99年7月から9月に見たライブなど
- 99/09/29:
Keith Jarrett(東京文化会館)
- 一昨日に続けてのキースのソロコンサート。
一昨日は,最初戸惑いが感じられ,徐々に良くなった
というだけあって,今日は最初から吹っ切れた演奏であった。
結局5〜10分程度の小曲を,1stセット5曲,2ndセット5曲,そして
アンコール3曲の演奏であった。すべて完全なインプロビゼーション
ではなく,2nd最後の曲はRound Midnight,アンコール1曲目は
All Things You areであった。とはいえ,このAll Things You
areの解釈はすばらしく,ほとんど無調性の音をちりばめながらも,
大まかのウネリがあるような音の列の中にテーマが混じり合う感じ。
演奏が止まった瞬間思わず立ち上がってしまった。
そのほかの曲はおそらく,即興であったが,いくつかの曲は
無心になり聴える音を弾く感じ,いくつかの曲はある程度
想定して弾いてる感じであった。不思議とその違いは
音や演奏の緊張感に出るようである。
各曲は,その中で大きく変化することなく,だいたい,
始まったときに雰囲気のまま一曲終わる。クラシック的な
バラード,ゴスペル風の曲,ランニングベースを左手で
弾きつつの曲,細かい音をランダムに弾くようなフリーな
感じな曲,淡々とリフが続きそれを細かくうねらせるような曲,
という風に曲毎のバリエーションは豊かだった。ただ,
おそらく(アルバム)Solo Concertを出したころのキースであれば,
このうちの数曲は続けて弾いたであろう。あの当時
キースは30分を越えるパフォーマンスをやっていたのだから。
そういう事をしなかった(できなかった?)のは嗜好というより,
体力的に,長い時間弾くことが不可能であったように思う。
やはり病み上がりであることは違いない。
しかしやはり,ピアノの鳴せ方はすばらしく,
一昨日の演奏に比べ,吹っ切れた感じが音にも
でていて,すごく豊かな音をならしていた。ホールは
クラシックのホールのせいもあり,拡声は一切なしで
あったが,その分,ナチュラルなキースのピアノの
音を楽しむことが出来た。
日本国内でたった二回の演奏を両方楽しめたことは
実にラッキーであった。今後キースがどこに向かうのか
分からないが,是非積極的に活動を開始して,
更にすばらしい演奏を聴かせて欲しい。
まだまだ,キースのそばには神がいる気がした。
- 99/09/27:
Keith Jarrett(東京文化会館)
- 神にもっとも近いジャズピアニスト・キース・ジャレットの
ソロコンサートである。
キースは96年のトリオでの来日コンサート以来,体調を壊して
ずっと活動を停止していた。今年に入ってようやく活動を
はじめた。しかし復帰後行ったライブは,トリオによるもので,
ソロのコンサートはおそらく復帰後はじめてであろう。
キースジャレットというと,ジャズ界にソロインプロビゼーションに
よるコンサートを確立した人物である。まるっきり無の
状態でステージに上がり,聞こえてくる神の声を
弾くらしい。約3年間のブランクは神とキースの関係を
どう変えたのであろうか?
今日のコンサートは初日である。スタンダードを演奏するのでは?
とも思ったが,アンコール以外はどうやらインプロビゼーションで
あったようだ。しかしキース自身久しぶりのインプロビゼーションで
感が戻らないのか,前半はかなり苦労をしていたように思う。
一曲目は20分あたりの曲で,まさに声を聴こうとしているようで
あったがかなり苦労しているようであった。キースに届く声が
まるで電波の入りが悪いようにインスピレーションが湧かない。
いきなり切れるように演奏を止める。そして二曲目になかなか入れず,
客に苦笑を見せる。そこから二曲10分程度の曲を弾くが,
これはおそらく神の声ではなく,キースの中にある,ある曲の
モチーフを弾いたようである。一曲目に比べ,音の通りは良くなったが,
インプロビゼーション的な緊張感があまりない。しかし4曲目
あたりから,音楽に神々しさが感じられてくる。うーむ,電波が
見えるようである:-)。
その後20分の休憩後後半,5から10分程度の小曲を演奏する。
演奏が進むにしたがって,憑かれた様な感じがする。ただし
基本的に小曲なので,演奏されながら次々と交信するというより,
最初に受け取った電波を元に弾いてる感じはする。
後半4曲弾いた後,アンコール。やはり復帰後のコンサートということで,
