映画「ボヘミアン・ラブソディ」を観て

イギリスのバンド,クィーンについて,特にボーカルのフレディ・ マーキュリーの生涯について描いた映画「ボヘミアン・ラブソディ」 を見た,海外ではわからないが,現状日本では大ヒットを続けてい て,映画館もわりと人が入ってるし,なにより私の知り合いの facebookやTwitterが見に行ったという発言で埋まっている。なん か見に行かないと気持ち悪い,という気分になり(苦笑),妻と見に 行った。平日の朝だったが結構人は入っていた
巷の感想は「感動した」と語っている人が多い。あまりに絶賛され てるので,私の中で評価基準がちょっと上ぶれしてしまったが,で も良い映画で,十分感動した。
まぁでもいろいろ思うところもあったので,少し書いてみる。ケチ をつけるつもりはない。
クィーンと言うと私にとってはもろリアルタイムである。ファンと いうつもりはないけど,初来日した頃,私は小学生だったが,なぜ か名前くらいは知っていた。もしかしたら姉から聞いたのかもしれ ないし,当時NHKでやっていたヤングミュージックショーとかでラ イブを見たのかもしれない。ただはっきりとは認識していない。
クィーンを名前と音楽で一致してある程度知ったのは,高校になり ギターとバンドを始める頃になった頃,仲が良かったギターを弾く 友人が,クィーンを贔屓にしており,彼の家でアルバムを聴いたり, ブライアン・メイの奏法解説本等を見たりした頃だ。私は当時は他 のギタリストを推していたが,クィーンの名前とサウンドは一致し た。その後あたりになり,MTVが盛んになった頃にクィーンのThe Gameというアルバムが全米一位になり,TVとかでも盛んにミュージッ クビデオが流れるようになり,意識しなくてもやたらと見るように なってきた。この頃はクィーンのファンというより洋楽ファンとし てよくクィーンのサウンドに触れていた。それで今回の映画でクラ イマックスとして描かれたLive AIDも私はもろリアルタイムでいく つかも演奏を見たし,クィーンのライブも生中継かどうかは忘れた が見た。
大学に入って,その後社会人になり,バンドや音楽仲間と話してい るとクィーンのファンは多く,特にフレディーのステージはギャグ としてもよく真似をする人が多かった。
だから私にとってはクィーンはよく知ってるし,フレディのステー ジもよく映像で見ていた。
とはいえ,熱狂的なファンではなかったので,クィーンやフレディ のパーソナリティはあまり把握してなかった。でも,フレディがア ングロサクソン人じゃないことは見たらわかるし,出っ歯なことも, 子供の頃から見てわかっていた。ゲイであることも,公表されたの がいつか忘れたが,特に驚かなかった記憶がある。今回映画で描か れた,バンドの外の話は,知らない話も多かったがそんなに驚かな かった。
ところで,この映画を見た後に,ネットを調べていたらずいぶん昔 にイギリスで制作されたのかフレディのドキュメント番組があって, 見たのだけど,今回映画で描かれたような話は紹介されていた。そ ういう意味では今回の映画ではクィーンのファン,もしくはイギリ ス人であればよく知っているような話をストーリとして描いたのか もしれない。
…で,内容の話。
ストーリは無名の若者フレディがブライアンやロジャー達とクィー ンを結成して成功していく様,そしてフレディのセクシャリティの 問題からバンドから孤立し傷つき,そしてまた戻ってきてLive AID のステージに立つというところを描いている。イギリスの若者の成 功と挫折をうまく描いており,ドラマチックで感情移入しやすくなっ ている。バンドのメンバーおよび最初の彼女をフレディの家族とし て,彼らの美しい友情を軸としていて,話として「いい話」になっ てるのだけど,実際のクィーンのメンバーのその後の言動や,クィー ンの実際の歌とかを聞くと,このいい話が作り話ではないと思わせ るようなリアリティも感じられた。実際クィーンの曲のは友情をテー マとした曲がいくつかあり,それらの曲は楽曲的には割とオーソドッ クスで,ちょっと退屈な曲もあるのだけど,ベスト盤に入っていた りして,不思議に思ってたのだけど,彼らにとっては大事な曲なの かもしれないと,この映画を見て思った。
クィーンというバンドは,実に多彩な曲をもっているのだけど,彼 らが新しい曲を作りだしていく過程も描いており,それもとても興 味深かった。一切はもっと紆余曲折あったのでは?とも思ったが, 名曲が産まれる過程を描くのは,その曲の意図がわかるところで面 白かった。
さて,おそらくこの作品の一番のポイントはクィーンのメンバーを 描く俳優たちの容姿のそっくりさなんだと思う。演技よりも4人に 似てることでキャスティングされてるのだろうが,実に四人ともよ く似ていた。とはいえ,やっぱり違うなと思うシーンも多く,各メ ンバー本人と見間違うようなシーンはある一方,似てないと思うこ ともあった。まぁそれは仕方ないのだけど,一番思ったのがやっぱ り主役であろうフレディーが,どうしても本物より見劣りして見え てしまう事。実際体格的にもフレディより華奢に見え,どうしても 本人の様な華が無い。しかしそれはフレディ本人が稀代のスターで あり,演じることのプロである俳優がやってもどうしても追いつけ ないところなのだろう。プロの俳優の演技を見ることで,フレディ 本人のカッコよさを改めて感じる事になったのは,少し皮肉に思う。 それと歌以外の普段のしゃべり声が,本人はもう少し高い声でなかっ たか?とも思った。 しかしLive AIDのシーンだけはおそらく何度もビデオを見て練習した のだろう,実に一つ一つの挙動がフレディらしく感じられた。俳優 の頑張ってる様子が良くわかった。
ただし,ブライアン・メイだけは容姿から表情までよく似ていて, どうしても本人が演じててる様に見えて苦笑してしまった。まぁ実 際のブライアンは若い頃はもう少し端正で綺麗なのだけど。
稀代のロックボーカリストで華のあるスター,そして何億円もの売 りあげをした怪物の様なロックバンドであるが,イギリスのどこに でもいそうな若者が,成功して助長して周りに傷つけられ,でも家 族であるバンドのメンバーたちと支えながら生きていく様に描かれ てるのは,私がロックスターにもっているもっと変人で破天荒な人 間像からするとあまりにも身近で素朴な感じで,私のもってるクィー ン像が変わっていく様な感じを感じたが,でも先にあげたドキュメ ンタリーの映像とかを見ていても,実際そういう風にも見え,実際 はこうだったのかなとも思わされた。
クィーンは音楽性にしても,フレディのカリスマ性にしてもとても 素晴らしいのは以前から思っていたが,この映画をきっかけに,彼 らの素晴らしさを知る人が増えることはとても良いことだと思う。
その他,当時のロックシーンのこととか,いろいろ思うところはあっ たけど,それは映画とは直接関係ないので,何か機会があればまた 別途書きたいと思う。
良い映画を見たと思う。


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Last modified: Thu Dec 06 20:10:14 JST 2018
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