読書メモ(2003年6月〜8月)
2003/08/15:作成
最近読んだ本から…メモなどを。
書籍編
- 天皇と日本の起源「飛鳥の大王の謎を解く」(遠山美都雄)
- 某氏のところをみていて読む気になった本です。
下のもそうか…。
古代史ものは良く読みますが,斉明天皇を重要視してるところが
新鮮でした。逆を言うと中大兄皇子が他の人説に比べると力がありません。
ついでに書くと唯古天皇もかなり重要視してます。つまり
二人の女帝が古代大和朝廷のコンセプトを作ったような感じにも
読めました。たしかにこの二人はやたら在位が長いです。
日本は卑弥呼伝説あったり天照大神がいたり,女性を崇拝する
雰囲気がありますが,もしかしたらこの二人の女帝が持っていた
影響力の関係かも知れません。もっとも卑弥呼が大和朝廷に
つながっているかは謎ですが…。
それから,天武天皇が壬申の乱の時に伊勢を抜けて勢力を盛り返した
様ですが…,この事と伊勢に神宮がある事って関係ないんですかね?,
そう思いました。
いずれにせよ現存する最古の歴史書である古事記は
天武天皇が書かせたものですから,彼に都合が悪いことは書かれてない
気がします。
わたしは当時のことをいろいろ想像するのが好きですが,また一つ
違った視点をくれたという意味でおもしろかったです。関西に
行ったらみたいところがまた増えました:-)。
- 戦闘美少女の精神分析(斎藤環)
- 日本のアニメやゲームには戦う美少女が登場します。
海外でも戦う女性が登場する伝説や映画はありますが,
その場合はもっとマッチョか成人した女性が多く,日本のように
少女のままはかなさと純真さを持って戦う女性というのは,
日本特有のことらしいです。
というわけで,その文化とそれを支えるオタクについて
考察した本です,これは。
で,オタクとマニアの差は「アニメ絵で抜ける事」らしいです(苦笑)…。
はぁ…,そうですか?(^^;)。。
この著者は本人はオタクではないらしく「萌え」の感情が
わからない…とか言ってます。カミングアウトするとわたしは
萌えの感情はわかりますが(^^;)…。
でも,精神科医である著者が述べているオタクへの分析は
わりとあたってる気がします。
まぁ,そういうことをいろいろ思ったりして読みましたが,
結構興味深かったのが,これまでの戦闘美少女の系譜というか,
ターニングポイントとなるような作品を挙げてますが,
当時その渦中にいたいた身としては(エバンゲリオンとかの
時はすでにこの手のものを見なかったのでリアルタイムとは
言いがたいんですが…),そのターニングポイントの作品が
出たときにそれほど斬新性を感じなかったことです。
つまり,たしかに現在から思い起こすとそれぞれの作品は
ある新しい特徴を持って現われてますが,当時中から見ると,
そういう作品が出てくるっていうのは,なんとなく「当然の風潮」だった
様に感じが気がします。
そういうものかなぁ…と思います。
音楽とかでも歴史的な作品とかありますが,多分当時の人から
見ると,「当然のように出てきた作品」だったのでは?…とか
思います。
- 十二国記シリーズ(小野不由実)
- 最近ずっと読んでました。とりあえず文庫で出てるやつは
全部読みました。まぁこういうのをはまってる…って
言うんでしょうね(^^;)。
もともとは知人からTVでやってる番組を見せてもらったのが
きっかけです。おもしろいと思ったので小説の方も
読みたくなった…というか,当然番組より小説の方が
話が進んでいるので,その先が読みたくなったという意味では,
メディアミックスの戦略にうまくはまった…ってことでしょう。
しかし,TVで先の話を知ってから読み始めたせいもあるんでしょうが,
最初の頃から世界観の設定がしっかりしているのや,伏線がたくさん
貼ってあって後からちゃんと機能しているのに驚きました。シリーズものの
小説ってそこまで世界設定してから書き始めるものなんでしょうか?…。
わたしは普段小説を読まないので,おそらく文章を読んで頭に
シーンを浮かべるという想像力があまりないのだと思いますが,これに
関してはTVを先にみていて助かりました。
ファンタジーですが,心理描写が多いですね。あと一貫して「責任」というか
「分」というかそういうテーマが流れているように思います。
ファンが多く,続きの出版が待たれているようですが,わたしも
読みたいです。
- バカの壁(養老孟司)
- 養老先生の新刊です。まぁ科学者なので科学者的な視点で書かれてますが,
コラムでしょうね。愚痴ともいう:-)…。
東大辞めて北里大に行って生徒の質が下がって苦労しているようにも
とれます。あとお年寄り的発言が結構あって,つまり現代になって
都市化が進んでおかしくなってしまったこととか…,なんとなく
養老先生がぶつぶつ言ってる感じがしておもしろいです。
とはいえ,書かれていることはほとんどわたしにとって「そうでしょう,
わたしもそう思います」って言うことばかりです。わたしが
日記や一人言で書いてることが再掲されていると言ってもいいくらいです。
もちろん影響をわたしが受けてるんでしょうけど,まぁ偉い人が
同じようなことを書かれていて安心しました(笑)。
例えば現実なんて見る人によって全然変わるとか,「客観的事実が存在する」
というのは最終的には信仰の領域とか,現代人がおかしくなったのは
身体との付き合い方を忘れてしまったからとか,あと一元論(一神教)に
対する批判とか…。
「個性を伸ばせ」という教育の批判もおもしろかったです。
本当に個性的ならば精神病院に入れられてしまう…って
いう辺りが医者らしい視点で,そういう人達を見てるゆえの
発想でしょう。本来体の作りはみんな違うのだから,ほっておいても
個性的になる…っていう風にいってる辺りも解剖学者らしい視点です。
といろいろ軽くおもしろく読めましたが,この本の最初に書かれてるように
あるものを見て「当たり前じゃん」と思っちゃう人と「大変勉強に
なりました」という人がいて,前者は別に良く知ってるってわけじゃなく
単に表面しか見てない…って場合が多い…そうです。わたしは
この本をどこまで読めたかな?…とか思ってしまいました。
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