- 00/06/26: 布川・ 矢堀 セッション( 六本木ピットイン)
- 布川俊樹,矢堀孝一ツインギターに, 岩瀬立飛のドラム, 岡田治郎のベースという組み合わせ。それぞれのメンバーの ライブはよくみてきているが,実はこの組み合わせは はじめてみる。岩瀬氏と岡田氏の組合わせというのが, わたしが知る限りは珍しい。しかしこの二人,若手リズム陣の 中で,今,日本でもっともすごい思う二人なので,絶対 一度聴いておこうということで出かけた。あっ,もちろん 布川氏,矢堀氏の師弟ツインギターも楽しみである。まぁ B.B.Grooveでもやってるのであるが(^^;)。
さてライブはセッション的なライブ。布川氏と矢堀氏の 曲を持ち寄り演奏する(アンコール以外)。 ただし矢堀氏は先日新譜「b」をだしており, その中で独自解釈(スローの3拍子)のジャイアント・ ステップスをやってるので演奏した。でもアルバムより 更に拡張した(途中で4ビートになったり)演奏である。基本的に ギターがメインでアドリブを取るが,曲によりベースや ドラムもフィーチャーされる。もっともこの二人の リズム,バッキングでもかなり聞き所のあるプレイをする。
さて,各メンバーの演奏であるが,いつもどおりである:-)。 岡田氏は相変わらずベーシストとは思えないほど, メロディアスで複雑なラインを弾く。曲が盛り上がっても そのメロディアス差がなくならないところはさすがである。 ソロも,リズムやフレーズの幅が広く,テクニックもすばらしい。 岩瀬氏は相変わらず,独自のアイディアで多彩な演奏をする。 右手のスネアを軽くたたくことによるグルーブのコントロール等は 実に巧みである。ギターなどのソロが盛り上がっていくところでの, 煽り方などはすばらしく,ソリストよりそちらへ耳がいってしまう こともしばしばである。とにかく編曲としてのドラミングである。
さてギター両氏であるが,もともと師弟関係であり,大きく分類 すると,似たスタイルの二人である。しかしこういうツインギターの 場合,お互いにかぶる部分のスタイルを避けるのか,細かい スタイルの違いが明確になり実に興味深い。布川氏は, セミアコを使い,少しハスキーかつ太くて抜けがよい音を 使い,実に色気のあるソロを演奏する。エッジがあまりないのに これだけ抜ける音というのはすばらしい。一音一音に 表情をつけ,フレージングのリズムも大きく変化させソロを弾く。 一方矢堀氏は,ソリッドギターらしい音で,メカニカルな ラインを弾く。フレーズの細かさ,スピードはさすがである。 フレーズをちりばめながら変化をつけていくという感じである。 比較的エッジが立った音で,前回のライブ辺りからそれに 加え太さを増し抜けもよくなった。
セッション的な演奏であるが,リズム陣の曲の解釈が すばらしく,変化に富みながら安定したリズムを 奏でる。実に強烈なリズムの上に,二人のギターがそれぞれ 違った持ち味でソロを弾く。アンコールは,用意してなかったの だろう,お遊び感覚で,MCをやりながらいつのまにかウォータ・ メロンマン。会場から手拍子も飛び出し,ジャズラしからぬ(笑), 大盛り上がりで終了した。水球とは思えない(笑)。MCで「ロックが野球だとしたら,ジャズって水球だよね?。 やるのすごく大変だけど,見た目が地味というか…」と いうのが布川氏からありました(笑)。期待を裏切らない。すばらしい演奏であった。似た様なメンバーの 演奏はまた聴く機会もあるだろうが,やはり聴きに行ってよかった そう思うライブであった。
- 00/06/22:CHAKA, 西村和彦, 納浩一,久米雅之(吉祥寺Sometime)
- 以前Chakaさんとメイルをやり取りしたとき,西村和彦氏を 奬められたので,ずっと演奏を聴いてみたいと思っていた。 そういう中,Chakaさんとのライブがあると知り,これは 行かねばならない…,ということで行ってきた。Sometimeと いう場所も実ははじめてである。
