キース・ジャレットとヤン・ガルバレクというECMを代表する二大天才は たった6タイトルだけECMに共演作を残している。そのうちスタジオ版は 4タイトルのみ。その貴重な共演作のうち,おそらく最初の一枚の 一つであるのがこのアルバムである。
とややこしい書き方をするのは,このアルバムを録音した4,5日後に luminessanceというアルバムも 二人の共演という形で録音している。ただしこちらはバンドではない。 このバンド編成のbelongingがキースの気に入ったのは1977年に 同じメンバーでMy Songというアルバムを 録り,その後ライブツアーをしてライブアルバムを2枚残した事からも 用意に想像できる。この後このバンドはヨーロピアンクァルテットと 呼ばれることになる。
キースとガルバレクの共演はプロデューサのマンフレッド・アイヒャーが 仕組んだものらしい。このアルバムはメンバーを見ると,ガルバレクの 自分のバンドのピアニスト(Bobo Stenson)だけを入れ替えた編成に なっている。しかし,曲はすべてキースが提供している。 アルバムのジャケットを見るとガルバレクが先に名前が出ているが, この時点では対等だったと思われる。
曲はこのメンバーを想定したもので,ガルバレクの牧歌的なサックスを うまく生かした曲,リズム隊にはジャズ的なリズムではなく, メロディーを生かすポップなリズムを刻ませている。曲調は バラエティに富んでおり,一曲目がスピード感のある16ビートの曲, 2曲目が内省的なバラード,3曲目がゴスペルチックな曲, 4曲目もバラード,5曲目は軽快でちょっとフリーな曲, 6曲目もバラードぽい曲。比較的静かな曲が多いが, いずれもガルバレクのサックスが引き立てられてすばらしい メロディを吹いている。
My Songに比べると多少フリーな雰囲気があるが,キースも ガルバレクも,とにかく綺麗なで不思議な緊張感のある 空間を作り出している。 ヨーロピアンクァルテットに外れはないが,そのスタートと なるアルバムである。
二人の天才が出会った金字塔的なアルバム