読書メモ(2009年4月〜6月)

最近読んだ本から…メモなどを。

書籍編

ビッグコミック創刊物語〜ナマズの意地(滝田誠一郎著)(09/05/16)
タイトルどおりマンガ雑誌「ビッグコミック」の創刊のいきさつを 調べて書いた本。
わたしはマンガ雑誌を結構買って読んでるんですが,その中で一番 好きな雑誌はビッグコミックオリジナルです。ビッグコミック(無印)はその 兄貴雑誌で,ビッグコミックファミリーの第一号,1968年に創刊されたとの こと。
当時マンガは子供向けか後は大人向けのエログロナンセンスマンガという 認識で,青年が読めるストーリのしっかりしたマンガという分野は 完全に新しく,出版に関しては当たるという見込みは当事者以外は ほとんどなかったのでしょう。そこを創刊した編集長小西氏が画期的な 考え方で,切り裂くようにこの分野を切り開いていきました。今は, 青年向け・大人向けのストーリマンガはしっかりとした分野になって ますし,日本のマンガやアニメが世界中に評価される品質を 今誇っているのは,この時期に,大人向けの読み応えあるマンガという ジャンルをビッグコミックが確立したからだとわたしは思います。
そう思うとこの本に描かれているいきさつは実に興味深く,小西氏と 周りのスタッフがどういう考え方でビッグコミックを作っていったか というドキュメントは,そのまま日本のマンガアニメの発展の 基礎を作った物語と読めました。
マンガ界というよりは,そのカリスマ的な編集者小西氏のドキュメント的な 部分が結構多いのですが,それゆえに,氏の考え方までキチンと 描かれている気がします。小西氏自身は元々漫画好きだったわけではなく, それゆえに文学的なマンガを作りたいと思った,そしてそれを大手である 小学館でやったことが,その流れを成功させた大きな一因であると いうことも興味深かったです。
日本のマンガが世界に誇るものだと思う方にはお奨めです。まぁ わたしがビッグコミックファミリーの雑誌を結構好きなので, その流れを追うだけで楽しいところもありましたが,そういう方にも お奨めです。

遺伝子vsミーム 〜 教育・環境・民族対立(佐倉統著)(09/04/05)
タイトルどおり,ミームと遺伝子の話。というより主にミームの話でした。 大体基本的な内容で,わたしは「ミーム」とか「利己的な遺伝子」とかは既に 興味を持って本とか読んでいたので,わたしにとってはあまり目新しい内容は なかったのですが,この手の話をあまり知らない人には入門用にいいかも しれません。
利己的な遺伝子は,人間(生物)個体の維持よりも遺伝子の維持のために 生物は行動選択をしてしまうという話ですが,さらにミームは遺伝子に 不利な方向にも行動選択をさせてしまうということが,まぁこの手の 議論の骨子だと思います。
そういう意味ではいつもどおりだとは思ったのですが,ちょっとだけ 新たに「あぁそうか」と思ったのは,人間が年寄りを大事にするのは, ミームの利益ためと書かれていること。人間は加齢により生殖能力が なくなった個体も結構長く生きているし,また家族が大事にする。 その理由というのが,生物学的にうまく説明できてない様に思って いたのですが,情報の蓄積先としての年寄りが重要視されている ということなのか。家族で子供を育てるからという,単に遺伝子的な 説明もできますが,知恵袋として重要視されていたのは,まぁそうかな, とは思いました。でも,今みたいに情報のスピードが速くなったり, 蓄積は他にできるようになっている状況をみると,その役割って 今後も続くのだろうか?とも思いました。


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