Sometimeはお店の真ん中にピアノがありメンバは内側を 向く形で演奏をする。客席はステージを取り囲む形に なっている。ステージというか,お店の通路を少し 広めにしてそこで演奏しているという感じ。手を伸ばせば メンバーに触れるくらい(^^;)。 従って,私からだとドラムの背中が すぐ目の前にあり,こういう位置から演奏をみることは 少ないので,ちょっとおもしろかった。
さて,メンバーであるが,ボーカルのChakaさん, ピアノの西村氏は意識していたが,ドラムが久米雅之氏, ベースが納浩一氏のピアノトリオ+Vo構成。なんか結構豪華な メンバーではないのか?。ベースはウッド,ドラムも小さい セット,アクゥースティックのセットである。
ステージは1時間弱位の演奏が3セット。各セット1曲目は, トリオのでの演奏。西村氏のピアノから始まる。綺麗な 曲だな,と思って聴いていたら,途中知ってるようなテーマが?。 確信はないが2,3曲のメドレーだったのでは?,そしてキース ジャレットとパットメセニーの曲(Farmer's Trust)だった 様な…。西村氏のピアノはリリカルで,決して濁らない。 ソロの時も左手がアルペジオ的に絡むことが多く,ペダルも 多用しているが,音の選択のせいか透明感のあるサウンドになる。 一方ドラムの久米氏はリリカルな曲でも細かい技を繰り込み, 独特の空間をつくる。ピアニシモの演奏がすばらしい。 パーカッシブに空間をつくっていき,その アイディアも独特である。バンドを非凡なものに していた。ベースの納氏はいつもながら ウッドとは思えないピッチの安定と グルーブ感を作り出している。
Voが入ってもこの演奏の雰囲気は変らない。 曲はChakaが選んだ曲であろう。ジャズのスタンダードから ポップス,日本の曲,そしてオリジナルと,様々な 曲を取り入れて演奏をする。今日は比較的,ぶっきらぼうというか ジャズ的な歌い回し,そして素朴な歌い回しが多かった 気がする。味わいのある歌い回しである。
いくつかの曲でスキャットというか,ラッパ的な音で アドリブもとり,それが実に表情豊かですばらしかった。 MCで,歌の歌詞を説明し,その内容をうまく表現した 歌い方になっていたと思う。
ボーカルもそして演奏も繊細で美しく,そして 優しい演奏だった。アットホームなSometimeの中に 更に,心地好く我々を酔わせてくれる演奏であった。
- 00/06/18: Triad Works, 4-Tune(吉祥寺シルバーエレファント)
- 今回は,アマチュアかつ知り合いのバンドに出かけた。 というわけで,今まで書いているレビューと同じ尺度で 書くわけではない。と書くと失礼ですが(^^;),同じ尺度で 評価しても困るでしょうし…。
Triad Worksと4-Tuneというバンドのジョイントライブ。
Triad Worksはキーボードとドラムとベースのトリオ。 1時間半ほどで9曲。チックコリアやミシェルカミロの 曲が主体で,オリジナルはない。あいにく,あまり 知らない曲がほとんどなので,どの程度コピーなのか 良くわからないのであるが,基本的には難しい曲ばかり の様である。
結構感心するくらい,難しいキメやテーマを演奏。トリオの せいか各楽器の音も良く聴え,それぞれのパートの演奏を 楽しむことができた。複雑な曲だけに,曲自体がもつパワーも あり,曲を弾き倒す事により,テンションを形成することが, 可能である。いやぁー良く弾いてます。感心しました。
一方4-TuneはTriad Worksに比べると難易度の低い曲。 しかし洋楽中心で,しかもアンサンブル重視ということで 好感がもてる。ドラムやベースもシンプルだがその分 グルーブ感が出ていたように思う。こちらは前者に比べると 楽しい演奏。サックス以外のソリストがあまり前面に 出ないが,セッティングの問題もあったのだろう。
難易度の低い曲と書いたが,比較の問題であり,決して 誰でも簡単に弾ける曲ではない。キメも多いし,それを きちんとまとめて演奏してた。
