Title
Offramp(邦題:愛のカフェオーレ)
Artist
Pat Metheny Group
Label
ECM

Songs
  1. Barcarole
  2. Are You Going With Me?
  3. Au Lait
  4. Eighteen
  5. Offramp
  6. James
  7. The Bat Part II
Members

内容と感想
名盤である。しかも今となってはだいぶ古い。確か1981年頃の 作品であるから,もう20年近く前だ。ということはメセニーも 20年以上第一線にいるわけだ。感慨深い(^^;)。 さてこのような名盤であるが,なにを今更という感じで,レビューを 書くことにした。決してホームページのネタがないからでは… ないことにしておく(笑)。しかし急にこのアルバムを取り上げたのは 理由がある。先日とある某セッションで,このアルバムに入っている Jamesを取り上げたからだ。そして,最近私はリラクゼーションに ついて調べていたのであるが,実はこのアルバムは私にとっては かなりのリラクゼーションを持つ。この辺の話は後で詳しく書くとする。 そういうわけで,この機会を逃すと,また書く機会がなさそうなので, 書くことにした。

まずこのアルバムの位置づけである。今となっては数多くでている パット・メセニーのアルバムのうち9枚あるグループ(PMG)名義(ライブ・ サントラを除く)の3枚目のアルバムである。今となってはかなり初期だ。

ポール・ブレイとのセッションゲイリー・バートン・グループで レコードデビューしたメセニーは1975年に自己名義のアルバム Bright Size Lifeを出す。そしてグループ結成につながるWater Colorsを 出した後,1978年に(アルバムタイトル)Pat Metheny Group出し グループデビュー。翌年出したAmerican Garageは大ヒットとなる。 平行してメセニー自身のソロ(New Chautauqa, 80/81),Lyle とのコラボレーションAs Falls Wichita, So Falls Wichita Falls を出し,このアルバムへつながる。

更にこのアルバムの後PMGはツアーのライブアルバムを出し, サウンドを大きく変えたFirst Circleを出す。一方メセニー 本人はRejoicingやSong Xというジャズというかフリージャズを 大きく取り入れたアルバムをつくっている。

American Garageと本作との間でベースが交代,本作の後の ライブアルバムの後にドラムの交代とメンバーの交代が続き, メンバー的にも過渡期と言われる本作であるが,私はこのアルバムは メセニー自身が「これ以降やりたい音楽をすべてPMGでやるのを やめた」その過渡期だと解釈している。逆をいうと本作は 「もっともいろんなことを一枚のアルバムでやろうしている」 特殊なアルバムと言える。

Wichta Fallsでやろうとしてたパーカッションシンセでの 不思議なサウンドのBarcarole。ギターシンセが楽曲において すばらしい表現力を持つことを証明した名曲Are You Going With Me?。 内省的で暗いサウンドだが曲自体が呼吸をする生き物のような Au Lait。American Garageから引き継がれたポップなEighteen。 フリージャズ的手法のOfframp。 今となってはスムースジャズの様な(笑)美しくポップなJames。 絵画的なサウンドでボイスをうまく利用したThe Bat Part II。 実にいろんな事をやっているのである。半分くらいはWichta Falls的 サウンド(ナナのカラー)を出しているが,それ以外はバラバラの カラーである。

当時のインタビューでメイズはOfframpの様な曲に対して,あまり いい印象を持ってなかったのを読んだ気がする。それ以降,メセニーは ソロでフリージャズを続けることから,メセニーはこのアルバムを 最後にメイズと意見が合わない部分はソロでやる方針になったのではないか?, というのが私の解釈である。 そして,そのポップな部分にブラジリアンテイスト,ボイスの起用等を 加え大胆に作り上げたのがその後のしばらくのPMGの主流となるサウンドを 作り出したFirst Circleである。 そういう意味で,このアルバムは非常に意味がある。一番 混沌としていた時代のPMGのアルバムである。そして,それ以降 再度メセニーとメイズがPMGで実験的サウンドを作り出すには, 1997年のImaginary Dayまで時間がかかることになる。

上記が私が解釈するこのアルバムの位置づけである。 一番混沌としている時代のPMGのアルバムだから大好きなのであるが, 個人的には他の意味もある。

実は本作は私が最初に聴いたメセニーのアルバムなのである。 そして,ジャズというと抵抗ある人がいると思うが,少なくとも 私の中ではまともにはじめて聴いたジャズギターのアルバムなのである。 特に最初聴いた時Are You Going With Me?のギターシンセの 衝撃,Jamesのアドリブでここまで美しいソロが弾けるのか?という 衝撃,これらが私をそれ以降ジャズへの道,いやむしろECMへの道 といってもいいかも知れない,それに導かれる原因となったのである。

余談であるが,私は本作を聴いたのが高校三年の時,その後 予備校に一年通ったが,毎日Are You Going With Me?とJamesを 聴いて気分を落ち着かせるということをやっていた。 したがって,少なくともこの二曲は私にとって,物凄い ヒーリング効果をいまだに産み出す(^^;)。 はっきり言ってお世話になった一枚なのである。 おそらく私がこのアルバムを飽きることはないと思う, 音楽を聴いている限り。 そういうアルバムである。

総合評価(一言でいうと)
個人的思い入れがありすぎて表現できない。 一番好きなアルバムといっても過言ではありません。
購入日
不明

00 May. 15th


(C) 2000 TARO. All right reserved