伊勢観光(主に神社),初日(2000年9月28日)

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伊勢神宮

では,伊勢についてから書きましょう。宇治山田駅でも 伊勢市駅でも, 伊勢神宮の外宮には歩いていけます。バスが出てたりしますが, 1キロもありません。伊勢神宮とは皇大神宮(いわゆる内宮)と 豊受大神宮(いわゆる外宮)の二つの正宮とその周りにある いくつか(10個所くらい)の別宮からなります。 天照大御神を祀っているのが内宮で,伊勢神宮の中心ということになります。 外宮は豊受大御神といって実の神,内宮の天照大御神に食事を運ぶ神と して祀られてます。参拝の順番としてもまずは外宮,その後は内宮と いうのが正しい順番です。実は昔は伊勢参りの時にお参りする人が 外宮で散財するので,内宮の方が貧乏になってしまったという逸話を 聞いていたんですが(^^;),現状見た感じでは外宮の参道の商店街のほうが 寂れてました。まぁこの辺は再開発とかのタイミングもあるのかも知れませんが。

外宮

外宮 というわけで,まず外宮に行きました。参道自体はそんなに長くありません。 しかも曲がってます。通常の延々と直線の参道が続いていて,正面に デンと構えている神社のイメージとは違います。これは遷宮を するせいもあるのかも知れません。遷宮というのは伊勢神宮は20年に 一度神殿を場所を変えて建て直すという習慣があるのです。 これは外宮に関してもそのようです。もともと日本には遷都とかに みられるように,古いものを捨てて生まれ変わることにより清めるという 考え方があるんですが(正月に箸を下ろすのもその感覚からでしょう), それをいまだにやっているということです。そのため, でかい神殿が構えてるというよりはこじんまりとした印象があります。 最近の遷宮は平成5年に行われており,ということは 今も神宮の建物はまだ7年しかたってないということになります。

しかし参道はすごく綺麗で,幅が広く,良く管理されているという 印象です。ちょっと違いますが,明治神宮の参道と 似た雰囲気を感じます。綺麗に真っ白な砂利が敷かれ, しかも外灯とかもあります。右の写真は外宮の正殿( 神様が祀られてるところ)つまりお参りをするところへの 入り口です。横から撮ってますが良くみると警備員が 常駐する建物があります。ここをくぐると賽銭箱が あります。しかしここから先は神域であるので,写真は 禁止らしいです。警備員がいるので黙って撮ることもできません。 まぁ撮ってバチがあたっても困るんですが

外宮 その下の写真はその正殿の入り口へ向かって斜め前方から 撮ったものです。ちょっとコントラストが強くてわかりにくいですが, 鳥居をくぐったところに拝殿があり,そこに賽銭箱が 置いてあります。賽銭箱の向こうに正殿があるんですが, 直視できないように白いカーテン(ただし風で揺れれば見える)が 張ってあります。

真っ正面から写真を撮ってないのは構図的な問題ではなく, この入り口の外にも正面についたてがしてあるのです。

外宮の本殿を参ったあと,周辺の別宮を一つずつ みて回りました。基本的には本殿と同じ作りだと思われます。

初めて伊勢神宮にいって,いろいろ感じるところはあったんですが, とりあえず,それはこのあと内宮の感想を書いてから書きます。

内宮

外宮を出た後,伊勢市駅へ延びる参道を歩きました。 こじんまりとした小さな観光街とい感じです。あまり 人はいません。ブラブラしながら結局伊勢市駅前から 宇治山田駅まで歩いて,そこから内宮行きの バスに乗りました。内宮までは6キロほどあり, さすがに歩くのは辛いです。バスは15分に一回ほどの ペースでした。

さてバスを下りると宇治橋を渡って内宮に入ります。 下に写真を並べております。

内宮 神苑 川 正殿 正殿横
宇治橋 神苑(参道) 参道脇の五十鈴川 本殿(正面) 本殿(側面)

宇治橋はいわゆる玄関の様なものです。写真をみるとわかるかも知れませんが, 鳥居をくぐり川の向こうには,森があり高い建物や電柱すらありません。 非常に綺麗で,現在においては神秘的な感じすらします。 ちなみに写真でお分かりのように,伊勢地方の鳥居は,この様に, 二本目の横棒が柱から突き出ていません。あと赤く塗っていたり することはなく白木のままです。これも感性の問題かもしませんが, この素朴さ故に非常に美しく見えます。

