をうまく使って,緊張感をコントロールしている。 もちろん,演奏や音自体も変化に富んでいる。オルガン 一本であるが飽きさせない演奏である。
メンバーは大高清美(org),矢堀浩一(g),木村万作(dr), 岡田治郎(b)の四人である。曲によっては,オルガンと ドラムのデュオとかもある。また大高女史はフットペダルの ベースを「生足ぷれい」する曲や,左手でベースラインを 演奏する曲もあり,曲の部分によってはベースレスになる シーンもある。大高女史が弾くベースラインはランニング主体の スピード感あるもので,曲を強力にドライブさせる。 そこに木村氏の,手数は多いが,どこか時間軸方向に広がった ドラミングで曲を広がりをもった感じにしているのが多い。 矢堀氏のギターソロも,WYSIWYGの時 もそうだったが,いい感じに力んでなくて,スムーズに 曲を盛り上げていく。岡田氏のテクニカルで歌うベースも相変わらずだ。
曲の始まりがカウントではなく,ギターやオルガンのリフで 始まる曲多くて,ちょっとかっこいい:-)。ソロも あまり長くないせいか,だれるようなことはないが, 反面もう少し枠を崩したようなソロとかも聴いてみたい気はする。 しかし,現在のような状態も決して悪くはない。
全体に的いうと,オルガンというアクの強い楽器をうまく 生かし,聴きやすくなおかつ緊張感をうまく維持したライブであった。 次のライブは2月,CDは3月発売のようだ。間に合えば2月のライブで 買えるようである。CDはギターレスで,ますますオルガニックサウンドを 楽しむことができるだろう。期待したい。
- 99/11/20,21:大高清美,レコーディング
- 女性オルガニスト,大高清美女史のレコーディングを 11月20,21日の両日見学に行かせてもらった。
まぁ内容はCDが出てのお楽しみという事で, 詳しくは書かない(^^;)。私は,あまり時間がなかったせいもあり, 二日間で3曲のレコーディングを見学させてもらった。
大高女史のアルバムは前回Third Handから二枚目である。 メンバーは前回のとほぼ同じである。しかし 前回でギター兼プロデュースをやっていた,矢掘氏は 今回はプロデュースである。今回はギターレスの 大高(org),木村万作(dr)氏,岡田治郎(b)のトリオ, もしくは曲によっては水野正敏(b)がベースを弾くか, ツインベースである。そのせいか,前作より,より オルガンが前に出た演奏になっているのではないかと思える。
私が聴いた曲に関して言うと,さわやかなロックインスト, もしくはちょっとハードなフュージョンというあたりであり, オルガンのイメージをうまくサウンドに展開している様に 感じた。曲によってはかなりアレンジに凝ったものもありそうである。 バリエーションもありそうである。
いずれにせよ,TDなどで印象は変わる可能性も多く, 結論めいたことは言えないのであるが,「いい感じ」の 曲であった。オルガニスト大高女史の大いなる成長を感じる アルバムの発売を期待させるレコーディングの片鱗を 聴かせてもらった,という印象である:-)。
- 99/11/16: WYSIWYG( 六本木ピットイン)
- WYSIWYGのライブ。前回が9月なので, 2ヶ月ぶりとなる。考えてみると,このバンドもレコードを 出して2年ほどになるが,そのあいだ,徐々に変化してきている。 今回もアルバムに入ってる曲は1曲のみであり,他のバンドで 演奏している曲もあるが,新曲主体のライブであった。
改めて説明するのもなんだが,このバンド,キーボードの 新澤氏,ギターの矢堀氏,ドラムの嶋村氏の三人の曲で 成り立っており,それぞれ,曲に持ち味があり,変化を楽しめる。 基本的にフュージョンの様に,わりと綺麗なコードであるが, 演奏自体は自由度が高く,ジャズ的なインプロビゼーションが 楽しめる。
