映画「17歳のカルテ」を観て

実はわたしはアメリカの映画女優「ウィノナ・ライダー」が好きで, 彼女が出ている映画はほとんどみてます。 …といっても大半はビデオですが。そういうわけで,一昨年放映された 「17歳のカルテ」もようやくビデオで借りてみました。 ちなみに原題は「Girl, Interrupted」。17歳もカルテも関係ありません:-p。

舞台は1960年代(後半?),精神病棟に収容されている女性の話です。 男女は別ですが,「かっこうの巣の上で」と同じ設定です。 したがって,この映画をみるとどうしても「かっこうの巣の上で」を 思い出します。

ウィノナが演じる主人公の少女(17歳)が自殺未遂をした事により 人格障害と診断され,精神病棟に収容されます。そしてそこには たくさんの心の病にかかった少女たちがいて,その少女たちと いろんな時を過ごしていき,最後にウィノナが退院するところで この映画は終わります。

ウィノナが演じる役は,気が荒らかったり臆病だったりしますが, ちょっと見には病気には見えません。しかし病棟では病人として 扱われ,薬を無理やり飲まされたり,夜中に見回りが来たりします。 同じく入院してる娘たちも,多少神経質だったり,暴れたりしてますが, そんなに異常には見えません。ですから,この映画は精神病の人たちの ドラマというよりは,むしろ単なる青春ドラマのように映ります。 神経質だったり,対人恐怖症だったり,自分の感情が制御できず 暴れたり,落ち込んだり,自殺願望があったりということは多くの人が思春期に 体験することで,それを無理やり社会から隔離して,病人のように 扱っていたという1960年代のアメリカを皮肉っているようにも 見えます。

ただこの映画は比較的軽く描かれていますが,「かっこうの巣の上で」の 様に,その裏で電気ショック(これは多少やってるって感じに描かれて ました)やロボトミー手術が行われているかもしれない,と 思うと結構重く感じます。もっとも本当に多くの精神病院で そんなことが行われていたかは,今のわたしにはわかりません。 「かっこうの巣の上で」が単にドラマチックにそうかかれてるだけかも しれませんし。

この映画はウィノナが原作を読み,自ら希望して映画化したとの ことでした。ウィノナは幼少のころヒッピーのコミューンで育って ますから,当時若者が考えていたことを,親から聴くように 育ってきてるように思います。そういう意味で言うと,この映画は 彼女が「当時はひどい時代だった」と言いたかったのか,それとも 「ひどい事をやっていたが,実際に行われていたのはこんなもんだった」 と言いたかったのか,今一つ良くわかりません(^^;)。

ただ今だと「普通の若者の反抗期」で収まるものが,精神異常と して隔離され,本人が自分がやってきたことを冷静に(大人流に) 述べられるまで,社会に復帰出来なかったという事を考えると, 実に今の若者は,いい時代に育っているのでしょう:-p。

「かっこうの巣の上で」を見たときも,アメリカという国は 合理的であることを過信して,かっては感情的な不安定さを 論理的に解決したり,脳を切り刻む事で解決できるという (今考えると)恐ろしいことをやっていた国です。

今考えると,病気でも何でもなく普通のことだった,それを 隔離治療したのはおかしい…,と思うのであれば,現在 我々がやっていることも,何十年後に思い返したら, あまりにも非人道的で不可解な事である可能性があります。 そういうことを,我々は知らない間にやってるのではないか?, こういう映画をみるとよくそう思います。 異常か正常か?,病気か健康か?は社会が決めるものなのであり, 普遍的なものではないと,そう思い知らされます。

余談:
この映画,助演のアンジェリーナ・ジョリーの方が評判いいです。 実際みていて,そっちの方が目立ってるっていうか,生き生きしてます(^^;)。
でもわたしはウィノナファンなので,そういうことはどうでもいいです:-)。 でも彼女もう30くらいじゃないかなぁ…。10代に見えるのは 恐るべしです…っていうか,この人永遠に青春映画を やるしかないのかしら(^^;)…。BOYSとか大人の女性を演じていて, かえっておかしかったからなぁ(^^;)…。


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02 Feb. 25th


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