この映画はほんの10年ちょっと前に,アフリカのルワンダで起きた 民族間の虐殺の話です.実際にあった話で,実際にいる人を モデルとしてつくってます.とても恐ろしい話でしたが, 演出はあるでしょうが,事実は事実なのでしょう.
わたしはこの映画 町山智浩氏の日記で知りました.そして ここに書かれている 感想を読んで,まさにその通りだと思います.この映画の主旨は 決してアフリカを見てくれ…という映画ではなく,自分の 隣人やお客を愛し見捨てるな…ということでしょう.ですから 普遍的な問題といえます.
とはいえ,実はこの映画を見に行ったのは町山氏のページを 読んでからずいぶん経ってますので,そこに書いてあったような 事は忘れてました(^^;).最近のわたしの日記にも民族の話を 書いてますが,最近のわたしは「いつ人は隣人を異民族に 切り変えられるんだろう?」ということに興味があります.
人間は唯一同類で殺しあう動物といわれてますが,誰でも 無差別に殺すわけではありません.自分に近い人間ほど 殺すのに抵抗があります.ですから外国人同士で戦争をすることが 出来ても,自国,隣人,家族…という風に近くなれば (異常者はともかく普通は)殺せません.外国人同士でも 交流があれば殺すのに抵抗があります.それは,近い人間を 殺すとペナルティがある…というような約束事もあるような 気がしますが,もっと深いレベル(本能)で抵抗を持つように なってる気がします.
しかし,実際はちょっと言葉が違う,肌の色が違う, 宗教が違う…ってことで殺し合いは起きてます.日本人も ここ数十年は露骨にそういうことは行ってませんが,在日外国人に 対する不信感なども高まっていて,本当にいつまでそうできるか, ちょっと不安に思うこともあります.
今回映画の冒頭で,ツチ族とフツ族の違いはとヨーロッパ人が 訊ねるシーンがありました.植民地時代の宗主国が勝手に 身体的な特徴で分けた…とのことでした.つまりよその国の人が 勝手に引いた線を挟んで殺し合いを始めてしまったということです. そういう民族もあるのか…というのが驚きでした.
そんな感じで,実は淡々と観てました.平和を愛することは 簡単かも知れないけど,平和を貫き平和のために戦うのは 大変なんだと思いました.そして隣人を異人として見ない, そういうことがずっと可能なんだろうか?…とも考えさせられました.