毎回,微妙な演奏コンセプトの違いが感じられるが, 今回は,わりと力まないというか,いい感じにバランスが とれた演奏であった。主にソロをとる新澤氏や矢掘氏も 変にソロが長くなること無く,なおかつ結構フレージングも 持ち味のあるものとなっていた。新澤氏は結構丁寧に フレーズを組み立てていて,Moogのソロでも,ポルタメントを 多用する様なソロより,細かく紡いでいくような演奏。前半は 多少硬いところもあったが,後半からうまい具合いに脱力でき ピアノも含めてダイナミックスをうまく使った演奏になっていた。 矢掘氏は,ソロもなめらかでコンパクトにまとめられていたし, 何よりもバッキング時のアイディアがなかなかよく,多彩な コードワークを展開していた。ベースの岡田氏はいつも通りの メロディアスで超絶技巧なプレイ,嶋村氏も歌心のあるドラミングで バンドにマッチしている。
ライブによっては,すごく熱く,フリースペースで盛り上がる場合も あるのだが,今回はそういうのよりむしろ,力が抜けていながらも うまく曲をまとめている感じがした。もちろんこじんまりとではない。 曲自体は高度だし,それをさわやかに仕上げる辺りに,非凡な ものを感じる。着実にWYSIWYGはステップアップしている。
持ち曲もずいぶん増えた。次のアルバムを期待しているのは, 私だけではないはずだ。
- 99/11/12: 小池修バンド( 六本木ピットイン)
- 小池修バンドのCD発売記念ライブ。私は小池バンドのライブは 確か2回目か3回目である。先日CDが出たので,一応聴いている。 前半はCD Insideからの曲をメイン。CDの印象通り,かっこ良く アレンジした曲を演奏していく。キーボードが3人,ドラムと パーカッション,ベースとサックスという編成だが, すっきりと計算されたアンサンブルである。各曲のソロも コンパクトに仕上げられ多少行儀のいい感じはする。 ただし演奏テクニックはさすがである。
ところが二部に入り,CDに入って無い曲をやりはじめてから, 徐々にバンドのテンションがあがり,演奏自体も弾けはじめる。 こうなると,バンドが生き物のようになりかっこ良い。 ピアノとキーボードのソロの掛け合いや,パーカッション, ベースソロとかもカッコイイ。
結構おもしろいと思ったのが,この日は実は伊東たけしが ゲストであった。最後の二曲だけの参加ではあったが, 伊東効果なのか?,バンドがそういう状態だったのか, 良くわからないが,伊東氏が加わってからのバンドの演奏は 妙にテンションが上がり,更にパワーアップした。特に パーカッション,ドラム,キーボード,ベースのリズムが 一体化し,大きなうねりが発生した。もちろん, サックスのソロ掛け合いも良かったが,なんかバンドの方が すごくいい状態になったのでそっちの印象が強くなってしまった(^^;)。
最初CDの様にうまくまとまった演奏であったが,徐々にテンションが 上がって,最後にはライブならではの演奏になった。 編成が多少変わっているが,アレンジとかではなく うまく機能していると思う。
しべりはちょっと……であるが(笑)。
- 99/11/05: 布川・納[DuoRama](レコ発) ( 六本木ピットイン)
- 布川俊樹と納浩一のユニットアルバムDuoRamaの CD発売記念ライブである。
このCDはアクゥースティックギターとアクゥースティックベースを 用い,アクゥースティックなサウンドと卓越したメロディを 封じ込めたアルバムである。メロディアスでありながら, 歌謡インストにならない絶妙のメロディセンスを感じさせる このCDの批評は既に書かせてもらったが,やはり いちどライブを見てみたいということで出かけた。
ライブはCD発売ライブらしくメインはCDの収録曲から。 しかし基本的にデュオなので曲自体は短めなので, 他に布川氏のアルバム,納氏のアルバムからの曲も 演奏した。ではあるが,全体のイメージは統一感が あった。CDはデュオ+パーカッションであるが, オーバーダビングもあるのでピアノともう一本ギターを 加えた演奏も曲によって行う。しかしあくまでもメインは デュオ的な演奏。
