先日(4月2日)の日記で,田口ランディ女史が,盗作というか 他の人の文章を,不適切な手順で引用した…という話を 紹介しました。この話は,その後幾つかのサイトをのぞくと, それなりに話題になっていました。
しかし,盛り上がってる掲示板とかをみると,だいたいにおいて女史に 対してきついコメントを書いてる掲示板で,だいたいにおいて 彼女は引用やパクリが多いという内容でした。なかにはなにも 知らずにファンだと言ってる人に対して,そのような(パクリだという) 例をあげている人もいました。
今回の話に限らず,はたまた文学作品に限らず,音楽,映画, それらのもので盗作の話題は良くあがります。それの証拠を 示して糾弾しようとしているWebサイトも沢山見かけます。 しかし,フと,「この人たちは何のためにこんなに熱く 語っているのだろう?」という疑問が浮かびました。
実は私も特に音楽ですが,ある曲を聴いていて他の曲と 似ているという事には良く気づきます。特に最近は 洋楽のみならず,古い邦楽から引用しているような曲もあるので, 古い私はますます気づきやすくなっているようです(^^;)。
音楽の場合,昔はパクリというとひどく恥ずかしい行為の様に 言われてましたが,最近は発表する人自体が,「リスペクト」とか 「オマージュ」とか便利な言葉を使って(笑), 堂々と引用していたりします。まぁ音楽の場合,今流行ってる 音楽は70年代に生まれたロックを基盤とし,それ以降 ほとんど音楽の主流となるような大きな新しいジャンルが 生まれていないため,昔の曲と全く違う曲というのは つくりにくくなっているようにも思います。それに引用があっても, そこに何か新しいものを加え付加価値を増していたら,それは 盗作にはならないわけで(まぁ法的な定義じゃないですが), そういう作り方もあると言えるのでしょう。
それにはじめてその手の作品に出会う人にとっては,それが パクリなのか全く新しいものか…というのはわからないわけです。 そしてそれで満足した人にとってはそれで十分だとも 言えます。
ところが,世の中は盗作に対してかなり厳しいです。もちろん盗作は いけない行為です。しかしある作品が他のある作品の盗作で あるかどうか?,不適切な引用があるかないか?,というのは, その作品たちに関わっているたちの問題であり,その中で争われるべきものです。 一般の受け取り手に対しては,なにか影響があるのでしょうか?。 なぜ,盗作を糾弾する人は,熱心に糾弾するのでしょうか?。
理由はいろいろあるかとは思います。
とかでしょうか?。しかしこれらを考えてみると,作者や制作関係者は ともかく受け手には全く関係のない話の様にも思います。 最後のは,巡り巡って関係するのですが,それがプラスに作用するか マイナスに作用するかは良くわかりません。
- オリジナルのパクリで儲てるのが不正だ
- オリジナルの作品が誤解されたり,売れなかったりする原因になる
- そういう作品が蔓延すると業界全体の作品の品質が落ちる
それよりも,こういうシーンを思い浮かべてしまいます。先ほど上にも 書きましたが,ある人が「○○さんの作品は好きです。すばらしいと思います」と いう,そうしたら別の人が「それは××さんの作品の盗作です」と 指摘する。さて,ここで得をした人は誰なのでしょう?。 最初に書いた人はおそらくショックを受けます。がっかりします。 もしかして「いい勉強になった」と思う人もいるかとは思いますが, みんなそうではないでしょう。指摘した人はどうでしょうか?。指摘して 喜んでいるのでしょうか?。なぜ,でしょうか?,自分が正しいことを 言ったからうれしいのでしょうか?。
実はわたしは,どうもこれらの行為(掲示板とかで良く見かけるのですが)が 不毛に思えてなりません。もちろん盗作はいけない行為で,それを やった人,関係者に指摘したり訴えたりするのは正当だと思います。 しかし,それを信じている別のファンをがっかりさせるのって,どういう 意味があるんでしょうか?。 もちろん,「○○さんの作品が気に入ったのなら,××さんの 作品も気に入ると思うので,どうでしょうか?」と奨めるのなら わかります。その結果「××のパクリなんだ」と思う人もいれば, 「○○さんは××さんに影響を受けているんだ」と思う人もいるでしょう。 実際,パクリなのか影響なのかというのはなかなかわかりにくいところだと 思います。それに,あるスタイルを踏襲し,新しい人が新しい味を 加味し新しい作品をつくったとします。その時,元のスタイルを知っている人は 元のスタイルの類似点につい目が行きがちですが,そういう 先入観がない人は,他のところに目が行ってる事も 多いように思います。 そういう,意味で言うともしかすると,「パクリだ」と騒いでいる人は その新しい要素を見いだす能力がないだけなのかも知れません:-p (実際私はある曲が,他の曲と似てる…と指摘した場合, 同意を得られないことはよくあります^^;)。
こういう風に考えると,ある作品が他の作品とどういう 関係であるか,というのは非常に判断がしにくく,答えが出ない ことです。そして私がここで言いたかったのは,それを第三者 (あくまでも当事者の場合は違います)に指摘するしても, 誰も幸せにならないのではないか?,それなのに なぜそういう風に一生懸命指摘するんだろう?…という 事です。
作品の楽しみ方は,人それぞれで自由なものです。 自分が気持ち良く楽しんでいるときに,無関係の人から, ネガティブな意見を聴いても,誰も幸せにはなりません。 指摘する人は,そういうところを考えてやって欲しいなぁ…と 思ったりします。
注:
今回のこの文は,特に具体的な事象をうけての文章では ありません。ただWebとかを巡回してると,基本的にネガティブな 文章の方が熱心に書かれている事が多い…というのが,結構前から 気になっていたので,書いてみました。別に盗作絡みの事に限りません。 人が気に入ってるのに水を指すようなものが結構あるようにおもいます。 不快感の再配布というのは,あまり世の中を気持ち良くしないと思うのですが…。あと,決して盗作を正当化してるわけではないので,その辺は誤解ないよう。