ジェフ・ベックの新譜…っていうか発売しているのを 知人のページから知るというテイタラクぶりです(^^;)…。 なんか情報デバイド…されてる気が…。
というわけで,いつ出たのかは知りませんが,とにかく 一昨年,更にその前…ときっちりほぼ一年でアルバムを 出すようになってる気がします。どうしたんでしょう?…。その前とか 10年くらい出してなかったのに…。…ってことはまた来日するんでしょうか?。
基本的にはここ前の2枚の方向性と同じです。打ち込み,編集を 多用してギター以外の生演奏は少なめ,歌とかラップも時々, テクノというか,まぁテクノか…そういう感じのリズム。 輸入版を買ったので詳しい情報は良くわかりません。Dean Garciaと いう人がたくさんプロデュースしてますが,CURVEの 人のことですかね?…。あとApollo 440との共同作業もあるようです。 この辺,詳しくないのでこれ以上書きません…。
さて,アルバムを聴いて強く思ったことが二つあるので,今回は それだけ書きます。一つはギターの演奏のこと,一つは曲というか 方向性のこと。
ベックのギターのテクニックについては今更書いてもしょうがないし, 書ききれませんが,とにかく音色とかのコントロールの多彩さが すばらしいです。もう結構な年齢でしょうが,おそらくまだこのレベルで 弾ける人は若手にもいないでしょう。とにかく右手の使い方を始め, 彼独自の奏法で非常にコントロールされたいろんな音を出します。 フレーズ関しては基本的にはペンタトニックです。ベック節ぽい 独特の節回しもありますが,そんなに変なスケールとかを使ってる わけではありません。彼の場合はその音色とかリズムとかで ソロに変化を加えている気がします。
先日別の文で 「コードというのはたぶん単なる『音色』」という事を書きましたが, まさにこれだけ音色のコントロールが出来れば,スケールやコードで 変なことをしなくてもいいというお手本の様な演奏だ…と思いました。 昔わたしはジャズとかを勉強しているときに「ギターはメカニカルな フレーズが多い。サックスとかラッパはロングトーンとかハイノートで 演奏が盛り上がるからいいよなぁ」とか思ったことがあるんですが, まさにギターもこれだけの表現力があれば,スケールなんて一つで 十分なのだと…,そう思う演奏でした。
難しいスケールを使いこなしたり速弾きをすることだけが 楽器のテクニックを磨くことではありません。むしろ自分の楽器の 音色をいかにコントロールできるか?…ということなのだと,あらためて 感じました。
もう一つここ三作でテクノ化が進んでいることについて,古いファンは いろいろ引いてしまっている様な声も聞えますが…,個人的には ベックの姿勢を強く評価したいです。もっともベックがアルバムで 使っているサウンドはわたしの好きなテクノのサウンドとは微妙に 違う(わたしはもっと軽い音のが好き)ので,サウンド的に好きだ…という のとはちょっと違います。
わたしはテクノが好きですが,この様な打ち込みのサウンドで エレキギターをかっこ良く使う…という手法は一般的には実はあまり 成功してない気がします。特にジャズ近いテクノではキーボードや サックスやトランペットが良く使われる様です。 正直に言うと,わたしはどういう風にギターをこういう サウンドに採り入れていくか?…という意味では,良くわかりません。
しかしベックはここ三作でそれを示している,もしくは模索している 様にわたしは感じます。この点を高く評価したいのです。
考えてみてください。ベックと同じくらいキャリアのある 他のギタリストが今なにをしているか?…。アクゥースティックを やったり,歌ものをやったり,以前のスタイルを続けたり, 通常はそうじゃないですか。しかしベックは昔のファンのことを 考えたりせず,今のサウンドを追求している,そういう 年寄りに私もなりたいと思うのです:-)。
今回のアルバムというよりは,ここ三作の感想なんですけど, やはり今回のアルバムを聴いて強くそう思うのでした。