- 安達哲(03/03/22)
- 「ホワイトアルバム」で少年マガジンにデビューした安達哲は,続けて同誌上に 「キラキラ」を連載,その後青年氏であるヤングマガジンへ移り「さくらの唄」 「お天気おねーさん」「幸せのひこうき雲」という流れで作品を発表した。 この流れは大きなベクトルを持っているように思う。 安達作品から感じられるのは 少年の不安定な自我,そしてその中にも大きく含まれる異性,そして肉体への 不安定な想いである。異性への不安定な想いは時に淡い恋心であったり, 時に肉欲への妄想だったりする。そしてそれは社会に対する 不安であったりもする。 なぜなら少年時代においては純粋な恋愛でさえ背徳感を感じるものだからだ。
作品が進むにつれて安達作品は恋の不安定感から,より妄想への不安定感に 作品の主眼がすすんだ気がする。それがベクトルでもある。従って女子アナが 主役のお天気おねーさんは学生の不安定感が希薄で, 私の愛読書からははずれている。 そのほかの4作品が私の愛読書だがやはり「キラキラ」と「さくらの唄」は, その学生時代の恋愛と学校という社会と妄想という不安定感のバランスが 絶妙で,非常に好きな作品である。
私が学生時代に同じ様な経験をしたわけではないのに,なぜかこの作品には 引き込まれるのである。そして安達作品は連載が進むにつれ暴走しまくるが なぜか最後に行くところまでいって,そしてストンとあたかも「それも 一つのページだった」かのように優しく終演する。そこがまた好きなところかも 知れない。
学生時代はいろいろある。つらい想いや淡い想いをたくさんして, みんな必死に生きている。取り返しがつかない想いをたくさんするものである。 しかし,後年大人になって想うのは,やはりあれは 輝いていた時代だったのだと, そういう事を安達作品からは感じる。だから好きなのだろう。
ちなみに現在の安達氏は馬鹿姉弟というなんかシュールな漫画を 書いている。それはそれでまた良し。
- 二宮ひかる(03/03/30)
- 女流漫画家。青年誌に連載をしているせいかかなり エロティックな描写も多い。
わたしは女性漫画家が描く青年男性向け作品というのがすごく好きなのだが, その大きなきっかけになった人である。
単行本として発売されている作品は全部持っている。15冊程度だが。 作品は全部好きだが,やはり長編である「ナイーブ」と「ハネムーン サラダ」をお勧めしておく。
彼女の漫画を読んだとき, 男性漫画家が描いていた女性はなんって男が都合がいいように, 勝手に作り上げた薄っぺらな偶像だったんだ,と気づきショックを 受けた。まぁその反面二宮女史が描く男性は薄っぺらい気がするが:-p。 まぁ,彼女が描く女性像が本当に女性に共感を持つほど,リアルなのかは わからないが,少なくとも男性の私から見たときはそう感じた。 基本的に男女の恋愛や絡みを描き,セックスのシーンも多いのだが, それについてはいやらしさよりもなんとなくリアリティを感じる。
読んだあとに必ずしっとりとした読後感が残る。不思議な作家である。 彼女の作品については,いずれ個々に取りあげたいと思う。