ルネッサンス ジェネレーションというのは金沢工業大学が 5年前からやっているイベントです。といっても大学の紹介や, 大学の教授とかが出てくるものではなく,下條信輔という心理学者と タナカノリユキという芸術家の二人が企画するちょっと変わった アートサイエンスのイベントです。
詳しくは 公式のページを参照してもらうにして,基本的に毎年テーマを 設定し,それにあった人を呼び講演や対談をするというもの。 ただし,見にくる人を一般の人に設定しているようで,ことしも 司会の下條氏が途中で解説を加えながらの進行でした。
今年のテーマは「変身願望」。人はなぜ変身しようとするのか?, 化粧するのか?,そういうテーマを生命科学的に,哲学的に, そして工学的にという意味で三人のゲストを呼び下條氏と対談しました。
最初は「パラサイトイブ」の作者である瀬名秀明氏。本人の作品を 書くときのエピソードから,彼が大学時代に研究していた ミトコンドリアの話などをし,DNAなど進化という意味の 変身について話をしました。
ミトコンドリアというのは,細胞に寄生した生き物とされているが, 実は人の遺伝情報はDNAだけではなくミトコンドリアにも影響を 受けるらしいです。だとするとヒトゲノムだけを調べても駄目という ことなんでしょうか?。そうい話をしてました。
次は臨床哲学者という鷲田清一大阪大学教授。臨床心理学というのは いわゆる今の哲学が西洋の哲学者の解釈をしているだけなのに 対して,もっと実際的に考察するというものです。以下に 教授の言葉から面白いと思ったものを列記しますと…,
などなど…。なかなかインスピレーションがわきます。 要は,人間というのは自分の体が一番見えない。 故に自分というのは一番不確かなもの,なので, 自分にわかりやすくするために化粧をしたり 服を着たりするのだという考え方でした。つまり, 服は他人がみる自分と自分がみる自分を一致させる機能がある, ということです。昔は鏡がなかったわけですから, 今のように鏡で自分を確認することも難しかったんでしょう。
- 「からだはありとあらゆるところが加工されている」
- 「足の形は赤ちゃんのと比べるとわかるが矯正されている」
- 「自分の体が一番データが少ない(みてない),遠い物」
- 「自分の身体のイメージは確認できないので,壊れやすい」
- 「子供が狭いところに入るのは,体(のサイズ)を確認するため」
- 「お風呂にはいるのも(体温と違うものにさわる)のも皮膚を確認するため。 それで安心する」。
- 「服も同じ。服は体とこすれないと駄目。服は体を締め付けて, 服を意識させないと駄目」
- 「体に意味を持ち込むために服を着る」
最後が東京大学の講師の前田太郎氏。ロボット工学の 博士で,いわゆるロボットではなく,パワードスーツの 話をしました。つまりロボットで変身するという ものです。
パラサイト・ヒューマンという言い方をしてました。
まぁ,そういう感じでおもしろかったんですが, 客の対象が一般の人と言うこともあって, 話が突っ込んできておもしろくなると,下條氏が 解説をいれて戻すという感じになってしまい, 私的にはちょっと不完全燃焼を感じました。 去年も行ったイベントですが,そろそろ, 物足りなくなってるのかも知れません。
まぁ,その後にパフォーマンスやアート系の 対談とかもあって,面白かったことは面白かったんですが…。
というわけで,トピックをつらつらと書き散らかしてみました。