Title
Glidephonic
Artist
Glidephonic
Label
TOKUMA JAPAN

Songs
  1. Seven Bridge
  2. Bagel
  3. Short Story I
  4. J & M
  5. 幹 <trunk>
  6. 東京マンボ
  7. Donna Lee
  8. 知恵熱
  9. 偶然の風の中
  10. Chopper
  11. すなねずみ
  12. Mr. M
  13. Chopinに捧げる歌
  14. 1999531

Members

内容と感想

おもちゃ箱の様なアルバムである。開けた途端, 中から様々な楽しいものが飛び出してくる。 おそらく最後の曲まで予想通の曲が出てくることは ないだろう。

Glidephonicは,もともと新澤・グレッグ・立飛セッションと いう名前で六本木ピットインでライブ活動を続けてきた ユニットである。私もライブレポートで なんどかレポートさせてもらっているが,主に新澤氏と岩瀬氏の 曲を持ちより,これまで様々なスタイルを演奏してきた。 最近サックスの音川英二氏をメンバーに加え,クァルテット 構成となっている。

新澤・岩瀬の両氏は他にもいくつかのバンドに所属しているが, おそらく一番自由かつ実験的に作品を投入しているバンドである。 アルバムを順に聴いていくと,前半のポップな作品から, 徐々に様々な様相をもつ音楽へ進んでいくことがわかる。 まるで聴くものをトランスさせてくれるような内省的な 「Short Story I」や「幹」,「偶然の風の中」 なんとなくレトロ映像的な「東京マンボ」「すなねずみ」, テクニカルな「Donna Lee」,「知恵熱」,「Mr. M」など。 様々な曲が,まさにちりばめられているという感じである。 ある意味彼らの今をすべてつぎ込んだ作品と言えなくもない。 日本のジャズ・フュージョンアルバムでかってこれだけ, いろんなスタイルにトライしたアルバムがあっただろうか?

しかし,この様に様々なスタイルを用いながら,演奏自体は スタイルを軽くなぞったものではない。特に岩瀬氏のドラミングは リズムの柔軟さや細かく織り込まれたフレーズが特筆すべきもの。 新澤氏の得意のMoogのプレイも然る事ながら,エレクトリックの 中でうまく響かせることに成功しているアクゥースティックピアノ。 卓越したリズム感で安定しているグレッグのベース。 少し乾いた音でバンドにマッチしている音川氏のサックス。 そしてうまく効果を出しているゲストの岡部氏のパーカッション。 その演奏品質が,作品に深みとある種の統一感を与えていると言える。

一つのスタイルにこだわらず新しいものを作り出していく, これがこのバンドのスタイルなのであろう。 おそらくこのアルバムは日本のジャズ・フュージョン界で ある大きなポイントとなる作品になると思う。 その作品をリアルタイムで味わえたことに喜びを感じる。

総合評価(一言でいうと)
おもちゃ箱のようにいろいろつまったアルバム,すばらしい
購入日
99/09/22

99 Oct 3rd


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