疲れが見え,アンコールはスタンダードを中心に演奏。しかしキースの
機嫌は良かったのか,3回もアンコールに答えた。
というわけで,復帰第一段のコンサートは全盛期ほどの
神々しさや力強さはなかったものの,演奏を進める中で,
キース自身が自信を取り戻していく感じがし,そして,
徐々に神憑り的な演奏をする過程を感じ,最初の不安は
だんだん消えていった。しかしおそらくまだ復帰過程なのであろう。
明後日もコンサートに行くつもりである。そこでの演奏が,
なおさら楽しみである。
- 99/09/24:
John Zorn Masada(霞が関プラザホール)
- ジョン・ゾーンという人は,フリージャズのサックス奏者として
その道ではかなり有名な人である。なぜか日本に住んで
いたことがあり,日本人ミュージシャン(というか
アーティスト)との関わりも深い(巻上こういちさんがいた)。
私自身は彼のCDは
一枚しかもっておらず,ライブを見るのもはじめてである。
しかし昔から興味をもっていたことは確かである。
今回はMASADAという彼のグループ。CDをこれまで10枚も
出しているが,聴いたことはない。メンバーはジョン・ゾーンの
デイブ・ダグラス(tp),グレッグ・コーエン(b),ジョーイ・
バロン(dr)。ウッドベースにピックアップをつけただけの,
完全なアクゥースティックなクァルテットである。
サックスにマイクをつけたりもしてない。会場も
200人程度の小さい会場であったせいもあり,MC用の
マイクもなくベース以外は完全な生音だった。
こういうライブも珍しい。
演奏は実にユニーク。ジョン・ゾーンはオーネット・
コールマン的なサックスを吹く。ソロを回す曲は
最初の一曲だけで,それ以外はほとんどペットとサックスが
同時に吹く,不思議なアンサンブルだ。またジョン・ゾーンが
ゼスチャをだし,その場でメンバに指示を与え弾くような演奏もする。
曲は3分ほどの短い曲もあれば15分位の長いのもある。激しい曲と
メロディアスをわりと交互にやってた気がする。
ジョン・ゾーンのサックスは実にユニークで,リードミスのような
音をわざと使ってロングトーンを弾いたり,かなりムチャな演奏だが,
どこかしら,カワイらしさやファニーな感じをさせる。メロディアスな
曲はどこかしらアラビアンな感じがして不思議なサウンド。
どうもアメリカンなジャズとは一線をかく演奏である。
またドラムのジョーイ・バロンはビル・フリゼルとの
演奏で有名であるが,実にドラムの概念に捕らわれない
自由な演奏。ほとんどタムを16分音符で刻むだけで
不思議なノリを形成したりと,実にユニーク。
フリージャズの演奏というのは,聴いて一発でわかる
という性格のものではないが,奏者が演奏に対して
もっている自由な発想には実に驚かされる。それに
加え,このバンドはどこかしら親しみやすい,
カワイらしさをもっているようである。
- 99/09/23:JAWS JAZZ Concert
(横浜ドッグヤードガーデン)
- 近所(といっても40分くらいか?^^;)で無料のコンサートが
あったので出かけた。JAWSというのはJapanAIDS Workshop
Seriesで,つまりAIDS対策のNGOらしい。
つまりこれはチャリィコンサートである。参加メンバーは
ニューヨークで活躍する中村照夫というベーシストが
中心となった国際色豊かなメンバーのRising Sun Band。
ビクター・ジョーンズ(dr),チャギー・カーター(per),
バリー・フィナティー(g),モリ・シロー(key,g),アキタ・
シンジ(key)のメンバーに,ゲストとして,ヒューバート・
ローズ(flute)とトム・ブラウン(tp)である。
もちろん,有名な人が参加してるがバンド自体ははじめて
聴いた。サウンド的には典型的なニューヨークフュージョンで
あり,おそらくそういうのが好きな人には心地好いサウンド
であったと思う。二人のゲストがかなりボリュームたっぷりの
ソロを弾いて,すばらしいテクニックを披露した。
ただ会場が,野外というが石造りの盆地なので,少々
サウンドが響きすぎ細かいところは聞き取りにくかった。
その辺のせいか,ちょっと私は演奏にのめり込むことが
出来なかったのが残念である。まぁ聴いてる場所も後ろの方
だったし。
- 99/09/07:
WYSIWYG(
六本木ピットイン)
- 前回から約二ヶ月半ぶりの
ライブ。
前回のライブで矢掘氏が公約した通り,一曲目は
