甲斐バンドの想い出
ネットをいつものように巡回していたら,ふと甲斐バンドのアルバムを アフリエイトリンクしてるページが目に入り,あと,NHKがサウンドストリートの録音を探しているとか, そういうのが目に入り,…そういえば甲斐バンドははてなキーワードにあるのだろうか? とか思って,観てみて愕然としました。というのは甲斐バンドの大森信和氏が 4年ほど前に亡くなっていたことをはじめて知ったから…。
いや…,甲斐バンドのファンならとっくに周知の話だろうし, そうじゃない人も当時聞いたかもしれないし, そういう意味ではわたしは甲斐バンドのファンとかもう言えないのかも しれないのですが,やっぱり哀悼の意を表さずにはいられません。 甲斐バンドはわたしにとって,ある意味音楽の スタートのバンドだったし,ギター弾き(もちろん素人だけど) である自分にとって,やはり大森氏は人生の方向性に大きな影響を 及ぼしているのでしょう。
そういうわけで,ちょっとだけわたしの甲斐バンドへの思い出を 語らしてください。
わたしが甲斐バンドを知ったのは,たぶんわたしの年代だと 多くの人と同じく,「HEROヒーローになる時,それは今」のヒットです。 当時セイコーのTVCMに使われ,オリコン一位になったこの曲を 知るのは普通にTVを見ていれば当然でしょう。当時わたしは中学生。 もう30年位前か…。アニメの曲や歌謡曲とかと違う音楽に興味を 持ち始める年頃で,クラスメイトが勧めてくれたこの曲を聴き, あとFMとかで甲斐バンドを聞き始めた気がします。
たしかわたしがはじめて買ったアニメ以外のLPは「甲斐バンド ストーリー」でこの頃買いました。そしてもしかしたら一番再生した LPかもしれません。とにかく,わたしがはじめて聞くロック(というより ニューミュージック)でした。そして,その後わたしは,安物の フォークギターを買って,ギターの練習を始めるのですが, 当初は甲斐バンドの弾き語り譜面を買い,そればかり練習してました この本はかなりぼろぼろですがまだ持ってます。
とにかくギターを持った初期に,音楽に目覚めた最初に一番 影響を受けたのは間違いなく甲斐バンドで,リーダーの甲斐よしひろの 本も買ったし,FMも聴いたし,言動や生き方もきっと影響を受けてます。 音楽のやり始めの初期ですから,歌ったり作曲したり作詞したり, そういうことも甲斐バンドの影響の下にやった気がします。
そしてそうこうするうちに,初めて(親に連れられてじゃなくて) コンサートに行ったのも甲斐バンド,徹夜してチケット買ったのも 甲斐バンドでした。初めて行ったコンサートは田舎だったのもあり, 徹夜で買ったら,2,3列目のかなり前,ステージ向かって右側の 席が取れたのですが,そこに行って熱狂するわたしの目の前に リードギターの大森氏がいたのでした(^^;)。
…というわけかどうかはっきりとはわからないのですが,その後 わたしは,エレキギターを目指すようになりました。リーダーの 甲斐よしひろは大好きですが,なぜか歌ったり詩を書いたりという ことよりもギターを弾くことを面白いと思うようになりました。 そして,弾き語りではなくて,甲斐バンドのスコアを買い,フォーク ギターで大森氏のパートをコピーしたりするようになりました。
で,その後高校に上がりバイトをしエレキギターを買い, 練習のために洋楽のハードロックを聴いたり,さらにジャズをとか 移っては行くわけですが,甲斐バンドはわたしの音楽の,そして ギターの,エレキギターのルーツでしょう。
甲斐バンドのコンサートには何度も行きました。当時はすごく人気が あったので,TVやFMで特集やライブ放送も結構あり,録音したり して何度も聴いたりしてます。LPは解散前までのものはすべて買いました (その後のベスト版とかは買ってないものもあります)。EPも 結構持ってます。甲斐バンドが解散したのは,わたしが大学に入った頃で, その頃はすでにジャズに傾倒していたし,そういう意味では甲斐バンドの 解散がわたしにとって邦楽の(一時的)卒業だったともいえます。 そしてその後CDでアルバムを買いなおしてないというのもあり, しばらく甲斐バンドは聴かなくなりました。
とはいえ,自分自身も長年楽器を弾いていると,たとえジャズを やっていても,ロックやニューミュージックの様に初期に覚えた 音楽というのがベースになってるのが,この歳になるとますます 良くわかります。一時期は卒業していたと思っていた,昔の曲も 今聴くといろんなレベルで再発見や感動があり,実は最近は, 邦楽もそれなりに聴いてます。実際1998年にあった伝説ライブの 中での再結成久しぶりに生で見,甲斐バンドの曲はギターソロ までそらで歌える自分に,純粋楽しめるとともに, 体にしみた甲斐バンドのサウンドを再認識したのです。 そういう意味じゃ,わたしにとって過去のようで過去じゃないというか, 血肉のレベルになっていて,大事な音楽なんだけど,でもすっかり忘れていて, それで大森氏の死を知って,複雑な心境だったというか。
最後に大森氏のギタースタイルについて。
ロックバンドとは評価されるものの,意外に各メンバーのプレイは 話題に上らない気がします。リーダの甲斐よしひろはローリングストーンズとか をアマチュアの頃聴いていたとの話もありますが,初期バンドサウンドに そういう影響は少ないし,やはりフォークから電化していったサウンド のように思います。大森氏のギターもリフなどを多用するハードロックの 影響はあまり見られないし,どちらかというとかなりメロディアスな ギターだったように思います。コードとかよりもウラメロとかを 弾く形でバッキングを行うことも多く,そういう面では,わたしは 影響を受けたかもしれません。
まぁあんまり甲斐バンドのサウンドをきちんと分析したことはないのですが, ちょっとこれをきっかけに再分析してみるもの良いかもしれないと 思ってます。
いずれにせよ,遅れて知った大森氏の死に甲斐バンドの前進は もう無いのかなと思い残念な気持ちです。