アルバムのイメージのまま,布川氏はガットギター,納氏は ウッドベースをメインに弾く。さすがに生楽器というのは 演奏が難しい。音程とか幾分レコードと違い苦心している 部分が見られたが,ライブであるのでそういうのを聴きに来たのではない。 それぞれの楽器でソロパートでも訥々とメロディを語りかける様に 演奏する。実にダイナミックスに富んだメロディを弾く。 しかもそれがベタな歌謡にならないところは絶妙だ。 手癖的な演奏と言うより,メロディを丁寧に生成していくような アドリブ。緊張感というより安堵感を聴くものに与えてくれる。 しかしそれは安堵であるが安易ではない。メロディというのは 技術ではなく,その人が持っている歌心が反映されるものであり, ある意味その人を裸にしてしまうような演奏ではないと 聴く人に伝わってこない。今回の演奏は,布川氏,納氏の 赤裸々の演奏であったのかもしれない。そしてそれは 少なくとも私の心には,美しいものとして感動を与えて くれた。
なお,アルバムにも参加してる岡部洋一氏のパーカッション, それに加えて納氏の旧友の実に驚異的なピアノ(これやはり本場の バークリーの助教授をやってるだけのクオリティでした)の ユキ・アリマサ氏のピアノ,布川氏の弟子大竹研氏の アクゥースティックギターも,この世界を崩すこと無く, すばらしいサポートであった。
- 99/10/16: Tribal Tech(Club Asia)
- 過去にも経験があることであるが,「何年も見たくて 待ち続けたバンド(ミュージシャン)」のライブをはじめて 見るときは,なんとも言えない高揚感を味あう。 Tribal Techももう何年も見たくて,でも来日しなくて 待ち遠しかったバンドだ。だからライブが始まる前から 興奮するだろうと思っていた。………が,予想を遥かに 上回る演奏ぶりに,予想していたのに興奮して大笑い してしまった(^^;)。
このバンドのサウンドを文章で表現するのも難しいが, 極端に言うと,ウェザーリポート継承の独特のメロディ, サウンドに,ロックやファンクのスピード感をミックスし, 更に現代的なハイテンションなコードやキメなどを組み合わせた ものである。ある意味現代ジャズの理想の一つであり, このバンドのサウンドに影響をうけているバンドや曲も いくつか存在する(^^;)。そういうわけで,「はじめて本物が 見れる」という楽しみもあったのであるが,もう, 最初の一曲から出てきたサウンドの迫力というか, かっこ良さというか,うまく説明できない(^^;),とにかく やられてしまった。
とにかく重量感あるドラムに,不思議なラインをフレットレスで 生成し,なおかつドライブするベースというリズム隊。 エレキギターという表現方法をすべて駆使し,ブルース的な フレーズとザビヌル的変態ラインを合わせ,変幻自在に 弾くギター。シンプルなセットながら,物凄い迫力とリズムと で圧倒しながらも,途中でビールを飲んだり,他のメンバーの ギターを弾いたりとで,大活躍のキーボード。しかも, 音がムチャクチャ通る。決して満足の行くPAでは 無かったと思うのだが,演奏技術の前には 関係ないという感じ。確かにシンプルなセットで, 楽器同士がぶつかることもないのであるが,逆を言えば ソロ楽器がバッキング無しでも,魅了する演奏力を持っている。 曲的には,キメがテーマ分では多いが,ソロにはいると かなりフリーな空間,しかし決して単調になることはなく, 曲のテンポとかをぐりぐりいじくり回す。メンバーの 息があっているというかすごい柔軟な演奏だ。だいたい 曲の始まりもカウント無しで,適当に始まり(笑), バラバラと楽器が入ってくるのに,曲が終わるときには 物凄いリズムテンションになり一気に収束する。 そういうハードな演奏なのにかなりの遊び心があり, わらわかせてもくれる。
いや,もうまさに「本物をみた」という感じ。1時間半ほどの 演奏でMCも無し,ほとんどぶっ続けであったが,アッというまに 終わったという感じである。いや,ほんとに行って良かった。 久しぶりに頭が真っ白になるライブでレビューを書くのが 辛かった(笑)。ギター(スコヘン)の話とか書こうと 思ったけど,なんかどうでも良くなった。 またいずれ書きます(^^;)。あっ,メンバーくらい 書いておきましょう。