二つのバンドをまとめて書くと,どちらもアマチュア としてはレベル高いのでは?。それぞれ目指しているところが 異なるため単純な比較は出来ない。それぞれ違った良さが あった。
で,ここで止めてもいいんですが,メンバーも 見てるでしょうし,賛辞ばかりでは参考にならない… と思われてもなんなので,あえて苦言を書きますか(^^;)…。 もちろん,「これがないから駄目」ってわけでもないんですが…。 やはり,曲をきちんとなぞるよりも,その人らしさを もう少しいれるといいと思います。ソロとかで,自分が もっている「唄」をもっと織り込めるといいと思います。 まぁ難しい話ですが,とりあえず意見ということで。
- 00/06/07:矢堀孝一トリオ( Sweet Basil 139)
- 矢堀孝一というと,fragileでのヘビプログレジャズ的な サウンドとか,WYSIWYGでの難曲フュージョンのイメージが 強いが,ベースはしっかりジャズの人である。ジョーパスの 追悼記事も書いていたし(^^;)。そういえば,矢堀氏の 本格ジャズってそんなに聴いたこと無い…様な気もする。 TV-Jazzの秘密のあっこちゃんとかいい感じだったが(笑)。 というわけで(?),矢堀氏個人名義の初CDはジャズトリオである( 発売前)。そして,その発売記念^h^h先行ライブが行われた。
メンバーはギター矢堀氏本人,ベース水野正敏氏,そして,ドラムが 山木秀夫氏である。水野氏は数多くのセッションやグループで ジャズ界の仕掛人として暗躍するも,矢堀氏とは旧知の仲。 しかし山木氏ははじめてである。山木氏というと,最近はジャズ フュージョンより,ポップスなどのセッションドラマーとして 大活躍し,日本のポップミュージックのクオリティを向上するのに 貢献している。過去にはカヅミバンドでの独特のドラミングが 印象に残っている。矢堀氏からするとかって「あこがれ」で あった世代である。
さて,場所はSweet Basil 139,私は後ろの方で聴いたが, サウンド的には,中盤が豊かだが,低域がブーミー。残念な 事にベースの細かいニュアンスがうまく伝わらない。 バスドラムもちょっと出すぎ,しかしギターの音は抜群にいい。 高域は多少回るが気になるほどではない。ちなみに 場所でだいぶ違うらしい。従って今日ライブをみた人が全員 同じ印象を持ったかどうかはわからない。
このサウンドのせいもあるのかも知れないが,矢堀氏の ギターの印象がいつも良く聴く六本木ピットインとかと まるで違う。いつものようにエッジが効いたサウンドだが, いつものような線の細さがなく,非常に芯のある豊かな サウンドになってる。プレイも,かなりリラックスしているのか, 表情豊かなフレーズを色気を含めつつ展開する。なんか 二ランク以上向上したようなプレイ(^^;)。ほとんどが ソリッドギターだが,ノンディストーションのサウンド。 ゴダンのガッドも二曲ほど演奏。これがすばらしい。 メカニカルなフレージングは矢堀氏の持ち味であるが, 相反するかと思っていた,豊かさが感じられるプレイであった。
山木氏はさすがに巨匠という感じ。実に自然に高度なことを やっている。一つ一つのアタックの粒が実に綺麗で際立つ。 そして,ほとんど右手一本で,シンバルワークとタムを コントロールしているこれはすごい。 しかし,決して全体としてそれが他の楽器を邪魔することはない。 音数も多いはずなのに,無理な感じもしないし,ばらつきもない。 タイミングもジャストである。この辺はやはりセッションワークの 多さから来るものであろうか?。存在感十分ながらに邪魔はしない。
水野氏はジャズながら,ちょっと変ったラインを弾く。サイレント アップライトも含め,一筋縄でいかないラインを作り出し, このバンドのサウンドを特徴あるものにしていた。