宇治橋を渡ると神苑を通り本殿へ向かいます。ここは非常に広いです。 参道に沿って横には五十鈴川が流れてますが,これがまた すばらしく綺麗。水も綺麗ですし,ごみひとつありません

千木 そして本殿。ここここから先は写真禁止でした。この写真の通り, 壇上に拝殿があり白いカーテンが見えます。 これじゃぁ全然本殿がわからないので,横から撮った写真をその横に 起きました。バチあたらないかな(^^;)。ここで本殿の上半分が見えます。 折角ですので,ちょっと形状について解説すると,右の図のように 一般的に神社の建物は切妻の屋根に千木という角のような棒が 出てます。伊勢神宮の本殿は神明造りと呼ばれる形式で, この図では横方向に入り口があります。

ちなみにわたしが去年いった 出雲大社大社造りといってこの図でいうと正面に入り口があります。まぁ他にも 細かい違いがいろいろあるのですが, こういう神社の建物の形態の違いは観察すると面白いです。

また千木は通常祀っている神様が女性の場合と男性の場合形状が 異なります。内宮は天照大御神で女性神,外宮は豊受大御神で 男性神であることを示してました。

月夜見 ちょっとこれでも形がわかりにくいので,別宮の写真を右に載せます。 写真は別の日に見た,外宮の近くにある月夜見宮ですが,おそらく本殿の 作りは内宮も外宮も似ていると思います。サイズが全然違うでしょうけど。

この写真の通り,白木作りです。ちなみに本殿の横にスペースがあるのは 別宮も遷宮をするのでそのためのスペースでしょう。下には 真っ白な玉砂利が敷き詰めてあります。

さて,内宮の正殿をあとにして,帰る途中に白馬がいました。 神馬とのことでした。

馬 退屈そうでした(^^;)。この馬はどういう時に使われるんでしょう?。

伊勢神宮考察

さて内宮と外宮を見たので,両方をまとめて考察します。 ちょっとディープな話も書きますが,お許しを。

わたしは神社とかを見るのが好きなので,いろいろ見て回って 来てるんですが,伊勢神宮は今までみた各地の神社とは全く 雰囲気が異なりました極めてまじめな神社というのが 印象です。わかりやすく書くと宗教の場としての神社という 印象を強く受けるのです。 例えば去年行った出雲大社とかは,実は出雲大社教という 新興宗教がとなりにあったりするんですが,神社自体は そういうものとは関係なく存在しています。 わたしが出雲大社で感じるのは太古の歴史です。 かって出雲にあった国々の人の想いと,そしてそれを 守ってきた人たちの想いです。

しかし伊勢神宮は違います。伊勢神宮でわたしが 入ったと単に感じたのは今神道を信仰している人の想いでした。 ある程度格式のある神社は,そこに入るとちょっとした 雰囲気を感じるのですが,出雲の歴史に対し 伊勢では新鮮な想いを感じたのです。したがって, 軽い冷やかし歴史ロマン等を堪能する つもりで行ったわたしは結構,参道にはいる否や ビビってしまったのです。何か具体的なものを みてとかではなく,神社に充満するものから感じました。

結界 神社の境内は綺麗に管理されており,TV監視カメラまであります。 警備員も常駐してます。更に右は月読宮のものですが, このようにあちこちに縄が張っており,人間は入れないと 思われる空間がたくさんありました。

参拝してる人も,もちろん観光で来てる人もたくさんいるんですが, そういう人にまじって,物凄く熱心に数分も手を合わせ,呪(まじな)いを いいながらお祈りしている人が結構いて,本当に神道を信仰していると 感じさせ,そういう人たちのための場なのだと, 感じたのでした。神宮自体は観光地ではないという気がします。 もちろん,そういうことを感じ無い人も多いというか,そう感じる 必要はないのでしょう。実際には観光名所ですから。

この辺は,わたしが神社とかに持ってる想いとかとも 関係があるので,普通の人にはどうでもいいことなのかも知れません。 わたしの信仰というか世界観を説明しないと,伝わらない部分 なので,詳しく書くのは止めますが,わたしは神社はすごく好きなんのですが, 伊勢神宮の様な神社は望んでいないような気がします。 もっと民衆のための信仰の場という神社が好きなのです。 これに関しては翌日の花窟神社とかがそういう雰囲気がしました。