の四人です。
- Scott Henderson(g)
- Garry Wills(b)
- Scott Kinsey(key)
- Kirk Covington(dr)
- 99/10/09: 横浜ジャズプロムナード
- 内橋和久という人のギターソロと,赤松敏弘のNext Doorという バンドのライブを見た。
前者はソロとはいっても,ディジタルディレイ等を使い, 一人多重演奏という感じ。音楽的にもかなり前衛的で 良くわからないが(^^;),音楽に対する発想の 柔らかさという意味で,参考にもなるし,おもしろかった。
赤松氏のはVib, Sax, Drums, B, G, Pのバンドであるが, どうもステージ上のモニタが悪かったのか, 演奏自体に苦労している感じがした。しかし それぞれのプレイ,特に赤松氏のVibや小池氏のSaxなどは すばらしい技術を感じさせる。しかしやはり各パートがうまく 噛み合ってないきがして,ちょっと残念であった。
- 99/10/08: Glidephonic(レコ発)( 六本木ピットイン)
- CDを発売したばかりの Glidephonicの発売記念ライブ。 やはり雑誌で取り上げられたのが大きいのか,CD自体があまり 市場に出回ってないはずなのに(笑),結構な客入り。六ぴの 座席がほとんど埋まるくらいの人数が入った。
CD発売ライブという事で,CD的な演奏をするかと思いきや, 一曲目いきなりシンセでオーケストレーション。なんの曲か? と思いきやChopinに捧げる歌を弾き,続けてSeven Bridge。 いきなりのメドレーで,緊張感あふれる展開。更に1999531と 東京マンボをやはりメドレーで演奏(でしたよね?^^;)。 CDのイメージをもってきた人はかなりびっくりしたのでは?。 あっ,CD出回ってないからいいか?(笑)。
アルバム自体は14曲とかなりの数だが,うまく曲をつなげたりして, かなりの曲数を弾きながらなおかつ,CDにはない十分な アドリブソロを織り混ぜていた。ライブ自体の演出が かなりよく練られている感じがした。
岩瀬氏のドラムは相変わらず,手数が多いが実に柔軟でバウンド するようなドラム,既にこのバンドの目玉商品の感が強い:-)。 新澤氏のムーグソロとピアノをうまく場面で使い分けた演奏も 憎いものがある。どちらのソロもかなりの盛り上がりを見せる。 サックスの音川氏の,ソロだけではなくSE的なプレイも 曲の中で効果的であり,バンドのサウンドを独自のものにしている。
やはり高度な演奏技術を要求する曲が多いため, いくつかの曲では,指がもつれたり,リズムが浮いてしまって いるような場面もあったが,意外にそれがミスというより 演奏の熱さを演出していて,聴いていて不安になるような 事はなかった。
CD同様バリエーション豊かなライブ,演奏にも 勢いがあり,十分過ぎるくらい楽しめるライブで あった。次回のライブは年内は予定がないらしいが, 是非また早く見たい。そう思って止まないライブで あった。
- 99/10/04: Quiet Leaves(レコ発)( 新大久保SOMEDAY)
- Quiet Leavesの 数日前に発売になったCDの発売記念ライブである。 このバンドのライブを聴くのは3回目で,その前は 8月9日, 8月2日に続けて 二回聴いている。CD発売というのもあるのだろうが, 非常に多くの客が入っていた。前回のも,多いという話 だったが,それより更に増えている。私は今回のCD,および 同時期に発売になった Glidephonicは,出来上がりを聴いて, 日本のジャズ・フュージョン界で現在もっとも 意味のあるCDになったと信じているので,たくさんのお客さんが 来ることは非常にいいことである。
