男の差別

わたしは昔から,「男って損な生き物だよな」と思うことが しばしばあります。いろんな意味で実は「こうあるべき」という 強制があるのですが,それがシステムではなく,ほとんど 文化や習慣として根付いているため,当の男が,それを「強制」や 「抑圧」として意識してない…気がします。 しかし女性がそうであるように男性にも男性であるがゆえに 発生する義務感や障壁みたいのがあります。 そのこと意識してないこと自身も損だと思ってます。

ところで差別なんてきつい言葉を使いましたが, 男が差別してる,差別されている…ってこと言おうとしているのでは ありません(^^;)。しかし,同じことを女性は差別という 言葉で表現しているように思います。それは女性の場合, とりあえず,戦うべきシステムがあるため,何を壊せば, その障壁が下がっていくかが,これまではわかりやすかったから だと思います(もっともシステム面での障壁が崩れていくと 最終的に精神的な障壁が残り,それは実体がどこにあるのか わかりにくかったりするのでしょうが)。

まず…,いつからでしょう?。女性解放運動みたいのがあり, 女性が現在解放されているなんて言うつもりはありませんが, 少なくとも女性が社会からいろんな不具合を受けていて, それを何とかしなければいけない…という考えは明らかに 認識されています。そのすべてをわたしは正当だとは思ってませんが, 問題が認識されていることは間違いなく,そしてそれは重要な ことでしょう。しかし一方で男性が男性ゆえの不具合を 受けているっていうことは,男性自身もあまり意識してません。 男女差別という言葉は大抵にして,女性が損をしていると 言う意味で使われます。したがって男女差別を無くそうという場合, 男性が女性に比べて得している部分を,女性にも与えようと言う 話になります。しかし厳密に言うと差別を無くすのであれば, 男性が女性に比べて損をしている部分も,女性に移すべきで, さらに女性が男性より得している部分も移すべきなんでしょう( 女性が損している部分もですが)。

と書かれても,ピンと来ない人が多いのではないでしょうか?。 「男性が女性より損をしている部分ってどこ?」と 思う人も多いのではないでしょうか?。しかしそもそもの問題として 男性自身が自身の抑圧を意識してないという部分に,意外に 根深いものがあるな…とわたしは感じてます。

女性が女性ゆえに不具合を受けているというのは家庭などの 制度にもありますが,一般的に解決を求められるのは会社や 自治体のようないわゆる社会の中だったりします。しかし それは当たり前で,そもそも社会自身が男性でつくられたものだからです。 そして男性がなぜ社会をつくったかというとそうしないと自分達の 存在価値を主張できないからというのがわたしの考えです。 貨幣経済もそうです。昔,専業主婦は男性(夫)が稼いでくるので, 夫に逆らえないとかいうことがありましたし,現在共働きになっても 男性の方が稼ぎが多いとかいうはなしがありますが,そもそも お金がないと満足に生活できなくしたのも,そうして男性がいないと 女性が暮せないようすることによって男性優位にするための 苦肉の策だった気もします。もし自給自足だったら男性が女性より 優位な理由は体力以外ないのですから…:-p。

そういう意味で言うと,女性が社会進出するのは,本末転倒で その社会システム自身を壊してしまえば,実は女性の地位が向上する という考え方もできます。

わたしが「男性って損だなぁ」と思い出したのは,女性の方が 仕事を気楽に辞めたり,転職してるのを見てからです。 もちろん,男性で気楽に仕事を辞める人もいますが,一般的な 常識でいうと,特に家庭を持ってる男性は自分だけの感情で 仕事を辞めるのはけしからんのではないでしょうか?。 女性が男性と同じように会社で人材育成されないのも,女性の方が 仕事を気軽に辞めるからで,ある意味身軽さの代償な気がします。 …とか書くと,女性だって家庭のため我慢して仕事をしているとか, 男性だって女性に食わせてもらっている人がたくさんいると言われそうですが, あくまでも「○○すべき」という社会からうける義務感の 話です。女性が男性に食べさせてもらっていても,あまり白い目では 見られませんが,男性は見られるという意味で…。

あと最近良く思うのは,女性は男性に比べ自分の子供を簡単に つくれるという事です(^^;)。女性はほぼ確実に自分の子供を 作ることができます。しかし男性は自分の子供を100%の確証で作ろうと 思うと実はかなり大変です。奥さんが産んだ子供ですら,単純に 可能性からいうと自分の子供かどうかわかりません。男性が 他人から「お子さん,お父さんにそっくりですね」と言われたときの 男性の喜びは女性にはちょっと想像できないかもしれません。 それくらい不安があったりするものです(笑)。

最近旦那はいらないが自分の子供だけ欲しいという女性もいるようですが, そもそも動物的に考えると女性は自分の子供(遺伝子)を残すためだけに 男性を選んでいるとも言えます。もし産んだ子供を女性だけで 問題なく育てられるのであれば,男性というのは受精の時だけ しか要らなくなります。

そう考えると,お金がないと暮していけないようにして,男性が お金を有利に稼げるようにしたのは,男性が受精のあと不要にされない ための苦肉の策の様な気がしてきます(苦笑)。 そして,財産や地位や名声などという幻想をせっせと 作り出してあたかも自分に価値があるように装ってるのも, 自分の遺伝子を残せない(という実感が薄い)からかも知れません(笑)。 女性は子供を産むという事だけ十分な価値があるので,そういうものが 不要なのです。

ですから,男性が社会をつくり制度を作りそのなかで男性を有利に したのは,そういう不安から逃れるためかも知れません。 だとすると女性がそこに進出することに男性が不快感を示すのは 無理もないことです。 もっとも最近はDNA鑑定が出来るようになったので,100%の確証を 男性も得られるようになってきて,そうなってくると,この辺の 制度の必要性に変化がでてくるかもしれません

最初この文章を書きはじめたときは,男性が女性に比べて 不具合な部分をたくさん列記しようかと思ってましたが, ちょっと流れ上それは止めました。ただ,女性が男性のやってることを やること以上に,男性が女性のやってることをやろうとした場合の方が 非常識と思われることが多いように思います。 と言っても女性がやってることの多くを男性はやりたいとも 思わないのですが,それはむしろそう思わせないような仕組み があるからの様な気がし,それ自体が抑圧の証拠の 様にも思います。

社会状況が変化して,女性が社会進出したり,生き方の多様化が 進む中で,男性の方がその変化についていけなかったりしてるように 見えるときがあります。それはその問題自身を男性自身が 意識してないことが,まず第一の問題であるように思います。

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02 Sep. 27th

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