ギタージャズトリオ,4ビート主体ということで,ベーシックな サウンドになりがちであるが,それぞれのメンバーの持つ バックグランドの豊富さがうまく出ているトリオになっている。 三人がうまく強調して,一つの大きな色をつくっていくというより, なんか完全に混じりあわないまま,緊張感のあるサウンド, そうマーブルの様な(^^;),そんなサウンドである。
いろんな側面を持っており,各楽器に注目して聴いても, それぞれの印象を与えてくれる。実に今風らしいこの ジャズトリオまたライブを実現して欲しいが,山木氏の スケジュールを押さえるのは大変らしい。であるが, 是非また実現して欲しい。
追記:
演奏した曲は新譜の8曲+アンコールのAll Thing You areでした。
- 00/05/31:Quiet Leaves( 新大久保サムデイ)
- 昨日に引き続き新澤氏のリハビリライブ。実は昨日のライブレポートは 今日のライブを見る前に書いたのであるが, やはり書いておいてよかった。今日のライブを見た後に 昨日のライブレポートは書けない,というほど今日のライブは すばらしかった。
さて,Quiet Leavesのライブである。新澤氏は昨日に引き続きの ライブ。昨日のレポートでも書いたが,数日前に退院したばかりで ライブも二回目,まだ本調子とは言えない。メンバーは ピアノの新澤氏の他,ドラムの岩瀬氏,サックスの音川氏, ベースの安ケ川氏のクァルテット構成。今回はビブラフォンはいない。 新澤氏はシンセを持ち込むことなく,アクゥースティックピアノのみ。 ベースもウッドであるので,純粋にアクゥースティックバンドであった。
一曲目いきなりマックザナイフで始まる。オリジナルも 多く持つQuiet Leavesであるが,ライブではスタンダードを やることも多い。最初意外に無難に始まったが,演奏が進むに連れ, コードワークやドラムの絡みなどが,だんだん過激になってくる。 本領のハッキである。新澤氏は昨日に比べると,断然 調子がいいようで,大きい単位のコードワークが主ではあるが, うまく間と内声を工夫しているのか,一つ一つの音が際立ち, サスティンまで十分に聴える。二曲目からは, オリジナルを三曲演奏,昨日WYSIWYGで演奏した曲を違った 感じで,さらに新澤氏が入院中につくったスローテンポの曲を 恐ろしく内省的に演奏。不思議な空間を作り出す。そして 前半最後は岩瀬氏のスキャットでテーマを奏でるリズミカルな曲。 岩瀬氏のドラムが単純なパターンを刻んでも恐ろしくグルーブしているのを 実感させられる演奏。曲が盛り上がってのドラミングも含めて, まさに生きてるうねってるリズムというものを見せ付けさせられる。
休憩後の後半も一曲目はスタンダード(コンファメーション)。 まるっきり変なコードから,「よくテーマにはいれるな」という 様な感じのまま始まる。その後は新澤氏の曲が続く。
前半の最後の曲以外は,あまりスピードの上がらない演奏が 多く。最初新澤氏の体調のせいもあるのか?,と思っていたが, むしろ空間を生かして,変わった試みをいろいろやっている様であった。 このバンドはどんな複雑な曲でも各自が独自のスタイルで おおらかに演奏,特に歌いこなすするだけの技量を 各メンバーが備えており,実にそれぞれの音の間まで含めて いきいきとなっている。であるので聴いてるこちらも,演奏の 技術以上にグルーブや各音の響き等まで十分楽しむことができる。 しかも,演奏のダイナミクスがメンバー間で意識があっているところ などはさすがにバンドである。単なるセッションとは違った 生き物としてのバンドがそこにある。
病み上がりの新澤氏は,最初,体を気づかっているのか?, と思ったりもしたが,実際はそうではなく, サウンドに対する試みとして,かなりの間を意識した演奏を 行っていたようである。 したがって,サスティンがその間を美しくコントロールしていた。 そして最後のほうはかなり盛り上がり,本人も演奏を楽しんでいた。
他のメンバーも聴くたびにすごみを増している。 不安を感じさせることは全くなく,なおかつ,いつも以上の すごみ,そしてサウンドの美しさを感じさせるライブであった。