さて,演奏であるが,激しい演奏であるのに全体的に静寂感が 漂うCDとは異なり,結構熱い演奏であった。この辺は ライブとCDの違いでもある:-)。演奏に危うい感じとかも 時々現れたりするのもやはり,CDとは違った愛敬である:-)。 曲目はやはりCDからが大半であるが, 岩瀬氏のドラムはCD以上に弾力のあるゴムのような演奏であり, 音川氏のソロも熱い。新澤氏も音色に気を使った演奏。 安ヵ川氏の反応のいいベース,そして香取氏の,あまり弾かないが すごくツボを得た得た演奏は絶品である。
とはいえ,やはり曲自体のパワーというのか,ライブで 長いソロをグリグリ弾いていても,どこかしら品のある 演奏である。ボイッシングやメロディーが非アメリカ的というか ファンキーさや,ブラックさがなく,そのかわり, (残念ながら私の語彙では,うまく説明できないが)ヨーロッパ的な 雰囲気であり,それに加え美しくポップなメロディ を持っている。かってキースジャレットがレギュラーな 編成のアクゥースティッククァルテットやトリオを演奏しても どこかしら,これまでのジャズとは違った印象を与えつづけて いたことと,似ている。決して新しいスタイルは目先の 楽器構成や編成を変えたから生まれるものではなく, やはり楽曲や演奏そのものから生まれるということであろう。
メンバーの新澤氏,岩瀬氏,香取氏が優れた作曲家で あることから,その辺の楽曲や各楽器の使い方にも こだわりが感じられるが,だからといって,キメを 多くつくったりはせず,あくまでも演奏は空間を作り出し 各楽器の響きを大切にしたものであり,演奏も うまくそれを生かしていた。
アクゥースティックでなおかつ新しいスタイル というのは,ある種ジャズをやる人にとっては やりたいけど出来ない,とても難しい領域である。 しかし,このバンドは,まさにそこに向かおうとしていて, その実験の場所がまさにこのライブであることを感じさせる ライブであった。
- 99/10/02: 天空オーケストラ( 青山スパイラルCAY)
- 私はこのバンドを知ったのは約一ヶ月前のRainbow2000という 野外レイブパーティに行ったときである。岡野弘幹が Rainbow2000でのとりをつとめていたを,聴いたのが出会いだ。
天空オーケストラは岡野弘幹が率いるバンドだが, うまく説明する自信がない(^^;)。用いている楽器は, ほとんどが民族楽器。タブラ,シタール,ジンベ, タンドリックポールなど。他にもいろんな楽器をもちかえて 演奏する。
演奏自体は即興部分が多いようで,民族楽器が刻む 土着っぽいリズムの上に,ギターや笛,声などで フレーズを重ねていく。うーん,うまく表現できない。 ワールドミュージックという言い方もできるかもしれない。
特筆すべきは,彼らを支持する客層はレイブァーであることだ。 今回のコンサートは,夜の12時から朝までというものであったが, ライブの前,終わった後もDJがテクノ(少しアンビエント系だが)を ながしていた。したがって客の音楽の楽しみ方も,じっと聴くより, 座って瞑想する人,踊る人という風に,インストのコンサートでは あるが,ジャズやフュージョンとはかなり様相が異っていた。
したがって…ってわけでもないのかも知れないが,民族楽器を 使ってはいるが,サウンドはエフェクタ(ディレイやフランジャー) をかなり多用したものであり,ボリュームも相当なもので, そういう意味では本当のアクゥースティックではない。 乱暴な言い方をすれば,電気で自然さ神々しさを演出している。 これはある種,現在のレイブが,テクノというバリバリの テクノロジーを駆使しながらも指向的にはどこかアクゥースティック を求めているという部分を如実に表しているように思う。
という(^^;),慣れない客層に混じり, 音楽を聴くというより楽しませてもらった。 実は結構音楽的には気に入っている。演奏的に 単調なので,今後どうなっていくのかは良くわからないが, 個性的であり,懐かしさもあり,どこか本能に うったえかけるような音楽である。
なぜこれがレイブなのか,おそらく 8月以前のRainbowを体験する以前の私であれば, わからなかったかも知れない。 しかしレイブはヒッピーカルチャの現代版であり 天空も,その客も,まさにそういう臭いを醸し出していた。