Title
Speaking Of Now
Artist
Pat Metheny Group
Label
Warner
Songs
  1. AS IT IS
  2. PROOF
  3. ANOTHER LIFE
  4. THE GATHERING SKY
  5. YOU
  6. ON HER WAY
  7. A PALCE IN THE WORLD
  8. AFTERNOON
  9. WHEREVER YOU GO
  10. EPILOGUE (japan bonus track)
Members
内容と感想
パットメセニーグループ(PMG)は,おそらく現在最も期待されている ジャズグループだと思います。もちろん人気という面でもほぼトップ クラスですが,過去の作品そしてライブで常に変化し新しい音楽を 実に聴きやすい形で提供してきたPMGは,多くの人から,ポップさ, 新しさ,品質,等…,実に多くのものを期待されて,そしてほぼ常に 答えてきた…,現在の奇跡のようなジャズバンドだと思います。
さて,このアルバムは前作Imaginary Day(1997発表)から久しぶりの PMG名義として出されたものです。もちろんその間,主要メンバーである, パットメセニーはソロや多くの共演で作品を発表,ライルメイズも自己の ソロアルバムを出しています。そういう意味で言うと,パットの 活動は常にファンから見えていて,その活動の影響が, どのように今度のPMGの新譜にフィードバックされるか?…,という 期待もファンの中にはあったかと思います。また今回,パット, ライル,スティーブという三人の主要メンバー以外がすべて 入れ替わり,新しいメンバーがバンドにどういう影響を 与えるか?,そういう期待もあったように思います。
そう,PMGはそういう風に常に新しい「」を 提供してくれるそういうバンドです。
そういう中,今回のアルバムが発売されました。 誤解のないように,最初に言っておきます,私はこのアルバムは すばらしい出来だと思います。とはいえ,あちこちのファンの声を 聴くと,「ECM時代のサウンドに戻った」等という声が聴かれました。 確かに,今回のアルバムを聴くと,メロディ,コード,サウンド等は 従来からPMG構築してきたサウンドをより完成度を高めた ものの様に聴こえます。また新加入の三人の多様な 音楽バックグランドが直接曲の構造に表れてなくて, 肩透かしを食らった…っていうのもわからないでは ありません。
しかし,私は今回のアルバムを聴いて最初に思ったのは, 「ライルが力強いピアノを弾いている」ということと 「各メンバーのソロが十分に織り込まれている」という こと,「アクゥースティック楽器の比重が増えた」 ということです。
ライルはPMG結成以来パットの片腕として,楽曲の共同作成, 演奏とやってきてますが,正直,ピアニストとしての個性は 弱いように思ってました。しかし今回のアルバムでは, 全曲アクゥースティックピアノを全面に出し,力強い伴奏, そしてソロを弾いています。もちろんシンセも弾いてますが, あくまでもサウンドの色付け,補強的部分が強く,そして,クンと いう実に音色コントロールがすばらしいトランペットが入ったため, アクゥースティックでPMGサウンドを構成することを 可能にしてる気がします。
そういう意味で言うと,今度のアルバムが持つPMGの新しさは 「コード」や「構成」と言った構造的なものではなく, 各メンバーのソロの演奏力量の上昇,バンドサウンドの アクゥースティック化という「質」的なものの様な 気がします。
そして,PMGのサウンドを聴くと,PMGがパットとライルの 双頭バンドであるということを強く思います。どの部分が パットのサウンドで,どの部分がライルのサウンドか わかりにくい方は,ライルの一枚目,二枚目のソロアルバム (Lyle Mays, Street Dreams)と,パットのそろアルバム (Secret Stroy)を比較してみるとわかりやすいと思います。 PMGは一時期,ライルのカラーが減っていましたが, 前作辺りから急にまた増えてきた気がします。 今回のアルバムは「ピアニスト,ライルメイズ」を より強く強調したアルバム…,そういう気がします。
ちょっと揶揄になりますが,今回は構造的変化がないと 不満を挙げてるファンが多いようですが,前作が 出たときは変化しすぎていて,「流行りのサウンドを 安易に取り入れてる」って批判する人が多かった 気がします。そういう意味じゃ,いろんなファンに 答えなくてはいけないPMGって大変ね,って思って しまいます:-p。もしPMG以外のバンドがこういうアルバムを 出していたら,十分構造的にも新しいし,高度で複雑な 演奏をやってると評価されるでしょう。もともと みなさんがPMGに期待するものが極めて高いのだと, いろんな人の感想を読んでいると思います。
新しいメンバーについてはあまり書きませんでしたが, いずれのメンバーもテクニックと個性はすばらしいです。 パットとライルの影に隠れてあまり目立っておらず,もったいない 使い方…って気がしないでもありませんが(^^;),PMGの バンドの質を実に向上させているのは,間違いありません。
今回,そういうバンドメンバーの直接の演奏が十分に 前面に出ている,このアルバム,もちろんライブでも より生々しいサウンドを聴かせてくれるでしょう。 9月の来日楽しみです。そして,このCDも何度聴いても 飽きないような奥の深さを感じさせてくれます。
総合評価(一言でいうと)
バンドとして,全体的に質の向上がみられるアルバム。 間違いなく現在最高のジャズバンド
購入日
02/02/28

'02 Mar. 10th


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