最近読んだ本から…メモなどを。
書籍編
- 内臓感覚〜脳と腸の不思議な関係(福土審)(08/10/26)
- 著者は東北大の医学部の先生とのこと。この本はIBS(過敏性腸症候群)に ついての本と書くと弊害がありますが,IBSについては詳しく書いてます。 IBSを元に,腸の感覚…というっても人間が意識するような感覚ではなく, 消化系が自立して動くための感覚といっていいでしょう,そういう 話と,あと脳との関係みたいなことを書いてます。
消化系は,脳がなくても自立して自分で感じて動作をするので, それゆえに第二の脳ともいわれるそうですが,そもそも生物で 最初に出来た内臓は消化系であり,脳や神経はむしろ消化系を サポートするために出来上がったといってもいいようです。
医学者であり臨床医でもある著者ですから,医学的な研究のさまざまな 報告や実際の患者の様子などが実に詳しく書かれていて,興味が ある人には実に有用な本でしょう。一般向けの本ですが,若干 学者らしく生真面目な文体ですし,素人向けにしては突っ込んで 書いているので,若干難しいと感じる人もいるかもしれませんが, 興味があるところを拾い読みするだけでもいいかもしれません。
前回紹介した「 第三の脳〜皮膚から考える命、こころ、世界」と比べると, 人間の感覚というのは脳がすべてではないという点では似た方向性を 持ちますが,こちらの本の方がより病気とかに詳しいし,言いたいことも かなり違う本でした。この二冊は,同じような時期に買ったのですが, ちょっと一緒に扱うには違うかなと思いますが,どちらも面白かったので よかったです。
ちょっと話がそれましたが,この本では例えばIBSも腸の中の 感覚が実際に過敏症になっているとか,でも脳とのつながりもあるとか そういうことを,どういう実験で明らかにしていったかとか 書いてあって,研究者として読んでも読み応えがあるものでした。
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