最近読んだ本から…メモなどを。
書籍編
- 魂の螺旋ダンス(長澤靖浩著)(05/1/10)
- 本屋で見つけたとかじゃなくて実は知り合いに奨められて読んだ 本なのですが…読んでみて…,すごくおもしろかったです。 この本はこれまで人間が(歴史的に)経験してた宗教に関する 考察の本です。
わたしは宗教の本,歴史だったり,思想解説だったり,その他諸々 だったり,とっても好きなのですが,なぜかというとそれは 宗教は人もしくは人々の思考の癖を反映したものだと思うからです。 この本は従来よくあるような宗教の思想解説だったり歴史ではなく もっと根本的な話,かって歴史上に登場した(そして 現存している)宗教が人にとってどういうものであったか?…,を 考察し,それを受けれ我々がどうそれに直面していくか?を提案している ものです。
本によると宗教はかっての部族社会の信仰から国家宗教,超越性宗教, そして絶対性宗教へ変化していく時,それは個と教えの関わりという在り方と, 集団と教えの関わりである間を螺旋のようにいったり来たりしながら 上昇しているとしている(単純ですが,これだけじゃわかりにくいので 本を読んでいただけるとわかります)。このモデルを元に今後どういう 次元に行くべきか?…という提案がされている。
さて,この本,当初「なんでこんなおもしろい本が,マイナーな 出版社から出ているのだろう?」…と思ったのですが,読んでいくうちに 実は結構過激な内容であることがわかり,ちょっと納得しました。 それはこの本はあらゆる既存の宗教を相対化する恐れがある…というか むしろそれを推奨しているからです。中には現行の宗教も解説しているため, そういう意味での過激さがあります。もっとも著者はあくまでも「一つの 考え方」というスタンスで論を展開しており,決して押し付けがましいところは ありません。
もう一つこの本のユニークなところは,宗教を神秘体験という側面から 論じているところです。これまでの宗教を解説した本は,主に教えの 内容,論理性,そして歴史だったりするのですが,神秘体験は言葉では 表現しにくいためか,ほとんど語られていなかった気がします。しかし この本ではそれを主軸に論じてます。考えてみたら宗教というのは 神秘体験がかなり重要なものなわけで,なぜ人がそれを信じるのか, 帰依するのか…というのを考えるときに,それを抜きに考えることは 出来ないかと思います。そういう意味では,それについてほとんど 扱っていない これまでの宗教解説書はある意味片手落ちだったとこの本を 読んで思いました。
著者のスタンスは,もともと根元的な神秘体験を少年自体に 体験しており,それが何かを知るためにいろいろな宗教を勉強し 自ら体験してきたというもの。それはある意味,なりたいものが 先にあって,そのために道を探す行為であり, 本質的なものだと感じました。
ところで,わたしは「科学」も宗教の一種だと思ってますが, この本では科学については扱っておりません。もっともそれについては 実際に自然科学の分野で生きているわたしなどが考察すべきことなのかな, と思いました。
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