live report

2006年1月〜3月に観たライブなど

今後の予定

06/3/27:オーネット・コールマン (オーチャードホール)
オーネット・コールマン・クァルテットのライブ。
オーネットのライブを生で見たことあるかどうかは良く 思い出せませんが,ライブアンダーでプライムタイムを みたことあるような気がしてます(TVで…だった様な気もするけど)。 オーネットの「ジャズ来るべきもの」みたいな過去の名盤は ちらりと聴いたことがあるくらいですが,その時の印象は それほどフリージャズ…という感じではありませんでした。 まぁ今やフリージャズをしてる人は山のようにいるので, かえって普通に聴こえたのかも…という気もしますが。 ただプライムタイムはメンバーが同時にソロを取っているような 表現方法が今でも斬新で,今回はどういう風にやるのかな?…と 興味を持って行きました。
ちなみに今回のライブ。山下洋補氏が前座でソロピアノ, 最後にまたオーネットのクァルテットに加わるので,厳密には ゲスト扱いともいえますが,本人が「前座」と言っていたので, 前座でしょう(笑)。なんかオーネットの前座を感無量でやってるのが, フリージャズの父であるオーネットの偉大さを感じさせます。
で,30分のソロピアノの後,オーネットのクァルテット登場。 ウッドベースが二本とドラムというかなり変則のクァルテット。 メンバーが誰なのか良くわかりませんが,ドラムはデーナード・ コールマンじゃないかなぁ…?…って感じでした。
演奏は…,来たよ…,オーネットだよ,プライムタイムだよ…って 感じ(^^;)。みなさん一斉に好き勝手弾いてます。みんなソロみたいです(笑)。 ちなみにベースは片方が弓弾き,片方が指弾きという風に明確に 役割が別けられてますが,弓弾きはベースと言うよりチェロのような 演奏です。音はちょっと汚いけど,高い音域でのピッチコントロールが すごくうまい人でした。ドラムのデナードのすごいところは, どこが頭かわからないようなドラミング。なんかグルーブは してるのですが,手拍子とか出来ません。完全にリズムを解体してます。
オーネットはそういうバックの中で自由に演奏。実はこの人 結構メロディアスです。ただ,バンドの中での演奏を聴くと, 完全にリズムもコードもスケールも外してしまって,唯一 メロディだけが骨格になってるのだなぁ…という感じがしました。 なるほどなぁー…と思いましたが,こういうバンドをコントロール 出来てる事自体がすごいと思います(^^;)…。
オーネットのクァルテットが1時間演奏した後,山下氏が 加わって2曲,あと日本人のボーカルの人が加わって一曲。そして アンコール。山下氏が加わった二曲はターンアラウンドと Song X。やっぱりオーネット的にもパットメセニーとの共演は 影響大きかったのだなぁ…って思いました。でもターンアラウンドは どこがブルースかわからないくらいぐちゃぐちゃになっていて, 笑えましたが:-)。
というわけで,フリージャズの父オーネットのライブ。楽しめました。 すごいバンドつくるなぁーという感じ。 まだまだ健在ですね。

06/2/22: EMBエリックミヤシロBigBand ( 六本木スイートベージル)
エリック宮城のビックバンドのレコーディングライブ. 実はエリック宮城ビッグバンド初めて聴きました.というか エリック宮城自体初めて聴きました.
わたしは普段はあまりビッグバンドを(ジャズフェスとかで 聴くことはあっても)選んで聴くことはなく,あまり 明るくないのですが,おもしろかったです.管が15人以上 いてかなり豪華,アレンジもしっかりしていて,全体で 一つの大きなサウンドをつくってるなぁ…という感じでした. リーダのエリックは一人フロントに立って指揮をしたり, トップを吹いたりしてましたが,なんか入り方と抜け方が 独特でカッコイイ.バックもメロディを吹いているので, 途中で抜けたりすることが多いんですが,なんか印象に 残ります.それでも一人存在感がある音でさすがでした.
うまく表現できませんが,わりと王道なビッグバンドな 気がしてます.完全にスイングでも,今風のフュージョンや ラテンでもなくて,どまんなかのビックバンド.で,上にも 書きましたが,とにかく管が多くてサウンドが分厚いという 貫禄な感じが楽しめました.

