Title
bump
Artist
John Scorfield
Label
Verve

Songs
  1. Three Sisters
  2. Chichon
  3. Beep Beep
  4. Kelpers
  5. Groan Man
  6. Fez
  7. Blackout
  8. Kilgeffen
  9. We Are Not Alone
  10. Swinganova
  11. Drop and Roll
  12. Kilgeffen (reprise)
  13. Simply Put (bonus track)

Members

内容と感想

ジョンスコである。前作のA Go Goは実は結構売れたらしい。 ではあるが,私は聴いていない。そういえばジョンスコの リーダ作を聴くのは結構久しぶりのような気がする。 ただ最近でいうとマイク・スターンのPlayでジョンスコの プレイは聴いていた。

さて最初にさらっと,CDを聴いた感想は,「やっぱり エレクトリックギターってロックンロールをやるのが 一番かっこいいなぁ」っということである。全般的に リズムはジャズというよりロック(8beat系)である。 ただし,最近のロックというより,初期のロックぽい 感じがする。だいたいジャズメンが,ロックをたたくと こんな感じになる。そこにジョンスコの軽く歪んだギターが リフっぽく入ってくる。実にカッコイイのである。 エレキギターはバップフレーズ等を弾くより,こっちの方が かっこいいのかも知れない。

ということで,さらっと聴くとエレキギターの初期的な 感じと思いきや,良く聴くと,かなりいろいろトライしている 事がわかる。音色に関しては,かなり深めにコーラスというか フランジャーをかけている。エレキとアクゥスティックギターも 効果的に使い分けている。演奏も単音でバリバリ弾くというより, 和音をメインに使い,効果的な不思議なサウンドを作り出している。 CDと言うこともあるのだろが,淡々とソロを弾くより,テーマ 部分でかなりおもしろいことをやろうとしている。

エフェクタを深くかけ,軽く歪ませて,不協和音等を効果的に 使い演奏をする…,そうビル・フリゼルとかなり方向性が似てきている。 8曲目のKilgeffenなど,まるでビルフリの演奏のようだ。そして この曲は最後にもう一度現われる。何か意味深である。 ビルフリとの類似点はスターンのアルバムでも感じた。 もっともビルフリ自身は最近はカントリー色が強いので, むしろ現在のジョンスコの方が,かってのビルフリ的な 空間的演奏をするように感じる。

しかもバックはジャズというよりロック的である。 ライナーを見て知ったのであるが,今回のバックは ジョンスコがニューヨークのアンダーグランドの 若い演奏家を起用しているらしい。では,ロック ミュージシャンか?というと,そうでもなくジャズ系で あるらしい。彼らとの演奏がジョンスコに新しい 息吹を与えたとのこと…。とはいえ,実は私は このCDで一番魅力的なのはジョンスコ自身であり, 軽く聴いただけではバックがジョンスコを盛り上げてる って感じはしない。もちろん,実際には彼らとの 接触によってインスピレーションを受けている のかも知れないが。

つまりこのアルバムは若いミュージシャンとの 出会いなのかも知れないが,私はジョンスコ自身が 自分の力で,新しい方向性へ向かっているように感じる。 そしてエレクトリックギタリストとして,もっとも 美味しいジョンスコらしいサウンドになっている。 ソロをぐいぐい弾き倒すような演奏はほとんどないが, おそらくライブではそういう側面を聴かせてくれそうだ。 最後の締めの前の曲(Drop and Roll)は多少そういう 感じがする。

おしむらくはボーナストラックである。いい曲では あるのだが,Drop and Roll, Kilgeffenとうまくつなげて 終わってる演奏を,もう一度中途半端に盛り上げてしまう。 続けて聴くなら,オリジナル通り,ここで一回止めるのが いいと思う。

総合評価(一言でいうと)
エレクトリックギターの原点に戻り,新しい音楽を 模索する作品
購入日
00/03/01

00 May 18th


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