矢掘氏書きたてのホヤホヤの新曲からスタートした。タイトルは
「9909(仮)」。「大予言も当たらず無事9月を迎えられて良かったね」と
いう意味だと言っていたが,単に今月出来た曲というのが
本当の意味である,と新澤氏に突っ込まれていた:-)。
とはいえ,この曲なかなかカッコイイ。出だしにフュージョン的
コードサウンドをからめながらも,癖のある独自のテーマ。
二曲目はドラムの島村氏の曲「イットピック」。島村氏の
各曲はドラマーらしくリズムが複雑ではあるが,
メロディーは独自のカラーをもっていて,何処かしら
ノスカルジックな雰囲気をもっている。今年になって
演奏をはじめたこの曲もそうだ。
最初の二曲を聞いていた辺りで,私は「往年のカズミバンド」に
少し似てるなぁーという印象をもったが,もちろんまんまと
言う意味ではなく,ロック・ジャズをうまく融合させ,
複雑なコードワーク等を使ってるという意味で,似たかっこ良さを
感じてしまったという意味だ。
その後,新澤氏の二曲で前半を終了。この二曲は一つは,QuietLeavesの
新譜に含まれる,Song for Someoneという綺麗な曲。その後は,
WYSIWYGの1枚目に含まれているスマイル。
後半は「51回目の真夏日」というできたての新曲,その後もカレカを
挟み無題の新曲を二曲演奏し,最後にアンコールでIce On Fire。
「51回目の…」はピアノのソロの時のバンドの状態が,かなり
空間を作り出して,ピアノも音を拾い摘むように弾き,ギターも
ペダルを使った空間的なバッキングというか,インタープレイを
やっていて,いつまでも続いてほしいような不思議な美しい
サウンドをつくっていた。
全体的な印象を書くと,難易度が高い新曲が多かったせいもあり,
いくつかミスも目だった。しかし,だからといって曲の
タイトさが失われることもなく,かえって,スリルの
満点のインタープレイを聴くことが出来た。
ピアノ,ギター,ベースがそれぞれ同時に
すばらしいラインを奏でていき,
それをドラムがしっかりと支える。
だれのソロの時でもすべての楽器が聞き所をもっており
聴くのが大変である(^^;)。
特に新澤氏はピアノソロをメインにすることにより,うまく
バンド全体のダイナミックスをコントロールしており,
その辺に成長ぶりを感じさせる。
今年に入って新曲を導入してきたが,どうやら,
この辺でサウンド的にも一皮向けてきたように感じる。
はやくレコーディングすればいいのに。
- 99/08/09:
Quiet Leaves(
六本木ピットイン)
- 先日のライブから一週間と経たず,
同じメンバーでのライブである。ただし場所は異なる。
場所の違いか,単なる意識の違いか,今回はスタンダードは
一曲のみ。しかもそれはアルバムに収録予定の曲(Wayne
ShorterのSightseeing)である。その代わり新澤・岩瀬
のもう一つのプロジェクト,Glidephonicの曲を
取り入れたりしてした。
しかし何と言ったらいいのだろう?。ウッドベース&ドラム,
生ピ,バイブ,サックスと完全にアクゥースティックジャズの
フォーマットである。しかしいわゆるモダンジャズの様な,
4ビートを刻むことはない。ファンキーさやブルーノートな
感じは微塵も感じさせない。リズムはすごく柔らかく,
時間軸的な横に広がる感じのビート…というより「ウネリ」を
醸し出す。ピアノ,サックス,バイブと三人が音を出しても,
空間を感じさせるソロ。えーぇい,面倒なので,わかる人には
わかる書き方をすると(^^;),いわゆるECMのジャズコンボが
持つ雰囲気と良く似ているのである。もちろんライブなので,
ECMのレコードのサウンドとは違うが,このサウンドをオスロの
空気にさらせば,あのサウンドになりそうなのである(笑)。
とはいえ,まるっきりヨーロピアンなわけではない。
さすがにコードワーク等には,Fusionの影響を感じさせるものが
あったりして,新しいサウンド(主にコード)と,ヨーロッパ的な
素朴なサウンド(リズム,音色)が不思議に融合しあっている。
そうだ,これこそが日本人がやるべき新しい,アクゥースティック
ジャズサウンドなのかも知れない。
今回は前回に比べほとんどオリジナルだっただけに,
更にオリジナリティが感じられた。しかし,
このバンド,曲がすばらしい。新澤氏,岩瀬氏,
香取氏が主に曲を書いている様だが,これだけ
クオリティが高く,更に個性豊かな曲を書くメンバーが
3人もいるバンドが,そういるであろうか?
