1. はじめに
今回は趣向をかえて…,というわけではありません(^^;)。 8月から行きはじめていた世界四大文明展をようやく先週全部見終わったので, 単なる感想を書いてみる気になっただけ。 歴史ネタ関係は実は好き(旅行記 とかを読んでいればわかると思うが)なのだが,特にページを 起すほどドキュメントがないので,一人言に 書くことにしました。まぁ一人言だからいいか(^^;)。
ちなみに四大文明展については 遺跡馬鹿の展覧会特集とかに結構 詳しいレポートがあったりします。 わたしは展示会自体のレポートというよりは,最初にテーマを 決めて見に行った部分があったので,その部分を強調して 書きたいと思います。
2. プリミティブな信仰とは?
今回四大文明展を見に行く動機になったのは,いろいろ 宗教とかを調べていて,「人間は原始状態において 最初に信仰するものはなになのか?,それに傾向はあるのか?」 というのを知りたくなったからです。キリスト教系の 宗教の人は以前「アニミズムは原始的な宗教だ」と 言ってました。果たしてそうなでしょうか?。日本には いまだにアニミズムが残ってるとわたしは考えてます。 では数千年前文明が発生した頃,人々はなにをどういう形で 信仰していたのでしょうか?。
今回みて感じたことは,中国とその他は割と傾向が違うということです。 まぁメソポタミア,エジプトは距離も近いし,インダスも メソポタミアと貿易をしていたらしいから,当然似ているのかも 知れません。もしくは人種の影響もあるのかも知れません。 いずれにせよ発掘物の造形的にも,作ってる対象物についても 中国とそれ以外は傾向が違っていた気がします。
まずメソポタミア,エジプト,インダスですが,初期においては 人物の像が多いです。もちろん食器は多いんですが, 装飾や信仰の対象としてあったと思われる像は人物が多いです。 一方中国は最初から動物が多い。エジプトとかコブラや 鳥などの造形が有名ですが,意外にそれは国家成立から数千年 たってから出てきてます。
最初中国以外の三つをみて「動物は食糧(狩りの対象)だから 信仰対象になり得なかったのでは?」と思ったのだが,なぜか 中国は最初から動物がやたら多い。逆に人間の像は少ない ようです。単に展示品だけの傾向なのかも知れませんが。 中国は人間の像がほとんどないかわりにやたら文字を使ってます。 日本がそうであったように言霊のようなものを信仰していたのかも 知れません。
というわけで,中東の3文明を見た感じでは,プリミティブな 信仰は人の形をした神様,中国を見た感じでは言葉だった ように感じました。残念ながら共通点で縛るのは出来ませんでした。
3. 見るということ
エジプト展をみていて気づいたんですが,石像の様な 三次元の造形物はかなり初期からリアルに作られています。 一方壁画とかの絵は形を正確に捉えるという意味では, かなりディフォルメがきつく不正確です。これは どういうことでしょう?。
おそらく絵を描く方が難しいということでしょう。そういえば 遠近法も近代になって発明されたものですし,意外に目でみてる映像を 二次元に写し取るというのは難しい様です。
ということは逆も考えられます。我々は写真は正しく 世界をとらえたものと思ってますが,実は目でみてる 映像は写真とは全く異なるものなのかもしれません。 確かに写真は実際に目で見たものと微妙に違う感じがします。
絵というのは目を通して入った映像を一旦頭に蓄積し, そして二次元に表現し直したものです。意外に頭の中では 遺跡の壁画にみられるような形で記憶されているのかも知れません。
ちなみに,中国以外の三文明は造形的に似た傾向があり, やはり影響しあってるのか?と思いました。
4. 語られる歴史
エジプト展は以前もみたことがあったので,インダスや メソポタミアの文明について詳しく知りたいと思って楽しみに いったのですが,意外に良くわかりませんでした。 特にインダスは文明が滅んでしまったためほとんど どういう文明だったのかわかってません。どういう国家があり なにを信仰していたのか,など。
逆をいうとエジプトと中国は割と詳細にわかってます。これは 既に過去の人たちがずっとそれ以前の歴史を綴ってきたから です。エジプトも紀元前後の王家がその昔の王家の記述をしている。 中国もずっと史書が残っている。
しかし日本で古事記や日本書紀をみればわかるようにかかれて いるから真実がわかりにくいという部分もあるような気がします。 ある意味都合がいいように書かれている,当時の技術で 分析され書かれている可能性があり,逆に間違ってる可能性もあるな…, と少し思いました。
5. それぞれについて
と全体的には上記の通りですが,最後にそれぞれについて 印象に残ったことを簡単に書きます。エジプト:混んでましたが,エジプト展自体過去に みたことがあり,実はあまり新鮮ではありませんでした。 すごく古い時代から大きな像とかを作っている。像は 最初からかなりリアル,という印象を受けました。
インダス:すごく小物が多いです。土偶等も かなり小さく,大物がないことから本当にここに大きな 国家があったのだろうか?という疑問すらわきました。 でもまだ十分にわかってないということのようです。
メソポタミア:ハムラビ法典がやはりキモでした。 石に彫り込んだものがやたらいい状態で発掘されているのが 印象的です。
中国:青銅器が多かったです。比較的新しいものが 多いような印象がありました。ナルト模様の様な渦巻きの 様なものが昔からあったのがわかって結構面白かったです。
6. 最後に
文明って何をもって文明というのだろう?っていう疑問が 結構わいてきました。というのは,いずれの文明も 文明発症前から既にその地域に人が集まって,石器や 土器を使って数千年も生活をやってきているからです。 国家が出来たときなんでしょうが,何をもって 国家とするのか?,実際のところは良くわかりませんでした。 ただ,そういう初期の段階では技術はほとんど変わらないのか, 数千年違う年代のものがほとんど同じものだったりして, ずっと変化しない時が流れていたのだなぁー…と感じました。
そうやってゆっくりとした時間の流れから,現在は毎日が 技術革新のような時代になってます。でも人はたぶんずっと 変わっていない。どっちがしっくり来るんだろうか?。実は 現代って相当人間に無理させてないか?と感じたりもしました。