最近読んだ本から…メモなどを。
書籍編
- 考える生き方(finalvent著)(13/3/9)
- 極東ブログなどで有名なfinalventの初めての本を買って読みました。 内容は自分語りと言っていますが,大学時代あたりから,社会 に出て,結婚して沖縄に住んで子育てして戻ってきた人生,病 気の話,そして考えてきたこと…を書いてます。
読んでいて思ったのは,当たり前のことを書いてるな…という こと。当たり前っていうのはたぶん自分が思ってることとあま り変わらないから。いや,たぶん逆です。わたしは極東ブログ で紹介された本をいくらか読んできたし,彼の文章も読んでい るので,たぶん影響を受けてるのでしょう。そういう意味でい うと,ブログを読んでいればそれほど目新しいことは書いてな いのかもしれません。あっ,家族の話は初耳でした。
影響も受けてるだろうけど,私も子供がいたりガンを切ったり してるので,体験としても分かるところがたくさんあります。 でも自分はあまり強い挫折感を味わってません。味わってない けど,40ちょっと前あたりから,結局人がなすことのもっとも 根本は「遺伝子」を残すことなんだろうと思うようになりまし た。だから結婚して子供を作ろうと思いました。その矢先に, ガンになり 死ぬかと思いました。というか今でも思ってる。その後幸い今 の妻と結婚して子供をもうけたけど,まだ乳飲み子であり,自 分の体のことを考えると,まだ逃げ切った感がありません。 finalvent氏が難病で絶望的な気分なのは,(多少)分かるのですが, 一番下の子がもう10代で,上の子はそろそろ成人なのではない ですか?。わたしは,もう逃げ切れるのでは?…とちょっとうら やましいです。
finalvent氏はこの本の中で自分は失敗した人生だったと書い てます。でもそうでしょうか?。わたしは上に書いたように人 が成すことは子を残すことと思ってますが,もうひとつ私にとっ て人生の成功は「自分の話を聞いてもらえる」事です。私が例 えば有名になったスポーツ選手や,芸術家,政治家,学者を成 功していると思えるのは,その業績ではなく,結果的にその人 の話を聞く人がたくさんいるという点です。人が社会的に成功 しようとするのは,作品や財産を残すためじゃなくて,自分を 観てもらえる,話を聞いてもらえるためではないか?とすら思 います。わたしは,仕事をしていますが,この仕事の最終的な 目標は自分の雑談を多くの人に聞いてもらえるような立場にな ることです。
そういう意味でいうと,研究で挫折しようが社会的に認められ る業績が無かろうが,最終的にこういうきわめてプライベート な事を本にして書いて,多くの人に読まれているfinalvent氏 は途中の経路は違うのでしょうが,しっかり(私の思う)ゴール にたどり着いているように思います。これ人としての成功です よ。
finalvent氏はブログでここまでたどり着いたように,世間か らは見えるんじゃないか?という気はしますが,職業がライター と知り,そういう意味では一般のブログ書きとは違うんだな, と思いました。やっぱり日々,商売として文章を書くというこ とを何十年も続けているというのは,やっぱりブログであれ書 く文が違うものなんだな…と。
この本を買うにあたり,ちょっと悩んだのだけど,結局自分は finalvent氏のファンなんだと思います。ファンだから買った。 そして,ネット上に多くの同書のレビューを見ると世の中には finalvent氏のファンが多いことがよく分かりました。これで 「からっぽ」とか書かれるとハードル高いよ…と思います。
- お前の1960年代を,死ぬ前にしゃべっとけ! (加納明弘,加納健太著)(13/3/6)
- 前書きに紹介されているようにこの本はバリバリの団塊の 世代で全共闘の中心的人物として何度も逮捕された加納明弘氏 が肺がんであることが発覚した時点で息子である健太氏が,当 時についてインタビューをするという本です。ちなみに父親は 文筆業の人,息子はファンド会社の人ってことで,どっちの人 の関連で書籍化されたのかはよく分かりません。有名な人なの?。
関係ないですが,電子ブック(kinoppy)で読みました。
父親は私より20歳くらい上,息子は私より10歳くらい下のよう です。10歳下だともう60年代の学生運動の話はまったく聞こえ てないのでしょうか?。学生運動が盛んだったのは私がまさに 生まれた頃の話だと思うのですが,不思議なことに,小さい頃 からその話は聞こえてました。私が中学くらい…というと,も う学生運動からは10年くらい後でしょうが,その頃から聞き始 めたフォークソングとかを逆順に辿っていくと,どうも学生運 動にぶち当たる…そんな感覚がずっとありました。反抗期に入 りかけたわたしは,大人への反抗の形の手本として,そういう ものに憧れを持っていたかもしれません。
私の世代はやがて新人類と呼ばれる人たちの直前で「ノンポリ」 とか言われたこともあったけど,要は政治的無関心の最初の方 の世代です。でも,まだどこか大人に反抗することに対する憧 れがあって,高校に入って学生で集まってがやがややるのが楽 しかったけど,何も戦う相手が見つからないというもやもやし たものがありました。大学に入り社会に出て,そういうものが なくなりましたが,実際学生運動を戦ってきた人はどういう人 で何を考えていたのだろう?…というのは,興味の片隅にあり ました。というわけで,今回この本を読みました。
対談形式ですが,父親がライターだからか,話が明晰で情報量 も多く結構読みやすかったです。やはり学生運動の時代の話は 実体験だけあって迫力があります。当時の日本の社会がベトナ ム戦争への日本の関与をどのように捉えていたかとか,太平洋 戦争に対する罪の意識をどういう風に持っていたか…というの は,なかなか本などでは書かれてない話で面白かったです。あ と学生運動の組織とかの話も,今となってはどうでもいい話な んでしょうけど,面白かったです。昔から全共闘とかセクトと か,言葉だけ知っていて意味は分からなかったので。
父親の明治からの世界の力関係に関する歴史認識は,さすがに 筋は通ってるのですが,でも世間一般の認識とず れがあるのは興味深いと思いました。さすがに東大生で学生運動 をやっていたわけですから,頭はいいわけです。でもこの人最 終的にアメリカのシステムが優れていると言ってるんですよ。 その理由がきちんと「間違っていた」といえるからと。あぁ確 かに日本のみならず,どの国も間違いを認めるってことをなか なかできません。でもアメリカはわりとよくやる…。それは強 みかも知れないなぁとは思います。
さて,この本の元となるインタビューがなされて5年経ちます が,どうやらこの父親の人,ご存命のようです。それはとても よいことだと思いました。しかし父親の先が短いと思っても, なかなか親子で親の昔話とか聞けないものです。私も自分の親 に戦時中の話とか聞いてみたいと思ったりもしますが,もう無 理だろうなぁ…とか思います。そういう意味では学生運動の話 も面白かったのですが,こういう本が出せること自体,よい事 のように思いました。
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