二週続けて同じバンドのライブを観たが,
それぞれ違うライブであった。各メンバーの演奏は
前回同様,すばらしいものであったが,今回は
内省的な表現がすばらしかった。
今がピークか?と思わせるほどの演奏であるが,
きっとまだまだ上っていくのであろう。
9月に出るCDも楽しみであるが,その時更に
パワーアップしているであろう,次のライブにも
大きく期待させるものがある。
- 99/08/02:
Quiet Leaves(
新大久保SOMEDAY)
- Somedayに行くのははじめてである。開場15分後に行ったら,
まだリハーサルであった(笑)。そのまま20分ぐらいまったら,
リハ中であったが,入場させてくれた(笑)。
岩瀬・新澤プロジェクトあらためQuiet Leavesのライブである。
先日のレコーディングに合わせて,
バンド名が決定した。とういわけで,新譜からの演奏か?と
思いきや,意外にスタンダードが多い演奏であった。
新澤さんの曲が2曲,岩瀬氏の曲が1曲,香取さんの曲が1曲の
他にオレオ,サマータイム,オールブルース等のスタンダードを
やったのであるが,これらが実にサックスの音川氏,ドラムの
岩瀬氏が弾けて,すばらしく熱い演奏であった。
もっとも岩瀬氏に関しては,ほとんどの曲で熱いというか,
うるさいというか(笑),ドラムというより既にパーカッション+ドラム
のような音数の多さ,リズムの多彩さであった。
それに吊られてか,音川氏のサックスのドライブしまくり。
ベースの安川氏もユニークなウッドベースを聴かせる。
なんか,Keith JarrettのNude Antsの様だ:-)。
ちょっと音量的に香取氏のビブラホンと新澤氏のピアノは
辛いものがあったが,演奏自体はすばらしい。新澤氏は
ピアノの特性が,多少古くさい音色ではあったが(笑),
十分に太くて色気のある音を出して,ダイナミックレンジの広い
演奏をしていた。
普段は観客の人数が少ないらしいが,今回はレコ発というわけでも
ないのに,40人位(と新澤氏本人から申告がありました:-))
入っていたと思う。
客席も大いに盛り上がった。Quiet Leavesという名とは裏腹に,
ほとんど全編熱い演奏であった。次週(9日)には六本木ピットインで
同じメンバーの演奏がある。これは多少曲目も代えるようで,
これも期待させるライブである。
- 99/07/29:大高清美(
六本木ピットイン)
- 前回見たときは,稲毛の
コルトレーンでB3を操る大高女史であった。今回は,六ぴで
キーボードもB3ではなくローランドの電子オルガン(VK-77)である。
ドラムも木村万作氏であり,自ずと雰囲気の違うライブになる。
もっとも5月にも六ぴで同じ編成でやっている。
申し訳ないが,それは見ていない。
前半の最後の曲から見たため,全体のライブは良くわからない。
しかしおそらくアルバムThird Handの曲に加えて新曲を
数曲やったようだ。
キーボードの中でピアノが特殊な位置にあるように,オルガンも
ただのキーボードではない。そのオルガンだけで自分の
演奏を突き進む大高清美女史にも潔いものを感じる。
軽音楽のバンドにおけるオルガンというと,ジャズオルガンと
ロックオルガンが思い浮かぶ。今回のライブは,アレンジとしては
ほとんど8ビートや16ビートあり曲調的にはロックよりである。
大高女史のコメントでも「つぎはパープルしたいねぇー」と
冗談(?)が出るようにロックオルガン的なサウンドが多かった。
しかし,大高女史のアドリブのフレーズ自体はロックもあるが,
ジャズ的なフレーズ,ジャズ的なアウトラインを駆使した
多彩なものであり,周りを固めるメンバーもメカニカルな
ラインを苦もなく弾く矢掘氏,歌うベーシスト岡田氏,
ヘビーながらも多彩なフレーズを弾く木村氏と合わせ,
実にロックの迫力とジャズ・フュージョンの多彩さを
両方持った演奏であった。
大高女史の演奏は実にテクニック的に完成されており,
複雑なフレーズやキメを軽々と弾く。指の動きは優雅である:-)。
しかしまだライブ経験の少なさなのかも知れないが,多少の
固さも感じられる。それは演奏自体が多少,行儀のいい
感じがするのである。おそらく,今後徐々に弾けた
演奏も聴けることも期待する。
オルガンという強弱の出しづらい
楽器にどう息を吹き込むのか。興味のあるところである。
とはいえ,楽しいライブであるし,確かなテクニック。
期待をさせるユニットである。11月に2枚目のレコーディングも
行う予定らしい。
- 99/07/15:布川俊樹VALIS(
六本木ピットイン)
- お恥ずかしい話だが,確かVALISのライブは初めてである(^^;)。
我ながら意外。布川氏のライブは氏自身の他のバンドとか,
