最近読んだ本から…メモなどを。
書籍編
- 僕らが作ったギターの名器(椎野秀聰著)(11/2/14)
- 著者は本を読むまで誰か存じてなかったのですが,ギターショップESPや, 楽器メーカVestaxを作った人。そういえば椎野楽器設計事務所って いうのはどこかで名前を聞いたことがあります。著者は楽器職人や 技術者というよりはプロデューサや経営者的な人で,楽器メーカから 依頼を受けて,どういう楽器がいいか?というのを考えたりする人 だったようです。グレコのプロデュースをしたり,H.S.アンダーソン というブランドでギターを出したり,実に色々やってます。
この方は知らなかったのですが,活躍した70年代以降というのは, わたし自身がエレキギターを始めた時期と多いに被っています。 わたしはその当時楽器のカタログを眺めてはいろいろ想いを巡らせていた 学生でしたから,その裏側で楽器を作っている人達の事情…が この本でわかり,いろいろと納得したり,驚いたりと実に興味深く 読めました。
日本にはテレキャス,ストラト,レスポールのコピーモデルが山のように ありましたが,オリジナルを越えるのを目指してつくられていた メーカも結構あったようで,実際にそういうのは中古で今でも 評価が高いようです。わたしは当時オリジナルのモデルこそが 至高と思っていたのである意味驚きでした。
また,楽器職人は腕ではあるけど,必ずしもミュージシャンから 求められるものをわかってるわけでもなく,それで著者のような人が 必要であることとか,西洋の楽器メーカが強いのは,職人の腕も あるが,材料の流通を押えているからだとか,いろいろと興味 深い話がたくさんありました。
最近私は欲しい楽器がなくて寂しい思いをしてるのですが,著者も 昔に比べて楽器は安価になって品質の高いものが少ない…と書いてます。 やっぱりそうなんだなぁ…と思いました。わたしは昔から エレキギターはアメリカを本場だと思っていたので,日本のはどうしても 二流に感じてました。今や安価なギターは他の国でつくられていて, それでどこの楽器がいいものなのかが良くわからなかったのですが, 日本にもこれだけこだわりをもって,海外のミュージシャンから 認められたギターが結構あった…ということを知ると, もう一度製品を見つめ直さねば…と思います。
海外が発祥の製品を,日本人が真似て,もっといいものを作って… という流れは,ギターに限らず日本が戦後たどってきた道です。 またギターは音楽の道具ですから文化的なものにも関係します。 そういう意味では,他の産業にもいろいろ参考になるのではないでしょうか?
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