人は極度の緊張(例えば命に関わる危険)に遭遇すると 通常の数倍のスピードで物事を考える様である。 というか,なぜそう感じるかと言う話だ。そういう状態で 感じることは,時間がゆっくり動くという事だ。
例えば,バイクで転倒したことある人なら覚えが あるかも知れないが,転倒する瞬間,目にはいる風景は やたらにゆっくり変化する。スローモーションになるのだ。 そのほかにも,崖から落ちるとき,聞いた話だと先の 震災と時もそういう風に物事を見た人が多かったらしい。
スローで見えるという事は,時間の感覚がおかしくなっている と考えることができる。それゆえ「数倍のスピードで考える」と 表現したわけだ。
そういう危険な状態ではなく,もっと心が興奮した場合にも 時間の感覚は変わる。何かをしていて精神がハイな時, いろんなことを考えても,時間があまり経ってないときもある。 逆に,あっという間に過ぎ去ることもある。あっという間に過ぎ去る 場合と,時間が経たない場合については本当は整理したいのだが, ちょっと今はおいておいて,いずれにせよ時間の感じは変わる。 しかしこの場合先の「危険」の場合と異なるのは,物事が ゆっくり動いたりはしないという事だ。
精神に効く薬を飲んだ場合も時間がおかしくなる。人によって 効き方は違うが,アルコールや睡眠薬を摂取すると,気が付いたら 朝だったりするわけである(寝てなくても)。 時間が経たない場合もある。多分そのほかの向精神薬でもそうであろう。
アッパーに効く薬を飲むとおそらく時間が長く感じるのであろう。 そういう話を本とかで良く読む。逆にダウナーな薬だと, 気が付いたら朝だった…って言う感じで,時間が短くなるのだろう。 これはコンピュータで言うところのCPUのクロックで考えると わかりやすい。アッパーはクロックアップ,ダウナーはクロックダウン。 アップだと一定時間に処理できる事が増えるので,結果的に 短時間でいろいろ考え,時間を長く感じる。ダウンだと逆だ。
今までそう考えるとうまく説明できるので,そう考えていたが, どうも厳密には違う気がしてきた。私は人間の脳はパラレル CPUみたいなものだと思っている。実際に組織的にも脳細胞が たくさん集まったものだ。そして脳細胞の小さなグループが ある種1CPUの様に振る舞う,マルチCPUの様なものではないか? そして,アッパー状態というのはクロックが上がるというより, 働き出すCPUの数が増える事ではないかと思う。つまり 普段は休んでいた脳細胞が活性化され動き出すということだ。
そう考える理由はアッパー状態でも刺激の伝達速度が 上がらないからだ。耳に入った音は数十msで大脳皮質に 到達するが,多分これは決まっているようである。 薬物投与でそれを測った例は知らないので,違うかも 知れないが,向精神薬は,伝達物質の取り込みを防いだり 伝達物質を増やしたりするものだから,直接の クロックアップではないがする。だとすると あふれだした伝達物質が周りの他の脳細胞群を刺激し 活性化させるのではないか?。その結果CPUの数が増え 多くの処理を可能とする。
ではなぜそれを,時間の変化と感じるか?。これは 以前書いたかも知れないが,時間を感じる部分が 一カ所というか1次元だからだ,周りのCPUが生成した 処理結果を整理するところが一カ所のため,そこが 一定時間にたくさんの処理をする羽目になり時間の 感覚を狂わせるのだ。私は以前からなぜ時間が1次元 なのか不思議だったが,これはおそらく自我を1つに するためであろう。もし自分の中の時間もパラレルに 処理したら,自我がわかれるような気がする。 この部分はコンピュータでいうと,タスク管理とうか スケジューリングということになる。マルチCPUの コンピュータでも必ずそれらを一元管理している 部分があるのだ。それと同じである。
そう考えると人間のタスク管理をしてる脳細胞は 多少CPUの処理結果(つまり入力)が増えても大丈夫と 言うことになる。普段フルにパワーを使ってないのか?, それとも増えた場合にうまく処理の仕方を変えて 対応しているのかはわからない。ついでに言うと この脳細胞がどこにあるかも良くわからない。しかし これは「自我」に大きく関係しているところであろう。 とてもおもしろそうだ,興味がある。
この問題,まだまだ考えたいと思う。興味はつきない。