その他のプロジェクト関係で何度もみている。古川初穂氏もその関連や
昔のfragileとかでもみてるし,納浩一氏や小池修氏も六ぴで何度も
見た。確か木村万作氏は一回だけ,
誰かのプロジェクトで見た様な(^^;)…。
というわけで,今回初めて生で拝見させていただいたのは,
カルロス菅野氏だけである。
そういう事なので,初めてのくせになじみの深い音であった。
VALISのアルバムはアリダンスというかなり前のから出ておらず,
むしろ先日出た布川俊樹氏のDepartureのサウンドの方が,
今回のライブには近いのではないだろうか?。しかしジャズテイスト
に仕上げられているDepartureにはない,さわやかなフュージョンの
曲もあり。音楽性の広さを感じさせる。
ライブには1stセットの最後から二曲(バラードでした)の演奏中から
聴いたので,違うのかも知れないが,基本的には布川氏のソロを
中心に曲が組み上がっている印象を感じた。小池氏や古川氏は
あまり長いソロを弾かない。もちろん曲自体のアレンジが
凝っていて,ソロのスペース以外も結構ボリュームがあるって
いうのもあるんだろうが。布川氏の演奏中の集中力は
なかなかすばらしい。フュージョンギタリストにありがちな
「サラッと弾く」ギターではなく,音色等に細かく気を使いながら,
感情的な演奏をする。暖かいながらも通りがいい音である。
メンバーがメンバーだけに,物凄い安定感のある演奏である。
短いと書いたが小池氏や古川氏も,その中で輝きのあるソロや,
またバンドのカラーリングをしている。
クオリティの高いジャズ・フュージョンを聴いたという感じ。
今度はちゃんと開演前にいって,きちんと聴きたい(_o_)。
- 99/07/07:
Quiet Leavesレコーディング(2日目)
- 新澤・岩瀬バンド-アクゥーステイックバージョンである
Quiet Leavesのレコーディングにおじゃまさせて頂いた。
オーバーダブを(多分)ほとんど行わないレコーディングのため,
Glidephonic(新澤・岩瀬バンド-エレキバージョン)と違い,
サクサクと進んだ様である。私は夕方6時過ぎに行ったが,4曲録る予定
のうちの3曲目を録っていた。確か13時頃から始めたはずだけど。
3曲目をとり終えた後,食事に入ったため,結局演奏を生で聴いたのは,
それだけだったが,それ以外についてラフミックスを聴かせてもらった。
Glidephonicとの対称もあるんだろうが,随分しっとりとした
サウンドになっている。アクゥースティックであるが,
フォービートでぐいぐいという様な曲はあまりなく,
割と静かな内省的なサウンドが多い。誤解を怖れずにいうと
ECMから出したらピッタリなサウンドである。
特に二日目に録った曲はピアノの音がすばらしくて,
響きが物凄く豊か。ドラムやサックスもラフなのに十分響いている。
かなりオフマイクなセッティングなのであろうか?。
そのせいか演奏自体も空間的な演奏である。
はっきり言って日本人でこういうアルバムは聴いたこと無い。
是非Glidephonicとセットで買って欲しい。あちらも日本では
あまり聴きなれないサウンドである。そういう意味でうれしくなった:-)。
あとは,恐怖の大王が来ないのを祈るばかりだ:-)。
- 99/07/04:fragile(
六本木ピットイン)
- CD「No Wet」が発売になったばかりのfragileのレコ発記念ライブ。
私にとっては去年の7月以来のfragileのライブである。
CDについては別途レビューでも書くつもりなので,詳しくは
書かないが,fragile初のNY録音,ゲストマイクスターン,
レーベル移籍第一弾と初つくしなので,ぐっとワンステップ
上がったような出来になっている。
今回のライブも新譜からの曲が半数程度,残りが過去の
アルバムから。相変わらずMCも好調で,曲が少なく感じる(笑)。
fragileは前日前々日とツアー中で,今日も長野から来たらしい。
そのせいか(MC等に)多少疲れが見えたが,演奏の方が,逆に
力が抜けているようで,バランスがいいように感じた。いや
別にこんなものなのかもしれない,半年くらい見てなかったので(^^;)。
曲の長さ,ソロの長さなどがいい感じであった。トリオなので
ソロを回して長くなるというのはないのであるが,例えば
ギターソロも無理に引き延ばす感じもなく丁度いい。
ギターの音もぐっと前に出て説得力を増しているせいか
飽きない様に感じたのかも知れない。
新譜のために書かれた曲はどれもいい曲だと思う。
決して物足りないというのではなく,もっと聴きたいな,
と思うくらいのいいライブであった。
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