わたしはなぜ出世したかったのか?

会社の話なので,具体的に書かず結構ぼかして書きますが, わたしは去年の秋,会社での肩書きが変わりました。異動したわけではなく 昇格したということです。

昇格の機会は数年前から言われてましたが,すんなりとは昇格せず, 去年になりました。つまり昇格に何度か失敗したことになります。 その中で昇格への意思を問われることもありました。そこでは 昇格したいという明確な意思表示をしましたし,そのために,いろいろと 条件みたいなものを言われることもありました。つまり昇格は 一概にいいことばかりじゃ無いとも言えます。昇格するた めには,こういうことも受け入れないといけないとか,こういう 仕事や能力も求められるとか,そういうのもありますし,仕事の中で それにあわせて成果を積み重ねていくことも必要です。 こういうのに対応していくということは, 逆に自分の昇格への意思を再確認する過程でもあります。 自分はそれでも昇格したいんだ,と思わないとなかなか折れそうになります。
というわけで,そこれで折角自問自答したので, なぜわたしは昇格したかったのか?ということを少し書いてみます。

会社に入った以上,昇格(出世)したいのは当たり前だろう?という人も いるでしょう。一般には出世すると給料が増えますし…。
しかし出世にはリスクがあります。一般論を取り混ぜて 書きますが,仕事に責任が生じます。部下が出来れば面倒を見る必要があり, 部下の失敗も自分の失敗になります。 昇格に伴い仕事の内容が変わる場合もあり,さらに異動などにも 拒否しにくくなります。特に若いころにやっていたような仕事がどんどん 出来なくなっていきます。 「現場に出れない」とか「会議ばっかりになる」とかそういうやつです。 わたしは研究職ですが,実験したり,プログラムを書いたりそういう研究に 手を動かす時間は昇格と共に減り,周囲との調整やプロジェクトの運営とか そういう仕事ばかりなってきます。現場から離れる…ってやつですね。 そういうを良く見てるからかわかりませんが若い人の中には, 自分は出世しなくて,ずっといまのままの 方がいいという人も結構いる様です。本音かどうかはわかりませんが。

それでもわたしはあるときから「自分は出世したいのだ」と 意識する様にしました。10年以上前ですが,入社して何度か 漠然と職位が上がっていたのですが,あるとき,昇格に 漏れました。同期の人が何人か昇格したのに自分は 上がれなかったということです。その時正直がっかりしたのです。 会社の人事でがっかりというと気に入った職場から変えさせられる場合と 昇格できない場合とありますが,前者はがっかりする理由が明確ですが, 昇格できなくてがっかりというものその時「あぁそうなんだ,がっかり するんだ」と思いました。

同期より遅れたことでこれで社長になる目は多分なくなりました(笑), ですが,自分が昇格しないとがっかりするんだということがわかったので, その考えを改めるか,それとも自分は昇格したいんだと意識するか どちらかを選ぶことにしました。よく強がって心の奥ではがっかりしてるのに 「自分は最初から昇格したくない」とかいう人もいますが,わたしは あまりそういうのは趣味ではありません。がっかりするのであれば, 昇格したいのでしょう。
そして出世にはリスクが伴うと書きましたが,そのリスクを考えても それでも出世したいのか?と自問自答すると,出世したくない 明確な理由をうまく述べられないという気がしました。 ですから,自分は出世したいのだと思いました。 以上が出世をしたいのか?とわたしが心の奥との会話で得た結論です。

あともう少し具体的な理由もあります。一つは自分の仕事の視点を 高いところにもっていったほうが楽しく仕事が出来るように,わたしは 感じるのです。自分がやってる目の前の事象だけではなく,それが どういう位置づけにあたるのか?などを意識したほうがやりがいを感じるし, あと,会社のほかのラインでの仕事も見えてそことの係わり合いなども 考えたほうがうまく行くように感じてます。わたし自身が自分が出来ないことは 人と協力してやるとか,人がやってることを自分がわざわざやる必要は無いと 考えるからかもしれませんが,とにかく周囲が良く見えるためには, ある程度職位が高くないと難しいなと以前から感じていたからです。
他にも自分の将来が見えやすいとか,そういうのありますが, まぁその辺は具体的には説明しづらいので,パス。

それから,もう一つ。会社の中で自分のやりたいことをやるためには 周囲を説得する必要があるのですが,そういう意味でいうと今の職位に なってようやく,自分の仕事に自分で責任を負えるようになったように 思います。もちろん責任の負い方はいろいろあって,自分で負えない部分も まだまだあるのですが。いままでは自分でやりたい仕事をしようとすると, だれか上の人に責任を負ってもらわなければいけませんでした。ですから, 下の人間が調整ごとが少ないといっても,その上司だけは説得を しなければ,リソースを喰うことは何も出来ません。これが大変 エネルギーを使います。ですから,自分がやりますと宣言すれば, ある程度のことは出来るという立場になりたいというのは あったのです。もちろん,そのためには他の下の人の 責任も一緒に負わないといけませんが。

まとめると高い視点と自由に動くための権限が欲しかったということに なります。本当にその両方を得たかはこれから今の職位で動いて 行かないと本当はわからないとおもいますが,実際に昇格し 半年以上経ち,その立場が変わったことは実感しております。

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'10 May. 21st


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