最近読んだ本から…メモなどを。
書籍編
- バイブを買いに(夏石鈴子)(04/06/20)
- おそらくこの本は女性向けの本だと思います。なのでわたしが読んで 感想を書いてもしょうがない気がするのですが,まぁ思うことはあるので。
お気づきように完全にタイトル買いです(^^;)。作者と作品に対する知識は 全くありません。本屋でタイトルから手にとって,ちょっと立ち読みして 買いました。
最初エッセイかと思ったりもしましたが,読んでいくと小説のようです。 短い短編が8編ほど入っていて,登場人物はほぼ独立ですが,どうやら 最後の3編だけはつながっているようです。文体が一人称なので, まるで作者の体験のようにも読めますが…,まぁそう書くと作者に 失礼な場合もあるので,やめておきます。
だいたいにおいて,女性が付き合っている男性の事をあれこれ思ったり 行動していたりすること書いてます。タイトルから想像できるように セックスの話が多いです。愛のことが多いです。想いのことが多いです。
最近わたしは男性向けに女性作家(主に漫画家)が描く性表現が新鮮で 結構読んでいるのですが,そもおもしろいのは肉体や性に対する 感じ方が従来の男性による表現やわたしの思うところと違うところです。 そういう意味でこの本もとても新鮮だったのでした。
ひたすら男性への想いを書いていて,女性は男性と付き合うとき 愛だけで付き合うのか…と思ってしまいました。…って書くと 「えっ?違うの?」って女性からは言われるのかな?。でも, 書かれている例えば行為の時に考えていること,その前に考えていること, そして男性がいないときに男性のこと考えていること…, 気持ちばっかりです。これを読んで,じゃぁ男性(自分)は女性と 行為をしているとき何を考えているのだろう?,とか思ったりも しましたが,どうもこんなにいろいろ豊かなことは考えていない気がします。 そう,なんかこの本に限らないのですが,女性による性行為の 表現って,なんとなく満ちた感じがします。刹那的な話でさえ。 男性だとなんか殺伐とするんですよね。
なんとなく女性が女性向けにする話を覗き見してしまったような, 感じもあるのですが,何となく胸がホットになったので, こういう風に書いてみました。
- パンツが見える〜羞恥心の現代史(井上章一)(04/06/12)
- この本の目的はひたすら「日本で女性のパンツがちらりと見えることを 恥ずかしいと思うようになったのはいつからか?」を解明することです。 明治以降の新聞・雑誌記事,小説,随筆などから当時の服装,下着, 躾などを読み取り考察しています。結構な量の資料を参照していて, そういう意味でも結構価値のある本だと思います。
さて昨今犯罪とわかっていてもパンツを覘きたがる男性が いるようですが,パンツが見えるとうれしい,パンツがみられると 恥ずかしい…と思うようになったのはこの本によると意外に最近で, だいたい1950年代とのことです。というかそもそも戦前までは 日本人はほとんど和装で和装の場合はパンツ…というかその 前身であるズロースははかなかったとのことです。したがって 着物裾から陰部そのものが見えて恥ずかしいということは あっても,パンツがみられて恥ずかしいという感情はありえなかった とのことです。
ズロース自身が日本に入ってきたのは明治になってからですが, なかなか広がらなかった理由として相当ごわごわしており,着物の 下にはくと線が乱れてしまうというのと,実際に高価だったから だそうです。戦争が終わり洋装が広がり,パンツもだんだんと 安価になっても例えば人前で平気でスカートを捲し上げて, ガーターをあげる女性とか結構いて,パンツをみられても 恥ずかしいという感覚が芽生えるまで結構時間がかかった とのこと。もちろん女姓自身が恥ずかしがらなくても男性が その光景を喜んでいるっていう時代もあったそうですが, 1950年後半あたりから徐々にパンツが見えることがみっともないと いう感覚になってきたそうです。
実はこの本はこの辺りで終わっていて,最後に現在の若い女性が 再び平気でパンツが見えるような座り方をしているのを 挙げてはいるものの理由は考察してません。 ちょっと気になるのは女性側がパンツが見えるのを恥ずかしがる 気持ちが男性側と女性側でかなり感覚が違うのが完全には 説明されていない(たぶん作者も良くわかっていない)ことだったり しますが,それは難しい問題なので仕方ないかも知れません:-p。
この本ではパンツがどのように日本の女性に広がっていったか?, そしてそのときの彼女らの目的や意識,社会の意識,男性の目を 丁寧に取り上げてます。こういう話に興味がある方は一読を お勧めします。
- 死の壁(養老孟司)(04/05/07)
- 何度も書いてますが,わたしは養老先生のファンです。 ですが,バカの壁が 大ヒットして,その後に大量に出た本はさすがに出版社に はめられている感じがして,読む気にはなりません。なので この本も素通りしようかと最初は思ってました。 とは言ってもバカの壁もそうでしたが,先生の著作に比べ,口述筆記なので わかりやすい,また「死」の問題を先生がどういう風にわかりやすく 説いたか,そしてそれを世の中はどう反応するかが気になったので, 読んでみました。
内容的には「日本人の身体感の歴史」という本で先生が説いている事と そんなには変わりません。都市化社会では「死」が無いことのように されている…,それでいろんな歪みが出ている…という話。また 生と死の境界など定義できない等の話です。
「日本人の身体感の歴史」を 読んだときは,脳死問題が主なキッカケだな…と思いましたが,今回は 少年犯罪や戦争についても結び付けられていて,ちょっと新鮮でした。 あと,わたしが普段思っている,「日本にエリート(教育)がいない 事による弊害」を先生も感じているようで,興味深かったです。
で,あとはこの本がどれくらい売れるか?…,世の中がどう反応するかが 興味あるので様子観です:-)。バカの壁のあとも「で,どうすれば いいんですか?」という質問がたくさんあったそうで,世の中なんて そんなもんなんでしょうか?。でも「死ぬ」のはみんな間違いないわけで, どうしたらいいんですか?…っていう質問はさすがに出ないかとは思いますが。 自分が死に至るまでの過程,ちゃんとイメージできてますか?。
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