映画「ジョン・コルトレーン チェイシング・トレーン」を観て

ジョン・コルトレーンの伝記的映画。2016年制作らしいが。日本で は新作のようなプロモーションをやってる。日本公開は今回が初め てだったんだろうか?
映画の宣伝の中で 「ジャズ界史上最大のカリスマと称されるサックス奏者ジョン・コルトレーン」 と表現されていた。全く異論はないのだけど,コルトレーンがなく なったのは1967年,私が生まれて間も無くであるので,当然当時の 様子はわかるはずがない。十何年も経って,私がジャズを聴き始め た頃に,コルトレーンが亡くなって「ジャズが死んだ」と言われた とか,そういう話を聞いたことがあるが,それだけ当時は大スター だったんだろうと思っている。
とはいえ,コルトレーンは忘れられた存在ではなく,今でもジャズ ファンにとっては巨人である。ジャズを勉強すればするほどわかる が,現在のジャズ・テナー・サックス奏者でコルトレーンの影響を 受けてない人は少ない。加えてロックとかファンクのサックス奏者 にも影響を受けている人は多い。有名なテナー奏者のソロを聞いて いて,あとでコルトレーンを聞くと,そうだったんだと思うことが 多々ある。
思うに,ジャズのビバップというのは,チャーリー・パーカーがお 手本を作ってしまったため,ビバップをすること自体がパーカーの フレーズを弾くことになってしまう。しかしバップはあくまでもバッ プである。一方コルトレーンはそのあとのモードの曲でのアドリブ の仕方で,様々な試行錯誤をやってしまい,モードの曲でのテナー サックスのもっとも有効なフレーズというとどうしてもコルトレー ンのフレーズになってしまう。加えてモードはファンクやロックと もコードの構造が似ているため,そちらのジャンルにも影響を与え ているのではないか?という気がする。 まぁ,とにかく単音でワンコードの曲でかっこいいフレーズを吹く というお手本みたいな演奏が多いのである。
そういう風に,現在でも大きな影響を残していて,偉大と思うコル トレーンだけど,改めて映画を見ながら数えると,1955年にマイル スのバンドにはいり有名になり始め67年には亡くなってるので,一 線で活躍したのは10年ちょっとである。40歳で亡くなっていて,彼 は結構遅咲きといわれたので,本当に活動期間が短い。
そうなんだけど,結構たくさんのレコードを残していて,CDもたく さん出ている。どれだけ録音していたんだろう?と思う。嬉しいこ とだけど。
短い間に,急成長をしてトップまでいった人だから,ジャズアドリ ブを試行錯誤して発展させていく様子が,おそらく当時のジャズファ ンからしてもかなりスリリングだったんではないだろうか?。レコー ドが出るたんびに,新しい表現になっていたんだろうか?。当時の 人は,それはさぞかし熱狂しただろうなと思った。
以前日記に書いたことがあるが,私はマイルスやジャコ・パストリ アス,ジョー・ザビヌルとか,リアルタイムで,ジャコは無理だっ たけど,他の人は生演奏も見ている。これは素晴らしい経験だった のだけど,一方でコルトレーンとかは伝説としてしか触れていない。 だからどうしても,歴史的なこととしてコルトレーンを見てしまう のだけど,今回映画を見て,少しだけ当時の熱量を感じることがで きたかもしれないと思った。


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Last modified: Feb 20 2022
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