- 00/05/30: WYSIWYG( 六本木ピットイン)
- 今まで何度となく足を運んだWYSIWYGのライブであるが, 今回はちょっと特殊な事情がある。リーダの一人である 新澤健一郎氏が一ヶ月近く入院しており,数日前に 退院したばかりである。当初ライブへの出演も危ぶまれていたが, なんとか出るに至った。しかし演奏する事自体ほとんど 久しぶりなはずで,当然体力も相当落ちている。 そういうわけで,いつも緻密なキーボードワークで魅力の WYSIWYGであるが,今回はかなりキーボードを弾かないのではないか?, と予想された。
というわけで,ライブが始まる。ライブの開催案内とか, あまり出来なかったらしいが,新澤氏容態を心配したのか, 割とお客さんが多かった。いきなり退院祝いの花束をステージに 持ち寄るファンもいてのオープニング。
「難しい曲はあまりやらないようにしよう」という話を 事前に聞いていたが,実際は古い曲などを持ち出しても, 簡単な構成の曲がそんなにないWISYWIGだけに,結構難しそうである。 新澤氏はやはりいつもに比べると,あまり弾かない。 ギターソロ等の時のバッキングもかなり控え目だし,テーマや キメでも,割と少なめの音で弾いているように感じた。 そのせいか,いつも聞き慣れた曲が,かなり違った印象を 受ける。ギターもいつもはキーボードとユニゾンだったり, ハモっているのがなかったりしたせいか,まるで違った 演奏をしているように聴える部分もあった。 また,カチッとキメを入れるというよりは,フワリと, 空間的に楽器が絡むような感じの演奏になっており, この辺も違った曲に聴える。
ギターの矢堀氏は,ギターの音を曲により多彩に変化させ, なおかつソロではメカニカルなラインを弾くいつものスタイル。 それに加え,リズムを時間方向に広げたり,ダイナミックスを 細かく変化させる空間的な演奏をいつもに加え多用していた。 ベースの岡田氏は,いつも通りの安定した演奏。複雑な 曲でも実にメロディアスなラインを奏で,ソロもベースとは 思えないような多彩なフレーズを繰り出す。 ドラムの島村氏はいつも割としっかりリズムを支えるという 印象がこのバンドの中ではあったのだが,今回は割と 時間的に広がってるドラミングをしているように感じた。
もちろん,多少不安を感じるようになってしまっている 演奏もあったり,ちょっと曲が見えにくくなってる様な 瞬間もあったが,こういう限られた条件の中で,意外に 新しいサウンドを作り出しているような部分もあり, 非常に興味深かった。ソロ中のコードワークが少なく, いつもより,よりジャズ的な印象を受けたが,それも また新鮮であった。
今回は特殊な条件であったが,今回のサウンドの中には 今後うまく発展させれば,バンド自身の多様性を うまく引き出せる様なものもあった。 しばらくWYSIWYGのライブはないようだが, 完全復活後に,今回のサウンドがどう昇華されるのか?, 楽しみである。
- 00/05/19: 大高清美セッション( 六本木ピットイン)
- 大高女史のHPとか見ると,コンスタントに月1〜2回程度ライブを 行っているようであるが,わたし的にはちょっと久しぶりの 大高女史のライブである。しかも今回はちょっとメンバーが 変則的。ドラムは島村一徳氏,ベースは岡田治郎氏というWYSIWIGコンビで あるが,ギターは布川俊樹氏である。布川氏に 聴いたが大高女史と実際に共演するのははじめてらしい。
というわけで,セッション形式のライブである。曲は 大高女史,布川氏,島村氏の持ち寄りである。であるので, 他のセッションやライブで聴いたことがある曲あった。
今更書く必要もないかも知れないが,島村氏,岡田氏の リズム陣は実に安定かつ楽しい。島村氏はシンプルかつ 堅実なドラミングであるし,岡田氏は実にメロディアスで ダンサブルなラインを奏でる。大高女史,布川氏が そういうリズム陣の上で自由にソロを取るという形が メインである。