06/2/14: Nervio (新宿ピットイン)
Nervioのライブは去年の年末以来 となります.今回はわたし自身がちょっと風邪気味だったので, 結構…もわーという感じで聴いておりました.ちなみに バレンタインデー….なんか女性ファンがそわそわしてました(笑).
今回の目玉…というかポイントは新澤氏の新曲2曲に題名がついた… という事じゃなくて(笑),その二曲がいい感じに仕上がってきてる ってこと.かなりヨーロッパ的なサウンドで美しいです. あと西嶋氏の新曲もありました.…というか全体的にサウンドが 美しい響きが豊かでした.あれ?新宿ピットインって音が悪いので 有名じゃなかったっけ?…とか後で思ったりも.
バンドの安定感については,もう今更言うことは無いし, それぞれのソロについても今回は気持ち良く聴けました. サウンドが良かったので個々の演奏を聴くというより, 全体の印象で聴いてましたが.
今回はわりとトリッキーな曲は少なく,全体的に豊かな 曲が多かったように思います.Nervioって曲のバリエーションが 多いのはいいのですが,それをまんべんなくやるとちょっと ライブ全体としては散漫な印象になることもあるので, こういう風にライブによってカラーを決めるというのはいいことだと 思います.2デイズやって色を変えるとか:-)….
というわけで,こちらの体調は万全ではありませんでしたが, 良かったです.楽しめました.

06/2/11:Real & True Live Series 2周年記念スペシャル・ライヴ (新宿ピットイン)
オフィス大沢企画の三つのバンドのジョイントライブ…。とはいえ それぞれが全然毛色が違っていて,ちょっと妙なライブでした。
最初が日比谷カタンというギタリストというか 弾き語りの人。ガットギターを弾きながら歌うというか語るというか…。 ですが,物凄くギターがうまくてびっくりしました。とても 歌いながら弾けるようなフレージングではないのですが,弾いてました。 右手はピックを持って中指や薬指を使ってアルペジオとかも するんですが,こんなに高速でピックを持ったアルペジオを する人はじめて観ました。まさに独特。しかし歌はどうも 地下演劇ぽい感じで,好みがわかれるかも。わたしは 意外におもしろいと思いました。また別のライブとか 見に行ってみようかなぁ…。
次がAlamaailman Vasaratというバンド。うまく発音できません(^^;)。 フィンランドのバンドで,トラッドというか牧歌的なメロディで 後ろはロック…という感じ。しかし編成が変わっていて,フロントは サックスとトロンボーン。オルガン,ドラム,そしてチェロが二人でした。 チェロの二人がベースみたいなことをやったり,エレキギターみたいな サウンドだしたりもして,結構おもしろかったです。
最後がAtomic。ノルウェーのバンド。これはCDを持っていたので まぁ目当てではあったのですが,なかなか迫力あるバンドでした。 フリージャズぽいのですが,細かい決めもあったりして,どこまで 書かれていて,どこまでは現場なのかイマイチ良くわからず。 編成的には普通でトランペット,サックス,ウッドベース,ピアノ, ドラムですが,サックスの人はクラリネットも弾くあたりが ヨーロッパぽい。フロントの二人は楽器の技術がすばらしく, 音程が物凄くしっかりしてました。ドラムはグルーブしない パーカッシブな演奏でこの辺もヨーロッパ的でしたね。
ライブは4時半から始まって,各バンド1時間から1時間半程度。 終わったのは9時ぐらいで結構早かったです。なんか その後パーティに参加可能だったようですが,ちょっと体調が アレだったので帰りました。当初毛色が違っていて,どうかと 思ってましたが,始まってみたら三組とも結構楽しめて, 世界を広げるにはいい経験だったなぁ…と思いました。

