わたしはアメリカっていう国なのか人なのか良くわかりませんが, 妙な偏見を持っています。一応自覚してます(^^;)。まぁ偏見を 持ってるって事はどこかコンプレックスがあるのでしょうね。 高校ぐらいから持ちはじめてるんですが…。まぁそれはいいとして,この映画,99年のアカデミー受賞作でしたっけ?, 当時結構話題になった気がします。「アメリカの病んでいる部分を 描いた」とかいうような評論だった気もしますが,いずれにせよ, 放映した後も話題は続いていたので,それなりにいい映画だろう…と いうくらいの気持ちで(つまりわりと期待して)ビデオ借りて観ました。
観た感想としては「へぇー,アメリカ人でもこういう映画撮れるんだ。 こういう映画観るんだ」と,妙に感心しました(←こういうところが 偏見があるんですよ。気を悪くしたらごめんなさい_o_)。 というわけで,つまりはそれなりに期待していたんですが, いいという感想を持ったわけで,良かったんでしょう。なんか 妙な書き方になってますね(^^;)。
内容としては親子とハイスクールの娘の三人家族。はたからみたら 普通の家族だが夫婦はセックスレスで妻は仕事とかに夢中,夫は 仕事でリストラ寸前。そういう 父を馬鹿にして娘もあまり相手にしない。そういううだつの あがらないオヤジがある日,娘の学校に行ったときに娘の 友人の女の子に魅入ってしまう。父親が自分の友人をいやらしい目で 見ているのに娘も気づいている…。
で,そのオヤジがその娘をストーカでもするのか?…と思っていたら, 気にいられるようにジョギングはじめたりして…,そしたら妙に 自信持ったのか,妻にも言いたいことはっきり言ったりとか仕事も 高い退職金もらって辞めたりとか…,急にイキイキしだしたりします。 この辺の描写はちょっとコミカルにも感じました。
そうやって進みますが,最終的には割とシリアスというかダークというか ハッピーというかちょっと受取り方によっていろいろ取れるような 終わり方をします。
というわけで,中年のオヤジにはちょっと複雑な心境を抱かせる映画でした。 でも良く考えるとこういう仮面家族の話は例えば「家族ゲーム」とかでも そうですが,日本では良くあります。まぁアメリカでもドラマとかで あるのかも知れませんが,あんまり日本には入ってこないので, 意外でした。
まぁホームドラマなんで普通の家庭を描いているんでしょうが, 日本人の私からみると,みんなそこそこ外見がかっこ良い様に 見えて,あまり現実感は感じませんでした。もっといかにも 情けない…人達が出た方が良かったんじゃないかなぁ…。
話がそれますが,中盤のオヤジが開き直って,それから人生が変わる 場面を見てるときに,マンガですが「神原則夫の人生劇場」を 思い出しました。これ単行本にまだなってないんだよなぁ…,また読みたい。 この人の中年の悲哀の描き方と,そこからのシュールな脱却の描き方は 絶品です:-)。
で,戻りましょう。以下ネタバレなので反転させます。
一番情けなかったはずのオヤジが,気軽なバイトをやって 若者と楽しく喋って70年代のロックをかけて,ファイヤーバード 乗り回して,マリファナをすって楽しんでいる一方で, 妻は仕事に打ち込んで仕事相手と浮気して…と…,でも家庭では ヒステリックでと,まぁ金と物に取り付かれた人を滑稽に描いていたり します。 最初にオヤジを変えるきっかけになった女の子の方は,モテるのを鼻にかけてるかと 思えば実は口だけで,男性と付き合ったこともないくせに「自分は 特別だ」と思いたがってる。結局みんな自分がどう 周りに見られるかばかり気にしている。結局オヤジが一番楽しそうで, 他の人はビクビクしている…。
また話変わりますが,「ロリータ」の 映画の時も思いましたが,アメリカの映画ってかわいいけど 中身が空っぽの女の子って良く出てきませんか?…。わたしは 本当に綺麗な人は自分の綺麗さを鼻にかけないって思ってますけど…。
最終的にオヤジは殺されるんですが,この辺はアメリカですね。 日本ではこんなに人簡単に殺されませんよ。銃社会っていやだなぁ…。 浮気がばれた妻も旦那に殺意を抱きますが,そんなに簡単に人殺すんですか?。 隣人も自分がホモだとばれて,やっぱり殺意を抱く。 規範からハズレることに…,一つなにか大きな失敗をすることに 物凄い恐れを抱いている社会に思います。日本人だったら殺すより 自殺する気がします。
…というわけで,「アメリカって変な国」って思ってる私が 「なんだ自分でもわかってるのか…」と思った映画でした。 もっとこういう映画撮ればいいのに…。 …って人を不快にしそうなレビューですね(^^;)…