布川氏は他のライブでも感じるが,良くとおる太くて色っぽい音色で 変化のあるソロを取る。割合とゆったりとらえて, 歌うようにソロを弾いているようだ。あまり早いパッセージを 連続して弾くというより,いろんなメロディやコードなどを いろんな譜割りや音色で実に自由に演奏する。
一方大高女史は割とリズム的にはコンスタントな感じの ソロが多い。ではあるが,フレーズが機械的になっておらず, メロディアスで美しいものが多いのはさすがだ。変拍子などの 曲も安定した演奏を行う。もちろん中にはリズム的にも 変化の多いソロもあった。聴いていて気づいたが, ほとんど単音でソロを弾くことが多いようだ。コードを ソロの間はならすこともあまりしないし,両手を使うが, 基本的にはラインは一本である。この辺はピアニストと オルガニストの違いなのか,単に大高女史の傾向なのかは 良くわからない。しかしそういう特徴のせいか, 非常に輪郭のはっきりしたストレートなソロという印象を受けた。
曲は8曲+アンコールという感じであったが,ソロが 比較的長く一曲の演奏時間は長かった。しかし,聴いてるほうも 途中でだれることなく聴けたと思う。それくらいソリストの ソロが良く歌っていた。
後から布川氏に聴いたところでは,大高女史の曲は変拍子が 多いせいか,結構演奏に苦労していたそうである。しかし 聴くほうとしてはあまりそういうことは感じさせず,割と ゆったりと演奏しているように聴けた。難しい曲を ゆったりと聴かせるのは,技術的にはかなり高度である。
ちょっと異色の組合わせで,次回があるのかどうかは 良くわからない。しかしすばらしい出来だったので,ぜひ またやってほしいものである。
- 00/04/20: 小池修セッション( 六本木ピットイン)
- いつもの小池バンドとは,違うメンバーによるセッション。 メンバーは
である。フロントに三管をフィチャーしたなかなかの豪華な 布陣。曲は管の三人+新澤氏が持ち寄った,オリジナルや カバーものである。原曲がスタンダード的な古いものもあったが, わりと今風にアレンジしている。ファンクもあり,フォービートも あり,で本人たちはバラバラといったが, バラエティー豊かで:-),楽しいライブであった。
- 小池修(t-sax, fl)
- 勝田一樹(a-sax)
- 佐々木史郎(tp)
- 新澤健一郎(p,kb)
- 納浩一(b)
- 石川雅春(ds)
各曲は三管が常にソロを取るわけではなく,だいたい 一曲で二人ほどがソロを取る。いい演奏だからというのも あるのだろうが結構コンパクトな印象を感じた。
サックスの二人も全くタイプが異なり,ジャズ的な フレーズを使い音程が正確な小池氏に対し,メロディアスで ベンドとかを多用する勝田氏のソロも新鮮,トランペットの 佐々木氏も,正確なピッチで良く唱うフレーズを弾いていた。
キーボードの新澤氏も三曲ほどソロを弾く。二曲は 自分の曲で,今回のセッションではわりと難しいタイプの曲。 Glidephonicの曲なのでピアノで弾くのは初めて聞いたが, エレクトリックないつもと違い,タッチをコントロールした 熱い演奏であった。 また勝田氏の曲であるが,オルガンのソロも長さといい, ソロ運びといいすばらしかった。
セッション形式ではあったが,三管のアンサンブルは すばらしく,圧倒された。このメンバーで次にやる予定は 具体的にはないのであるが,また是非やってほしい。
後日演奏曲目を新澤氏から聞いたので書く。
- Groove Sosciety(佐々木)
- Bagel(新澤)
- For the Love of You(カバー)
- カプチーノ(小池)
- Stolen Moments(スタンダード)
- She was too Good to Me(チェットベイカー)
- Red Clay(フレディハバート)
- Mr.M.(新澤)
- テクノ(勝田)
- ブラック(勝田)