06/02/03: Separate Joints 『SMP』(高円寺ジロキチ)
「4打楽器・4鍵盤の特別企画!」と銘打たれたこの企画, おもしろそうなので観にいってきました。
メンバーは
  • 鶴谷智生(perc)
  • ヤヒロトモヒロ(perc)
  • 田中栄二(ds)
  • 村上広樹(ds)
  • 松本圭司(kb)
  • 新澤健一郎(kb)
  • 赤松敏弘(vib)
  • SINSKE(marimba)
の八人。かなり豪華です。あっ4鍵盤と書きましたが,実際は キーボードは二人で,あとは観ての通りビブラホンとマリンバ。 ってことで実際は打楽器が6つ。でキーボードの二人は それぞれキーボード一台ずつでやってました。
何をやってるかというと各メンバーが曲を持ち寄りの演奏。 結構セッション的…というか当日持ち込まれた曲が多かった みたいです(確信はありませんが)。なので演奏はかなり 行き当たりばったり的でしたが,それゆえの緊張感は 先の読めなさがおもしろかったです。特にドラムですが, どうしてるのかというとドラムセットをバスドラ(+コンガ), スネア,タムとかの様に(実際はどういう風に分けたかは きちんと確認してません)三つに分けてそれを三人で 叩いていたようで,その辺がSeparateだったようです。 書き忘れましたが,そもそもこの企画は鶴谷氏がドラムを 複数メンバーでやってみたいというのと松本氏がキーボード 複数でやってみたい…ということから始まったみたいです。
というわけでこれだけ打楽器がいながらもそれぞれがフルのセット ではないため,意外に間というか空間がある音になってました。 セッション的…ということでそんなに細かくドラムが打ち合わせを していたわけでもないのですが,その辺はみなさんすばらしく その場でサウンドをつくってました。
まぁ行き当たり的でメンバーも苦笑しながら演奏するシーンも 多く,全体的には和気あいあいとした感じでしたが, わたし的には結構出てくる音はアートしていていいなぁ…と 感じました。 なんでこれだけ楽器があって,あまり細かい打合せしないのに 音が濁らないというか空間的になるのだろうか?…とか 考えてましたが,ひとつは上に書いたようにドラムがフルセット じゃないというのもあるのですが,だいたい楽器がほとんど 減衰音になってること。キーボードは持続音弾いてましたが, 純音系の倍音が少ない音が多い,あと低域の楽器が少ないというか あまりなってないから…っていうのがあるんだなぁ…と 思いました。音程が高い音は倍音のすきまが多いので, あまりぶつからないというか…。
というわけで,非常におもしろかったです。ハプニング的な 演奏だったので,またやったからといって同じ音が出てくるとは 限りませんけど,こういう企画,またやって欲しいです。

