映画「アイデン&ティティ」を観て

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なんか時期ハズレで申し訳ないのですが,件の映画の感想を…。 実はこれ半年くらい前にケーブルTVで放映したのを録画しておいて, 今頃観たのです。製作当時若干気になっていたので,録画したという, しかも今頃見てるし…。

映画はみうらじゅん原作の漫画があるらしいのですが,わたしは 読んだことありません。ストーリ的にはバンドブーム(平成バンド ブームの頃?)に売れた一発屋のバンドのメンバーの話。主人公で ギターで作曲をしてる主人公はある日ボブディランの幻(?)を 観るようになり,ロックしてない自分をみっともないと 思うようになる。そうしてるうちにブームはさりバンドは 売れなくなり,メンバーともギクシャクしてるうちに, バンドは「懐かしのバンドメロディ」みたいな番組に呼ばれる。 そこで主人公は,ステージ上でロックしてないミュージシャンや 観客に暴言を吐き引き摺り下ろされる…という話。

まぁ観ていて,いろいろ痛いデス(苦笑)。主人公やその仲間たちが 青く,それを観ていて共感するかほほえましく思うのかは良く わかりませんが,確かに青春ってそんなもんだといえばそんな感じ。 一曲のヒット曲以外の曲を演奏すると客に嫌がられたりして, ロックしてないと思ったり,それでもファンの女のことすぐ エッチしてしまったりと…。それでいて,主人公には精神的な 支えになる,かなり出来た彼女がいて…,そして最終的に 彼女のために自分自身を表現しようとすると…とか。

わたしが痛いと思うのはファンの女の子と寝たりするところじゃなくて(苦笑), やっぱり主人公が言ってる「ロック」って言うのが空回り してること。別にロックじゃなくて「ジャズ」や「フォーク」でも いいんだけど,要は「生き方」でしょう。ただ主人公は「ロックしたい」と いうだけで,そのロックが何かが全然わかってない。表現したいものが あってそれが受け入れられなくて苦悩してるのではなく,まずその 表現したいもの自体がわからず,タダ現状に不満をぶつけてるだけ…と。

これを高校生がやってれば別にほほえましいのですが,一応一発だけでも レコードだしてプロ活動してるミュージシャンが言ってるから痛いのです。 やりたい音楽があっても聴いてもらえる様に努力すべき…という 考えをわたしは持ってますが,そもそもこの主人公はそのやりたいこと 自体がわかってない。彼女に「やりたいことをやってるあなたが好き」と 言われてようやく目が醒める始末…ということでした。まぁダメ人間 映画…って意味じゃ,それはそれで楽しめましたが…。

わたしは音楽で食べたことはないので,上に書いたようなことは 現場の苦しさを知らずに勝手に書いている…ってことは自覚してます。 ただ,わたしだって自分自身を表現するために仕事を選び,苦労し, それなりにやってきてます。世界による苦しさと難しさの違いは あるかとは思うけど,わたしには主人公が出発点にすら立ってない 気がしました。

…とか書くのは,まぁわたしも歳取ったってことだろうけど…。 まぁ青春映画としてはおもしろかったですけどね。 で,この映画を取り上げたのは,表現するならうまくやれ…と なんか言いたい自分があったからなんだろうなぁ…と。

以下音楽的な余談…。
主人公が「ロック」というけど,ボブディランだし,最後に 歌った彼の曲はアクゥースティックギターを弾きながら歌う 弾き語りの曲のようでもありました。これは現在の音楽事情からして 違和感はないのですが,70年代とかを知ってる身からすると 「それってフォークじゃん」と突っ込みたくなる。フォークって どうなったんだろう?…などと思いました。「フォーク」って 言葉が若者の生き方を示す言葉として死んだのであれば, 「ロック」っていう言葉もなぁ…と思ったりもします。


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06 Aug. 14th


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