希有なバンドです。印象に残るメロディと,強烈に細かく 粒子化されたリズムとグルーブ,そして時にはアクゥースティック,時には エレクトリック,メカニカルのようで,どこか自然のカオリがし, そして感じる人を包み込むような優しさと,聴いてる人を 持っていくような攻撃性。これらをすべて持っているバンドです。
一昨年あたりに結成され,少しずつライブ活動をし,驚異的な スピードで成長したNervioのファーストアルバムがようやく でました。最初のライブですでに上に挙げているような, バンドの個性は確立され,ライブの度にさらに曲を発展させ, そのある意味絶頂期にうまくCDに収められてると思います。
あっ,もちろん,ここから下るって意味ではありません(^^;)。 いや,なんどライブ見ても今が絶頂と思うような前進ぶりですし。
しかし凄いバンドであるとともに不思議なバンドです。 とにかくリズムは強烈なのですが,テクニカルな面とアンビエントな ものが同時に感じられる演奏です。そして印象に残るメロディ, 様々に変化するサウンド,どの曲を取り上げても個性的で, すばらしいものばかりです。
話が少しそれますが,わたしは最近テクノとかレイブとかに 多少興味を持ってます。これらの不思議なところは,エレクトロニックスを 多用した,ある意味無機質になりがちなものを集めて,妙に 自然主義なものを作り上げているところです。Nervioにも そういうものを感じますし,それに加え演奏がすばらしく テクノと大きく違った迫力を感じます。
癒しと攻撃性と先進性これらをすべて持った非常にすばらしいバンドの デビューと言えるでしょう。
以下,このアルバムだけの話じゃないので,ちょっと不適切かも 知れませんが,せっかくの機会なので書いておきます。このアルバムと reflectorと新澤氏が(双頭も含めて) リーダアルバムが今年は二枚すでに出てます。これらを聴いて思うのは, やはり新澤氏の作曲能力のすばらしさでしょう。とか書くと,演奏面とかは たいしたことないのか?…とか突っ込まれそうなので,最初に言っておくと, そんなことはないです。ただ演奏に関しては「うまいだけの人」って いうのも結構いるので,それはそれで置いておいて,新澤氏の 作曲能力ははっきり言って日本でかなり上のレベルだと言うことです。
ことし出た二枚のアルバム,いずれも新澤氏の曲が多く入ってますが, 少ない音で非常に印象的なメロディをもつ曲が多いように思います。 音数が少なく,なおかつマンネリじゃなく,しかも妙に印象に残る メロディというのは作るのが大変というか,はっきり言って,センスが ないとどんなに技術があっても作れないでしょう。 作曲能力の高いジャズミュージシャンというと,パットメセニーや ジョーザビヌル,そして若いころの(と書かなければいけないのが 悲しいT_T)キースジャレット等が思い浮かびますが,なんか それらのミュージシャンと近いセンスを感じてしまいました。 ちょっと誉め過ぎか?(^^;)。
そういうわけで,新澤氏はこれからもすばらしい曲をたくさんつくって 行くんだろなぁ…,今回のアルバムはPa ra bo laとか実に 絶妙なメロディですが,こういう名曲は,まだまだ新澤氏の中から 生まれてくるのだと思います。