おはらい町

横町 さて宇治橋を渡って外に出ると,横におはらい町という 土産物街があります。どうやら最近再開発したらしく, いずれも建物が綺麗。しかもデザイン的に統一されていて, なかなかいい雰囲気です。土産物やや飲食店,雑貨屋など たくさんありました。

このハズレに,さらにおかげ横町というのもあり そこもいろいろあるようです。 こういうのがあるせいもあり,伊勢神宮の観光の中心は 外宮から内宮へ移ってしまったといえるでしょう。

神宮徴古館

さて,この日の観光の最後は丁度内宮と外宮の間辺りにある 神宮徴古館に行きました。 徴古館がある敷地は他にも美術館と農業館があります。 ここを通った時点で4時になっており,それぞれが 4時半閉館のため,本当に駆け足で徴古館だけを閲覧しました。

徴古館とはいわゆる伊勢神宮の宝物館の様なものです,たぶん(^^;)。 とは言っても例えば京都奈良の古い寺の宝物館等とは違い,最近の ものが置いてあります。考えてみたら,別に歴史が無くても 高価なものは高価というか,例えば寺社の宝物も,当時から 価値のあるものが蓄えられていたはずなので,宝物館に 最近のものがあるっていうのも当たり前と言えばそうです。 ちょっと古いものの見過ぎで「古いもの=高価」という 思い込みが出来てたことを反省しました。

だいたあるものは明治大正昭和の時代のものが多く,やはり 明治以降から戦前の天皇が力を奮った時代に,伊勢神宮も 大きな役割をになっていたことが伺えます。 非常に興味を持ったものが,いわゆる三種の神器にもあるように, 剣,鏡,玉があったことですが,いずれも普段から イメージしていたものと異なっていたことです。

まず剣。現在の天叢雲剣(草薙の剣)がどういう形なのかはわかりませんが, どうも思い込みで剣というと日本刀の様なものを想像していました。 しかし展示していた剣の類は,反っていない片刃の剣です。 考えてみたら,日本の刀も昔は反ってなかったので,当たり前と 言えばそうでした(^^;)。ただし飾りつけがかなりされていて, 持つ部分は金や宝石でいっぱい。ちょっとサーベルのような 印象も受けましたが,一応鍛冶屋で叩いた剣のように感じました。

次に鏡。もちろん銅鏡(合金ですが)です。八咒鏡もおそらく銅鏡でしょう。 あぁーでも鉄からつくったって話も聴いたことあるような気もします。 飾っていた鏡は,古墳から出た鏡と違い全く錆びてないので, スズのような色をしてます。 青銅色ではありません。これも当たり前なんですが,新鮮でした。

一番驚いたのが玉。勾玉の様なものを想像していたんですが, なんと水晶玉でした。八尺勾玉は勾玉なんですが…。これは どういうことでしょう?。 丁度ビリヤードの玉くらいの大きさでした?。

これまでわたしは,三種の神器が 剣,鏡,玉というのは,それぞれ象徴で,を 象徴してるのはわかるとして,光(=太陽)だと 思っていたんです。では玉はなんだろう?と…。 ところが,じつはこれらを見て初めて意識したのですが,どうも そうじゃない気がしてきました。水晶玉はよく占に使われます。 しかし良く考えたら鏡も占に使われるのです。

ということは,鏡も玉も呪術を象徴してるのではないでしょうか?。 つまり天皇というのは力と呪術を継承してきてる, ということにあらためて気づきました。そういうわけで,玉が水晶玉だった というのは非常にわたしにとって大きな収穫でした。この辺の話は 一般に言われている三種の神器の逸話とは違います。正しい逸話は 調べてみてください。あちこちに書かれてるようですので。

そのほかにも江戸時代のお伊勢参りの様子を描いた屏風があって, お伊勢参りが結構華やかであったこととかも伺えました。 それから,日本の着物って,立体裁断ではないので(笑), 壁にかけるとまるで絵のようで綺麗だなぁーとか感じたりも しました。 いろんな意味でたった30分でしたが,面白かったです。

初日終了

というわけで,初日の観光はこれで終了。あとはホテルへ帰り, 食事に行きました。これについては食事編を 参照してください。

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'00 Oct. 12th


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