06/01/21: Shinjuku New Year Jazz Festival 2006 (東京厚生年金会館 ウェルシティ東京)
日本が誇るライブハウスピットインの40周年イベントとしての 今回のフェスティバル。ピットインじゃなくて厚生年金会館…って ことでいつもとは違うホールでのジャズ。前売り券で6000円であったけど, 物凄く豪華な面子…ってことで行きましたよ…。ってことで 面子を羅列したので,感想は軽めでそれぞれの面子を書きます。
15時から21時までで,だいたいひとつのバンドが40〜60分でした。 以下にそれぞれのを書きます。一応演奏順。
渋さ知らズ
不破大輔(ダンドリスト)片山広明, 広沢 哲,佐藤 帆(Ts) 川口義之,小森慶子,立花秀樹(As)鬼頭哲(Bs)北陽一郎, 辰巳光英(Tp)高岡大祐(Tuba)勝井祐二,太田恵資(Vn) 斉藤良一,大塚寛之(G)中島さちこ(P)スガダイロー(Key) 芳垣安洋,倉持 整,磯辺 潤(Ds)関根真理(Per)ペロ(Dance) 東洋組
お祭りでは盛り上がる渋さ知らズ。 メンバーは固定じゃなくてライブ毎に 変わってますが10人以下の小編制のライブはみたことあるものの, 大編成をみるのは初めて。ダンサーつき。非常にすばらしい。 ある意味日本人ビックバンド。これって世界に誇れるのでは?…と。
30人位の大人数がほとんど同時に音を出しているのですが, それが悪い方向にならないところがいい。普通はごちゃごちゃに なるのですが,このバンド猥雑なサウンドがポイントだったり するので…。猥雑さがポップさにもつながっていると思います
三好“3吉”功郎 スペシャル・ユニット
三好“3吉”功郎(G)村田陽一(Tb)原 朋直(Tp)井上陽介(B) 村上“PONTA”秀一(Ds)仙波清彦(Per)
みての通りの強力メンバー。各メンバーの出す音が強力。 ただ,各メンバーの色が強くてバンド全体のカラーは イマイチつかめ切れず。でもユニットだからそんなものなのかも。 アクゥースティックからジャズ,ロックまで幅広くやりました。
梅津和時 KIKI BAND
梅津和時(Sax)鬼怒無月(G)早川岳晴(B) ジョー・トランプ(Ds)+ 今堀恒雄(G)
ロックだよなぁ…プログレだよなぁ…と思いつつ,しっかり 梅津氏のアイデンティティになっているところがすばらしい。 バックの演奏もすごいんですが,サックスがすばらしい。 こんなにプログレ的演奏にはまるのってあまり聴けないよな…と 関心。
Pain Killer
ジョン・ゾーン(Sax) ビル・ラズウェル(B)吉田達也(Ds) + 近藤等則(Electric Tp)
ジョンゾーンのサックスコントロールはすごい。他のメンバー (drを除く)がエフェクタを駆使してサウンドをつくってるのに 対し,ジョンゾーンは生サックスだけで普通にあり得ない サウンドをつくっていく。
まぁ曲的には,何やってるか良くわからない…って感じでは あるけど,でもこのメンバーでしかあり得ないサウンドで あるところはさすが。
大友良英 ニュー・ジャズ・オーケストラ
大友良英(G、指揮)カヒミ・カリィ(Vo) アルフレート・ハルト(Ts,B-cl) 津上研太(As,Ss)大蔵雅彦(As,B-cl, Tubes)青木タイセイ(Tb) 石川高(笙) Sachiko M(Sine waves)宇波 拓(Comp&オブジェクツ) 高良久美子(Vib) 水谷浩章(B)芳垣安洋(Ds,Tp)+ 菊地成孔(Sax)
フリーな感じか?…と思ったら意外に耽美というか,アブストラクトな 演奏。でもメロディもコードもリズムも解体してるので わかりにくいといえばそうなんですが…。でもたぶん 書かれてるのだよなぁ…って思い大友氏の作曲能力 すごいなぁ…とかそんな感じで聴いてました。笙とか 正弦波とか…そういうのを使うところも独特で おもしろかったです。
室内楽団 八向山
山下洋輔(P)向井滋春(Tb)八尋知洋(Per) + 早坂紗知(As)川嶋哲郎(Ts)
時間が押していたせいかさらりと終わった感もありましたが, これも各メンバーの色が出ていておもしろかったです。 ドラムレスのパーカションだし,八尋氏もわりと空間を 活かした演奏していたため,各メンバーの音を堪能できました。
いやぁ…ぜいたくな時間でした:-)。ホールってライブハウスとか 野外とは違うなんか距離感があって,あと聴くのに落ち着けて 聴けたり…とかいうのもあって,こういうのもいいなぁ…と 思います。今回は6つの全部のユニットがすばらしいという, これまたジャズフェスとしても希有で…,こういう試みって 毎年やって欲しいと思います。
ちなみに翌日もやっていたのですがこちらには行ってません。

06/1/20: 新澤健一郎Piano Trio( 吉祥寺String)
今年最初のライブ鑑賞は新澤健一郎のトリオ。自宅の近くで 助かる:-)。
というのはいいとしてすばらしい演奏でした。ジャズでしたよ。 ジャズのピアノトリオ。
一曲目いきなりフリーな感じで演奏が始まり徐々に緊張感が 高まり最後になってようやくテーマらしき?ものが:-)。 メンバー同士は何かを共有してるのでしょうけど,その 構造があくまでも内在していて外には現われないという緊張感。 いやぁーECMとかこの手の演奏が結構あって,すごく好きなんですが, 新澤氏の演奏でこういうのは珍しくすごく良かったです。
その後も新澤氏のオリジナル,スタンダードを数曲演奏しましたが, どれも非常に新鮮な印象。すごく自由に演奏されていて, すばらしかったです。
メンバーは新澤健一郎(p),高瀬裕(b),大槻カルタ英宣(ds)の 三人。みなさんきちんと歌をもっていて歌ってました。 音を詰め込むより間をうまく活かして,その歌を際立たせるような そんな演奏でしたね。進化してます:-)。


見る予定のライブなど(あくまでも予定)

06/05/27: ゲイリー・バートン・カルテット ( ブルーノート東京)
あくまで予定…。



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